新型コロナウィルスによる影響について シェアリングエコノミー協会事務局長の石山アンジュさん

新型コロナウィルスによる外出自粛で、シェアリングエコノミーサービスはどのような影響を受けているのでしょうか。各サービスの現状や、コロナ禍でも需要を伸ばしているサービス、さらにこれからの働き方の変化に関して、シェアリングエコノミー協会事務局長の石山アンジュさんにお話しを伺いました。今後新しいビジネスを考えるヒントにもなりそうです。

__シェアリングエコノミー市場全体としては、コロナの影響をどのように見ていますか?

インバウンド顧客を占める民泊サービスや、イベントで使用するスペースシェアサービスなど、対面型で3密となってしまうものは外出自粛の影響を大きく受けていますが、UberEatsなどの一時的な接点や、タスカジなどの家事代行で既存にリピート受注歴がありホストと一定度の信頼関係がゲストで築けているサービスは、学校休校やリモートワークで子育てと家事の負担が高くなっていることもあり、継続活用されつつあります。また、車のシェアサービスに関しては、公共機関より3密が避けられるという理由からCtoCの個人利用に関しては伸びています。

なんといっても、リモートワークやテレワークを受け入れる企業が各段に増えたことから、直接対面しないオンラインでのスキルシェアサービスに関しては、売り上げを伸ばすプラットフォームも出ています。今後も、オンラインかつ非対面で受発注ができるニーズは増えるだろうと予測しています。

 

__ホストとしてシェアサービスを利用する人の声は届いていますか?

シェアリングエコノミー協会でシェアサービスのホストユーザーにアンケートを実施したところ、新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、およそ80%の人が、8割以上収入が減っているという厳しい結果になりました
(5月15日に実施。詳しい結果はこちらを!
https://sharing-economy.jp/ja/news/0526/

 

具体的な声としては、

「現在まったくの失業状態。いつお客様が来てくれるのか見通しも立ちません。このままだと、民泊物件のローンが支払えなくなってしまいます……」(民泊ホスト)

「いつインバウンドが回復するか先が見えないので、このまま民泊を廃業して賃貸物件を手放すべきか、何とか凌いでまた再開できる日を待つべきか悩んでいます」(インバウンド向け民泊ホスト)

「家事代行の仕事は、感染防止の観点から乳幼児がいるお家への訪問は中止しています。ですが、依頼者さんからは自粛生活のストレスに家事育児の負担もあり、来てほしいと言う声もいただいています。支援したいと言う思いはありますが不安もつきません」(家事代行ホスト)

「海外在住で法人向けのビジネスサポート、観光などのお手伝いをしていましたが、海外への出張や旅行ができない状況のため、全ての予定がキャンセルとなりました。海外在住の強みが完全に失われた状況です」(観光案内ホスト)

 

__コロナ禍 における具体的な取り組み例を教えてください。

外食できない中で需要を伸ばすUberEatsでは、一時的な人との接点を避けるよう置き配達を取り入れつつあります。家事代行サービスは、最初はキャンセルが相次ぎましたが、今では学校休校とリモートワークの事情もあり、需要が増えています。説明会をオンラインで開催したところ、関西からの申し込みもありました。スペースシェアサービスに関しては、イベントや複数の人で利用するのではなく、スペースをリモートワークオフィスとして個人で使う人が増えています。クラウドファンディングに関しては、マスクや除菌剤の販売はもちろん、農業生産者を救うためのサービスが増えています。

新型コロナウィルスによる影響について シェアリングエコノミー協会事務局長の石山アンジュさん

__シェアリングエコノミーを使った新たなサービスのヒントはありそうでしょうか?

新たな「共助のモデル」としてシェアリングエコノミーが活躍している側面もあります。たとえば、神戸市とUberEatsの連携事例のように、災害時などの緊急時に持っている人と必要としている人をオンライン上でマッチングして、瞬時に無料開放したり手数料を変更したりすることがビジネスモデル上可能となっています。他にも駐車場シェアサービスakippaが、車移動が必要となる人に割引するクーポン配布の実施や、学びのシェアサービス、ストアカが対面形式での講座における感染予防および拡大防止対策として、今までガイドライン違反としていた 「オンラインによる講座開催」を解放するなどの切り替えを行うなどの対応策も出てきています。

__働き方に関しては、今後どのようになってくると予測していますか?

私個人の観点から申しますと、都市部の感染拡大が広がる中では、都内の企業に仕事を依存的する働き方や、都市に家を購入するといった暮らし方は見直されるような動きも出てくると考えています。今後は、より自由で柔軟性の高いライフスタイルや、複数の収入口や居場所、コミュニティを持てる受け皿としてシェアリングエコノミーは期待されるのではないでしょうか。例えば、住居の在り方として月額4万円から全国住み放題のシェアサービスADDressのようなモデルや、副業・兼業の受け皿としてシェアリングエコノミーサービスをホストとして利用する人が増えていくと考えられます。

 

__最後に、シェアリングエコノミーサービスのユーザーやホストのみなさんに、シェアリングエコノミー協会としてメッセージをお願いします。

直接会えなくても、あなたがシェアできることはあります。情報、知識、スキル、時間、モノ、できることからシェアの精神で、困っている人を救い応援することができます。

シェアリングエコノミー協会としては、「♯私たちがシェアできること」というハッシュタググで、みなさんの取り組みや情報を集約し、発信していきます。個人が、企業が、社会がシェアする当事者になる“共助の精神”で、新型コロナウィルスの困難をみんなで乗り越えていきましょう。

シェアリングエコノミー利用者が使える給付金や助成金もあります。ぜひこちらを確認されてみてください!
https://sharing-economy.jp/ja/news/20200507/

 

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