2017年から政府成長戦略にも記載され、今年は菅総理が目指す社会像として掲げた「自助・共助・公助」の『共助の仕組み』としても、期待されているシェアリングエコノミー。

11月16日に開催される「シェアサミット2020」(11/4時点、参加者2,500名突破)は、年に一度の国内唯一のシェアカンファレンスとして、これからの社会や経済はどう変わるのか。豪華登壇者と共にディスカッションします。

今年で5回目となるシェアサミットは初のオンライン開催で、全国各地から誰でも無料で参加出来るようになりました。

昨年に引き続きサミット統括ディレクターを務めるのは、内閣官房シェアリングエコノミー伝道師であり、協会事務局の積田さん。昨年からの変化や、 開催までの経緯、そしてサミット当日の見所など伺いました。

__まず今年のシェアサミットのテーマを教えてください

「Co-Society 〜分断を乗り越えて、共生による持続可能な社会を創る〜」です。

 

2019年のサミットは「Co-Economy(経済)」がテーマでしたが、今年はそこからさらに継続的な発展として「Co-Society(社会)」をテーマとさせていただきました。

 

このテーマに至った経緯は、今年のキーセッションのモデレーターを務める、協会理事でありクラウドワークス 代表の吉田さんの言葉が大きく影響しています。

 

昨年のサミットで「人が追い求める富は、時代とともに変わってきている。富の意味するところは、帝国主義時代は土地、資本主義ではGDPだったが、ポスト資本主義は持続可能性へと変わりつつある」という吉田さんの一言があり、昨年から今年のテーマは「持続可能性」を軸にしようと決めていました。

 

そこから年が明け、コロナウイルスのパンデミックと言う世界的危機が始まり、改めてサミットを開催すべきか、開催するとしたらテーマはどうあるべきか迷いがあった中で、吉田さんを始めとする理事幹事メンバーの「世界中で国と国、人と人の分断が顕在化している今こそ、分断を乗り越えるためにシェアリングエコノミーにできることを世に問いかけたい」という意見を踏まえ、テーマに “分断を乗り越えて、共生による持続可能な社会を創る” というメッセージを添え、ポストコロナの社会でシェアリングエコノミーが果たすべき役割を議論する場としようと決めました。

 

このような背景はあったものの、政府、自治体、企業、個人、あらゆるセクターを越えて⼿を取り合い、共創・共助でより良い社会を作りたいという去年からの思想は揺るぎなく変わらずにありますし、当初から考えていた「持続可能性」もコロナウイルスの影響でこれまで以上に根源的に向き合うべきテーマとなったと感じています。

 

__登壇者の顔ぶれも、大臣や市長、日本を代表する経営者からフリーランスと、まさにセクターを越えるという形を体現していますね。

 

はい。登壇者は過去最高の豪華な顔ぶれになったと思います。様々なセクターのリーダーの方々に登壇いただけるのもシェアリングエコノミーというビジネスモデル、共助の仕組みがセクターを超えて影響を与えていることの証左ですよね。

とはいえ、開催方法は11月にコロナの状況がどうなっているのかもわからないため、初のオンライン開催を選びました。

今までにないチャレンジなので、どれくらいの方が参加してくれるか不安でもありますし、せっかく昨年虎ノ門ヒルズという素晴らしい会場で開催し、参加者からも好評のお声を頂いてたので、オフラインでの開催が難しいとなった時は残念ではありました。

ですが、今はオンラインという開催方法を選択して良かったと確信しています。

 

2020年は新たな10年が始まったわけですが、まさにこれからの10年は、一人一人が今まで以上に自分ごととして「持続可能性」を意識しなければならない。

 

そのためにも、日本の未来を担う各セクターのリーダー達が、持続可能性を軸にディスカッションするこのシェアサミットをオンラインという手段にすることで、全国に届けることは協会として正しい選択だったと思います。

 

__新たな10年のはじまりとして、シェアリングエコノミー協会、そして積田さん自身、昨年からどのような変化がありましたか?

 

はい。まず2016年から参画しているスペースマーケットが、昨年12月に東証マザーズに上場しました。他にも、マクアケ、ランサーズ、ビザスクと、2019年末から2020年にかけて立て続けにシェア事業者が上場して業界的には大きな前進の中で、新しい10年である2020年をスタートできたと思います。

 

協会としては、今まで永田町にオフィスを構え、東京を拠点に活動していましたが、より全国の企業や自治体を巻き込み、社会実装していくために地方の拠点が必要と考え、9月に関西支部、そして10月に九州支部を設立しました。今後は2023年までに全国各エリアに支部を設立していく予定です。

 

そして、この支部の動きと呼応して私もボードメンバーとして参画している「シェアリングシティ推進協議会」を今年立ち上げたことは大きな変化となりました。

シェアリングシティ推進協議会とは、2017年から官民をあげて自治体課題をシェアリングエコノミーを活用して解決する事例を作る取り組みを深化させて、シェアリングエコノミーを自治体のの持続可能性を支える真の社会インフラにすることを目的にに立ち上げた新体制です。

 

__いつ頃シェアリングシティ推進協議会を立ち上げようと思われたのですか?

 

昨年の夏頃、私自身が協会のシェアリングシティ統括ディレクターとして推進していたシェアリングシティ認定制度がもうすぐ20自治体に到達するタイミングで今後について考え始めた頃、ちょうど同じタイミングで政府主導で協会とともに官民あげて連携して進めてきた「シェア・ニッポン100」(✳︎)の100事例達成が見えてきたんですね。

 

(✳︎)シェア・ニッポン100

シェアリングエコノミー活用の事例集として、地域における社会課題の解決や、経済の活性化のためにシェアリングエコノミーが活用された事例を掲載。自治体や民間事業者等が、地域における社会課題の解決や経済の活性化を行うために、後続する取組や新たな事業アイデアの誘発を図るためのもの。

 

詳細:シェア・ニッポン100が公開されました

 

100事例が作れたその後の目標として、数や事例だけを追いかけるのではなく、本当の意味で自治体課題を解決するために、社会インフラとしての共助モデルをセクターを超えて社会実装していく必要があり、協会としても地域にローカライズして、次元を変えて前進しなければならない。

 

そのための新体制として、シェアリングシティ推進協議会設立を決めて、これまで積極的にシェアリングエコノミーの導入を推進していた、千葉市、神戸市、福岡市、渋谷区、釜石市、日南市、横瀬町の7自治体。そしてシェア事業者とNTT東日本など大手企業含む12社にも参画頂き、今年の7月にシェアリングシティ推進協議会設立記者会見を行いました。

 

今後も協会の支部と連携しながら、地域の自治体や企業を巻き込み、シェアリングエコノミーを更なる全国普及へと繋げていきたいと考えています。

スペースマーケットの上場、新たな支部と協議会の立ち上げ…。と中長期的なビジョンを考える機会が増え、自分の中にこれまで以上に“社会のインフラ” としてのシェアリングエコノミーの取り組みについて、より強い責任感が芽生えています。

 

シェアサミットの開催もコロナの影響でオンラインになったわけですが「全国に届ける」という意味では不思議な繋がりで、2020年の協会の支部やシティ推進協議会設立のフェーズに呼応しています。

 

そもそも「シェアを次世代の社会インフラとして全国に社会実装したい」というのが、自身の原動力であり原点でもあるので、ここからが本当の勝負だなと感じています。

 

__「シェアを地域に実装させたい」と思われたのは、どのようなことがきっかけだったのですか?

 

実はシェアリングエコノミーとの出会いは、出身地でもある群馬県の桐生市が起点でした。

 

今から7年前、若者・子育て世代を支援する「NPO法人キッズバレイを桐生で立ち上げたのですが、NPO設立の翌年2014年に地域の若者・子育て世代の新しい働き方としてスキルのシェアサービスを提供するランサーズ、そして2015年に地域の魅力的な遊休スペース活用を目的にスペースマーケットと提携させて頂きました。

 

当時はまだシェアリングエコノミーという言葉自体知られていなかったし、それを地域の課題解決に活用するということを考えている人はほとんどいなかったのですが、当時からこれらのサービスは地域が抱える課題を解決し、地域を支える新しい社会インフラになると信じていました。

 

キッズバレイでの活動は5年続け、2018年で若手メンバーに引き継ぎましたが、そうした経緯もあって、個人的に共助の仕組みで地域を支えるシェアリングシティには強いこだわりがあり、協会設立当初からシェアリングシティの責任者をやらせていただいています。

 

__当時の「シェアリングエコノミーを次世代のインフラに」という原点の思いは今も変わらないのですね?

 

はい。年々、その気持ちは強くなっています。

今年のサミットのキーワードでもある「分断」は、コロナ前から起きていて、例えば都市と地方においての様々な格差や、個人の経済格差、近しい記憶でいうと九州豪雨などの自然災害による暮らしの分断。そして世界に目を向けると国と国の争いもありますし、これら全てが持続可能性が問われている社会課題でもあります。

 

今まで以上に “持続可能な社会を作らなければならない。” というような根源的な課題意識と共に、つながりや共助の仕組みでもある『シェアリングエコノミーだからこそ出来ることがある』と思うようになりました。

 

シェアリングエコノミーに対する期待は、今回のスポンサー企業からも見受けられます。

このようコロナ禍で苦しい中で支援してくれる企業がこれだけいるんだと、前向きな気持ちになりましたし、その期待に答えなければという責任も強く感じています。

 

__最後に読者に向けてシェアサミット2020の見所をお願いします!

 

この数ヶ月、コロナウイルスの影響で、誰もが例外なく普段の暮らしや働き方などのライフスタイルを、変化せざるを得ない環境だったと思います。

 

また、普段生活していく中で、人は自然の中の一部であるということや、日々強く意識することのなかったウイルスでさえも常に共存しているということを、このコロナ禍で改めて気付かされたはずです。

 

今年のシェアサミット は、この状況をどう捉え、持続可能な社会を共に創るために、これから私たちは何をすべきなのか。セクターを越えてディスカッションし、皆で考える1日にしたいと思います。

 

様々なセクターが一堂に会するシェアサミット 。

中でも、経済再⽣担当 ⻄村⼤⾂と、サントリーホールディングス 新浪代表。そしてシェアリングエコノミー企業の中でいち早く上場し、業界を牽引する協会理事でもあるクラウドワークス 吉田さんのキーセッションは特に、「Co-Society」というテーマでどのような未来を語るかのか、私自身も非常に楽しみにしています。

無料でオンライン視聴出来ますので、全国のみなさんにぜひ参加して欲しいです!

SHARE SUMMIT 2020 公式サイトで詳細を確認する。