貸し会議室・レンタルスペース等のワークスペースのシェアサービスを提供する株式会社スペイシーと、P2Pの不動産に特化した投資型クラウドファンディングサービスを運営する株式会社クラウドリアルティが手を組み、「ワークスペース創出プロジェクト」を開始。クラウドファンディングで資金を調達し、千代田区神田小川町にある遊休スペースを再生・有効活用させるという新しいプロジェクトについて、株式会社スペイシーの執行役員・武田正史氏と株式会社クラウドリアルティの富治林希宇氏にお話を伺いました。

―まずは両社の特徴からお聞かせください。

武田氏 :「スペイシーは、基本的には会議室やコワーキングスペースを貸したり借りたりできるシェアサービスを行っております。弊社のサービスは、オンラインで検索から予約、決済まですべてワンストップで行え、1時間500円ぐらいからご利用いただけます。働き方改革でリモートワークやフリースペースをすすめる企業も増え、オフィスに行かなくても仕事ができる状況になってきていますが、オフィスに行かないで仕事をするといっても困るときってありますよね。例えば、テレビ会議をやるにしても、自宅だといろんなものが映り込んだり、子どもの声が入ったり。そんなときに弊社のワークスペースを活用していただければと思っております。

また、会社内でほとんど使われていない会議室や、不動産の空室、飲食店や塾の昼間の時間帯など、遊休スペースがある場合、弊社のWEBサイトにご掲載いただくことで、誰かに貸すことができます。空室に椅子と机とホワイトボードを入れるだけで、どこでも会議室になり、売り上げにつながります。

現在、掲載数は5000室を超えており、8割が首都圏ですが、名古屋・大阪・仙台・札幌にも広がっています。延べ利用者数は300万人を突破し、おかげさまでリピーターも40~45%ぐらいいらっしゃいます。ビジネス利用の方が圧倒的に多いですが、最近はスキルシェアも増えている関係で、英会話や着付け教室、勉強会の会場として使われるケースもあります」

富治林氏 :「当社は不動産に特化して、資金が必要な方と、支援したい方を結び付けるプラットフォームを運営しています。例えば、これまでの不動産は、誰もが気軽に投資できるようなものではなかったのですが、当社のプラットフォームを利用いただくことで、不動産の再生を支援することも可能です。当社の案件で、京都の町家再生を支援するプロジェクトを行い、クラウドファンディングで7,200万円の資金を集めて、活用されていなかった京町家を綺麗な宿泊施設に蘇らせました。また、近々渋谷区に開園する渋谷区上原シェア保育園プロジェクトは、保育園とシェアハウスの複合施設に関わるプロジェクトなのですが、10日間で1億7,400万円を集めることができました。銀行の融資基準では融資しずらい事業でも、見る人から見たらいいものになるよね、やるべきだよねっていうものってあると思うんです。そこにご理解いただける方々と資金が必要な方や事業を結び付けることによって、両方ウィンウィンな関係を築きたいと考えています。

シェア保育園の場合、投資家の方の中にはもちろん配当を期待して投資された方もいますが、待機児童を減らしたいと考える子育て中の方たちからも支援していただきました。誰に投資するのか、どんな事業に投資するのか、その対象がはっきりと見えるのは大きいと思います。そして自分の投資が社会のためになったら最高じゃないですか。それが今回、スペイシーさんと一緒にプロジェクトを立ち上げたことにもつながります。当社はスペイシーさんの事業を応援したいと思っているのです」

―今回の「ワークスペース創出プロジェクト」で両社が連携するメリットはどこにあるのでしょうか。

武田氏 :「貸し会議室やワークスペースの利用者が増えているのに対して、ワークスペースが足りていない状況があります。まだまだ眠っている遊休スペースがたくさんあり、我々はそこを掘り起こして有効活用したいと考えています」

富治林氏 :「遊休スペースを眠ったままにしておくのはもったいないですよね。ちょっとお金をかけて蘇らせれば、いろんな方が利用できることになります。投資家の方が個人で100万円の部屋を借りて、スペイシーさんに運用をお願いすることもできますが、初期費用も合わせると高くなってなかなか難しい。でも当社が入ることによって、例えば100万円を10万円×10口に分散することができます。その結果、いろんな方に投資していただくことができ、投資家の方にもメリットがあるのです」

武田氏:「儲かるならスペイシーだけでやればいいじゃないですかとよく言われるのですが、例えば我々がオフィスビルを100万円で借りるとすると、敷金と保証金で12ヶ月分の1,200万円が必要となり、そのお金は解約するまで返金されません。返金されない=眠ったお金となり、これってけっこうなロスになるのです。クラウドファンディングで資金調達ができると、僕たちはご支援いただいた資金でワークスペースをどんどん作っていくことができます。そして利回りをだして投資家さんにお返しすることができれば、お互いウィンウィンになりますよね」

―千代田区神田小川町のプロジェクトはどのようなワークスペースになる予定ですか。

武田氏:「今回の物件は、うちとクラウドリアルティさんに出資をいただいている三菱地所さんから紹介されたオフィスビルのワンフロアーです。いろいろと検討した結果、60名規模の大会議室を作る予定です。研修系のセミナーや医療系の学会、スポーツの講習会など、何らかのイベント会場に使っていただけるかなと思っております」

―12月11日に本プロジェクトに関するイベントを行われたそうですが、参加された方の反応はいかがでしたか?

武田氏:「良い反応が多く、その場で投資しますと言われた方もいらっしゃいました」
富治林氏:「数人の方がその場で会員登録してくださいましたね。いろんな方に支援していただいてプロジェクトが成り立てば、スペイシーさんの事業も一気に勢いがつくと思いますし、より一層盛り上がるプロジェクトになるのではないかと思っております」

―このプロジェクトが成功したら、第2、第3のプロジェクトが始まる可能性もありますね。

武田氏:「そうですね。このプロジェクトをきっかけに次に進めたらいいなと思っています。企業の働き方改革がすすめば、貸し会議室・ワークスペースのニーズはもっと増えていくはずです。”誰もが、やりたいことを、最も適した場所で行うこと”ができるようにしていくことで、自由なワーク・ライフスタイルを実現できる未来を作っていきたいと考えています。」