1日およそ220億時間に秘められたマーケット
世の中には全部で10億台ものクルマがあります。次の10年でこの数は2倍へと増加する一方で、クルマが稼働しているのは1日のうちでたった2時間のみ。残りの22時間、クルマは持て余されていることになります。
Getaroundは、この1日あたり220億時間の”使われていない状態”へサービスを仕掛けるスタートアップです。
2009年にスタートしたGetaroundは、所有者がクルマを利用していないときに、利用したい人に貸し出せるプラットフォームを運営するシェアリングエコノミー。
「渋滞を減らし、環境汚染を防ぐ。クルマが少ない未来」を掲げ、すでに会員数は20万人を超え、サンフランシスコ、シカゴ、ボストンと、アメリカ主要都市を中心に8都市へサービスを拡大しています。
所有者贔屓なカーシェアシステムが成長の秘訣
たくさんあるカーシェアサービスの中で、どうしてGetaroundが注目されるのでしょうか。それは、どこでもクルマを借りられる利便性を提供するだけでなく、所有者が安心してクルマを貸し出せる”所有者贔屓”な仕組みづくりにあります。
クルマを借りるプロセスは、まず利用者がGetaroundのプラットフォーム上で借りたいクルマを探し、リクエストを送ります。リクエストを受け取った所有者は、利用者のプロフィール、レビューを見て貸し出しを判断できます。
また、1時間5ドルから貸し出せる気軽なシェアサービスでありながら、すべてのクルマに保険を完備させることができるのです。
モノからサービスへ。”持たない”クルマ時代に貢献
2017年4月には、トヨタや上海汽車の大手自動車メーカーが筆頭となり、総額4500万ドル(日本円で約50億円)の資金調達を実施したGetaround。この背景には、自動車業界全体が、「生産して売る」大量消費の時代から、配車サービスや自動運転のような「クルマを効率的に利用する」時代への流れがあります。
「クルマを少なくする」カーシェアと、「クルマを生産する」自動車メーカー。
一見、相反する二つが協力することで実現される自動車社会へ期待が高まるばかり。
19世紀以来に歴史を更新する、クルマのパラダイムシフトです。