今までありそうでなかった「音楽の出張ライブ」という面白いシェアリングエコノミーサービス「Live Deli」がある。今回は運営者である㈱ムジカルの大山さんに、「Live Deli」の誕生までのエピソードやこのサービスにかける熱い想いについて、お話を伺いました。

__大山さんが「Live Deli」をはじめた経緯を教えてください。

前職はITコンサルタントとして多くのIT導入課題の解決に携わってきました。仕事柄、色々なビジネスに関わる中で、5年程前から「これからはシェアサービスの時代がきっとくる!」という漠然とした思いはありましたね。いつしか「自分でも何かサービスをやってみたい」と考えるようになり、大好きな音楽のサービスを思いつき2016年に独立しました。
僕の好きな音楽というのは、大きなホールで聞く演奏ではなく、たとえば海外の駅前や公園で生演奏するストリートライブのようなもの。その昔バックパッカーをして色々な国を周っていたのですが、欧米のように音楽が身近にある暮らしにすごく感銘をうけたんです。「あの感じを日本でも再現できたらいいな」というのがこの「LiveDeli」の原点ですね。

また、調べてみると、音大を卒業してもプロになれるのは一握り。プロであっても低収入で苦しんでいたり、別の仕事をして音楽は趣味程度にせざるえないということが分かりました。そんな潜在的な音楽家が、今日本には7万人もいるんだそう。「彼らを支援できるサービスを作れたらきっと需要はあるはずだ!」と確信しました。

__音楽のシェアサービスとは具体的に、どういうサービスなのでしょうか?

クラシックやジャズの生演奏の出張演奏サービスです。保育園や高齢者施設はもちろん、イベントや個人宅のホームパーティー、誕生会、結婚式など。基本は45分で料金は演奏家の人数にもよりますが3~5万円です。プロ級の音楽を提供するのはもちろんですが、ご要望に応じて楽器に触れたり、ミニレッスンをつけることもできます。イギリスやアメリカでは既にシェアリングエコノミーを利用した出張音楽サービスはありますが、日本には未上陸なので、現状では日本最大級の出張演奏サービスとなっています。


保育園でのクリスマス会にて。


老人ホームでの演奏会。

__演奏家はどんな方たちが登録しているのでしょうか?

音大生やその卒業生がほとんどです。現在の登録者は150人で、全員と面談しています。音楽の技量がプロ級であることはもちろんですが、施設や個人宅に伺うわけですから、話し方などの振る舞い、コミュニケーションの取り方などを重要視し、「この人なら任せても大丈夫」という信頼できる方だけを登録させてもらっています。

__「Live Deli」を運営する上で心掛けていることはありますか?

音楽を聴く側はもちろんですが、演奏する側の満足度にもこだわりました。
まず聴く側にご満足いただくには、それが老人ホームなのか保育園なのかで演奏する内容を当然変える必要があります。そのときに「有名な流行りの音楽」や「自分がやれる音楽」をする“演奏家視点”ではなくて、聴く側の世代に合った曲や、その楽器の良さを一番引き出せる曲を混ぜるような“お客様視点”にすることで「聞く人に驚きや感動が伝わる音楽」をしてもらうようすることを心がけています。ステージングに関しては、登場の仕方や衣装、ときにはMCの内容もチェックします。このようにお客様が言語化できない点を充実させることで、満足度はぐんと上がるんです。
また、演奏家側には登録時にしっかりとしたヒアリングを行い、本質的な課題を引き出すことを大事にしています。彼らの話を聞いていくうちに、演奏家の方たちにはお金のやりとりや演奏までの段取りをマネージメントすることが苦手な人が多く、そういったサービスが今までなかったことが分かりました。また、中には個人レッスンやMCが苦手といった得意不得意があることも。やるからには、双方の満足度を高められるサービスにしたいと思っています。


トロンボーンの中をのぞきこんで興味津々な子どもたち。


楽器を触る体験プログラムは思い出に残ると大好評。

___「Live Deli」をはじめて大山さん自身の中で何か変わったことはありますか?

僕自身、今までの人生において、何かひとつのことに何年も時間をつぎ込んだ経験がないんです。音楽家の方たちに出会って、彼らの熱意や幼少期からの努力を知るととても胸を打たれます。だからこそ、なかなかプロにはなれないという現状を支援したい!という想いがより一層強くなりましたね。

__今後挑戦してみたいことはありますか?

昨年からヤマハグループとのコラボイベントや、オリジナル演奏会「ワイガヤ音楽会」をはじめました。まずは大人にも子どもにも生演奏をもっと身近に感じてもらって、「Live Deli」のサービスを利用してもらうきっかけになれたらいいなと思っています。
将来的には日本に限らずアジアなどにも視野を広げて、あらゆる音楽家の人材バンクプラットフォームになりたいと考えています。


イベントでのヴァイオリン・フォトブースより。持ちなれない楽器を持ってみる体験だけでも笑顔がこぼれます。


タンバリンなどのシンプルな楽器を、子どもたちもお客様も一緒になって演奏できる大盛り上がりの屋外ライブ。

__最後に、これから「Live Deli」で演奏をしてみたいという人にメッセージを!

音楽家を目指す方たちの中には「自分の演奏レベルでやれるのか?」という不安があったり、自信がないという方もいると思います。でも、皆さんが音楽に費やした時間はとても価値があるものです。その技術で多くの人を喜ばせてみることができるはずです。HPにお仕事の動画がたくさん載っていますので、ご覧いただいて、チャレンジしたい方はお気軽に応募してみてください。全国の音楽家たちのご応募を待っています!

この記事の登場人物
  • LiveDeli 代表 大山幹也さん
    ITコンサルタントとして勤務後、2016年に「音楽の出張ライブ」というシェアリングエコノミーサービス「Live Deli」を立ち上げる
NEW POST