あなたにとってのオーガニックとは?

オーガニック(有機野菜)ブームは今に始まった話ではありませんが、ヘルシーで美味しい食材を選びたい消費者心理は近年さらに盛り上がりを見せつつあります。スーパーマーケットに買い物へ出かければ「無添加食品」、「産地直送」を銘打った食品たちがずらり並ぶようになりました。

ところが、オーガニックの需要も供給も高まる空気感のなかで、問われ始めたのが「一体なにがオーガニック?」という問題です。農薬や化学肥料に頼ることなく自然なままで育ったものがオーガニック食品ではあるのですが、それらがどこで、誰によって、どのようなストーリーを経て、ここまで届けられているのでしょうか。

消費者と生産者をリアルにつなげる「The Food Assembly」

The Food Assemblyは、農産物の生産者と、消費者の出会いを演出するシェアリングエコノミーです。Assembly(アセンブリー)とは、なにか特別な目的を持った集会、会合という意味を持ち、The Food Asseblyでは、生産者が消費者に、自身がつくった農産物を手渡しで届けるリアルな場を提供しています。

生産者側にはリスクや供給業者の過剰なマージンが入ることなく販売が可能で、消費者側も生産者の顔を見て話して、農産物を受け取れる安心が得られるwin-winなシステムとして、少しずつ注目を浴び始めています。

2011年、はじめてのアセンブリーが開催されたフランスでは、遺伝子組み換え作物に反対するキャンペーンが消費者のあいだで過熱する一方で、農産物を生産する農家では干ばつの影響により持続的な販売を続けていくことが困難な状態に陥ってしまいました。
リアルな場でやり取りが行われる機会を通じて、農家と消費者を結ぶThe Food Assemblyはそれぞれの抱えている問題を解決することに貢献し、話題を集めることに成功しました。そして、ラフォーガで開かれた第一回のアセンブリーを皮切りに、6年間で900箇所以上まで規模を拡大していきました。
1つのアセンブリーは、1〜2週間に1回のペースで定期的に開催されます。取り扱われている農産物は肉、野菜、乳製品、パン、ビールやワインなど様々です。

The Food Assemblyは、農産物の生産者、それを買いたい消費者、そしてアセンブリーを企画・運営するオーガナイザーの三者が参画するプラットフォームです。オーガナイザーの役割は、アセンブリーを実施する会場のセッティング、参加する消費者へのお知らせメール送信、個数ミス、農産物のクオリティに対するクレーム対応などです。

これまでのマルシェとは何が違うの?

農産物をつくった当事者がみずから販売のために出張する、マルシェはThe Food Assemblyが始まる以前からありました。更にいえば、現地直送の農産物を仕入れることが目的であるならばオンラインのサイトを利用する方が効率的です。消費者、生産者それぞれが足を運んでまでして、The Food Assemblyを利用することには、一体どんなメリットがあるのでしょうか。

大前提として、 The Food Assemblyは創業者たちによる「農家にフェアな取引をして、しっかりとした生活を送ってほしい」という願いから生まれ、サービスは生産者視点で設計されています。

その例としてまず、アセンブリーの場で売買はされず、受け渡しのみがおこなわれます。アセンブリーで農産物を仕入れたい消費者は事前にThe Food Assemblyのサービス上で購入を済ませておく必要があります。これにより、アセンブリー上での決済の手間が省け、生産者側のリスクをおさえることができます。

次に、料金システムが良心的です。The Food Assemblyでは、会社へのコミッション(8.5%)とオーガナイザーへの手数料(8.5%)を差し引かれた、すべてが収入となります。他の卸売業者や、中間業者を通すよりも圧倒的に利益率を高めることになります。

また、オーガナイザーによって主催される場所は屋内がメインで、協会、市役所、美術館、カフェなど消費者が足を運びやすい身近な場所に設定されることが多いです。生産者から農産物が自分の手に渡るまでのストーリーを聞き、レシピなど情報交換ができる場は、どちらにとっても貴重なものです。

致命的な社会の弱点をシェアリングエコノミーで解決

The Food Assemblyがスタートした6年前、フランスでは農家の低収益が深刻な社会問題となっていました。農家の半数以上が月収400ユーロ程度で生計を立て、1日に約2人の農家が生活苦によって自殺をしてしまったと言われています。

The Food Assemblyのシステムそのものは、完全に効率的なアイデアとはいえません。しかし、「農産物が『コモディティ化』してしまった」現代において、「生産者と消費者をリアルな場でつなぎ、単なる売買を超え、農産物や生産者の『ストーリー』に出会えること」に価値を見出し、これに賛同する人たちが存在することによって成立しているビジネスなのです。

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