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目黒側沿いテラススペースイメージ

大都市・東京で最も日常的な交通インフラといえば電車での移動。もちろん、そこには様々な個性を持った街があり、街ごとに多様なワークスタイルやライフスタイルが存在しています。

そんな中、個人レベルのみならず、企業単位でのシェアに関する事業も具現化しており、東京の主要な交通インフラである東急電鉄は、日本全国で利用可能なシェアオフィスネットワーク「NewWork」の展開や、シェアハウス「スタイリオ ウィズ 代官山」と、そこでの子育てシェアサービス「AsMama」を事業としていち早く導入しています。

前者の「NewWork」は二子玉川、自由が丘、吉祥寺など主要駅はもちろん、東京以外でも利用可能な会員制シェアオフィスネットワークを実現し、移動の多いワーカーにとってのサテライトオフィスとして心強い味方になっています。

後者の「スタイリオ ウィズ 代官山」は、“みんなで子育てできるシェアハウス”を擁する共同住宅。ほんの少し、誰かの手を借りたいときに助け合える空間を洗練された形で設けています。また入居者や子育てサポーターと助け合えるツール「AsMama」を導入。“困った時はお互いさま”の精神で新しい時代のコミュニティを創出、時間や人間関係という大事なマインドもシェアによって得られそうなアプローチを行っています。

その東急電鉄が現在進めているのが『中目黒駅高架下開発計画』。移動インフラにとどまらず、事業領域を広げるその構想の一端を、都市創造本部・運営事業部・営業三部・事業推進課の森川茂さんにお聞きしました。

中目黒駅高架下をルーフ・シェアリング! 東急電鉄が目指す“いい街いい電車”プロジェクトとは?

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——そもそも中目黒の高架下の有効活用はどういった理由で始まったんですか?

もともとの始まりは、鉄道の安全面強化のための耐震補強工事からです。その工事が終わった後に高架下に整備された空間ができるので、有効活用を考えた時に中目黒らしい高架下の商店街を作れたらいいよね、というところが始まりです。

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——具体的にはどんなことがシェアできそうな空間になりそうですか?

開発コンセプトそのものが“シェア”なんですが、一言で言えば高架下という空間があるので、この約700メートルにわたる高架橋を一つの屋根と見立てて、この空間をシェアし、個性豊かな店舗に出店していただこうとしています。店頭には各店舗の個性が表現できるように客席やテーブル、看板、植栽などを自由に設置できる空間を設けたり、一部の店舗間には隣接の店舗と共同利用できるシェアスペースをつくり、空間のシェアを行います。

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——設計に関しては通常のショッピングセンター的なものとは違うようですね。

はい。各店舗の顔であるファサード面を個性豊かに自由に表現できるように柔軟な設計ルールにしています。例えば木調のものもあればレンガ調のものもあるし、ガラス折戸のオープンな店舗もあるので、路面店の集合体のような作りにはなりますね。中目黒というオシャレなセレクトショップも昔ながらの居酒屋も、さきがけの飲食店もあるような新旧が混在している街の中で、高架下が同じような店装が並ぶ同質化した空間になってしまうと、それは「中目黒」という街の個性にはつながらないと思っています。

それに今回は店舗の営業時間も揃えていません。朝から営業している店舗もあれば、夜しか営業しない店舗もあって、それは時間のシェアになるかと思います。中目黒は飲食店が多く、自分の店が営業終了した後に、まだ営業しているお店で飲んだりする方もいらっしゃいます。総じて中目黒という街は滞在時間が長いんですよ。

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施設内完成イメージ

——東急電鉄さんはすでにシェアオフィス「NewWork」や、シェアハウス「スタイリオ ウィズ 代官山」、そして「AsMama」といったシェアリングエコノミー事業を実現していますが、その背景にはどんなテーマや理想があるのでしょう。

昨年、人々がイキイキと働き、快適に暮らし、さまざまな楽しみがある街の実現に向けて「いい街 いい電車 プロジェクト」をスタートしまして、それぞれの駅・街で「いい街ってなんだろう?」ということを常に考えているんです。駅ってそれこそみんなが使う空間で、いろんな人がシェアする公共の空間ですよね。今回の高架下でいうとその空間がもっと良くなることで、きっと街そのものにも愛着を持ってもらえて、街がもっと良くなるんじゃないかと思っているんです。

シェアオフィスやシェアハウスも、画一的なものではなくて、その街に合ったもの、愛される施設を作るということを進めていて、あくまでも鉄道会社としてさらに街を良くするために何かできることはないか?という視点で取り組みを進めています。

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今回の開発計画を伺って再認識したのは駅がそもそも日常的に“シェア”される空間であること。しかも中目黒という街が外からの流入が多い渋谷とは違い、生活者が主役でありつつ時代に沿ってトレンドを貪欲に飲み込む素地を持っていることに“新しい時代の下町”の潜在能力を感じました。

その中目黒に、商業施設でありながら、あくまでそこで過ごす人たちの立場に立った「高架下商店街」を目指す今回のプロジェクト。多様な店舗、そして事務所がリノベーションされた空間にオープンすることを契機に、ほどよい温度感のご近所付き合いや、中目黒ファン来訪の新たな動機が生まれそう。

“いい街”を追求する東急電鉄の取り組みが、“空間と時間のシェア”を通じて、今でも魅力的な街・中目黒のこれからの可能性をも広げていきそうです。

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