6月15日に施行された、住宅宿泊事業法(民泊新法)。それにともない、先日渋谷ヒカリエで行われたAirbnb記者発表会に行ってきました。当日は、Airbnb共同創設者兼最高戦略責任者であるネイサン・ブレチャージク氏も来日し、取材メディア数はなんと100社! Airbnbへの注目の高さを実感させられるイベントでした。日本市場での新たなビジネス戦略はもちろん、ゲスト、ホスト、地域に対しての具体的な施策についてもワクワクするような展望が…。Airbnbホストの方必見です!

そもそも、なぜ今法改正されたのか

2008年にアメリカで誕生したAirbnb(エアビーアンドビー)は、旅先でどこに宿泊し、何をし、体験するかまでを提供する旅行コミュニティ。2018年4月時点では、世界191の国で3億人ものゲストが利用しています。
日本でも昨今、急速に増加するAirbnbを含めた民泊について、安全面や衛生面の確保、騒音やゴミ出しなどによる近隣トラブルが社会問題となりつつあること、観光旅客の宿泊ニーズが多様化していることなどに対応するため、一定のルールを定め、健全な民泊サービスの普及を図るものとして、新たに制定された法律です。具体的には、各事業者は、都道府県への届け出が必要になり、家主にも適正な措置を義務付けています。家主不在の場合は、住宅宿泊管理事業者(国土交通大臣の登録が必要)に委託することができ、仲介業者を営む者は官公庁長官の登録が必要となります。宿泊する住宅の定義も各種条件をクリアしなければなりません。
今後、日本でAirbnb物件にホストとして登録する際も、もちろんこれらの届出番号を取得しなければならず、結果的にこれらが、ゲストにとっては安心材料となってくるわけです。

「アメリカのL.A.で当時住んでいた家のホームシェアをきっかけにスタートした僕らのビジネスが、日本に上陸して10年。今では本当に多くの方が利用してくれるようになりました。民泊新法が施行された6月15日からは、新しいAirbnbのはじまりです。ホームシェアリングに関わるより良い環境構築をめざし、ゲストもホストも地域もWinWinになれる関係を目指していきたいと思っています」(ネイサン・ブレチャージク氏)。

36のパートナー企業と行う新たなAirbnbの取り組みとは?

続いてAirbnb Japan代表取締役である田邉泰之氏による、新たなAirbnbの取り組みについてお話がありました。

現在、Airbnb利用者が選ぶ世界の人気都市1位が、東京だということをご存知ですか。もちろん、東京以外にもさまざまな魅力的な街が日本にはあります。東京オリンピックを控え、これから益々増えるであろう海外からのお客様(2020年までには4000万人が目標!経済効果は84億ドルとも言われています)のためにも、Airbnb JAPANでは、よりローカルな日本で本物の体験をしてもらいたいと考えています。
では、そのためには何が必要か。日本各地に根付いた細やかなサービスを提供するために、Airbnbでは現在36社のパートナーとなる日本企業様とタッグを組み、“ホームシェアのその先”として日本の旅を変えて行こうと考えています。
具体的には、ゲストとのメールのやりとりや清掃といったホームシェアのさまざまな窓口を一括してEVOLABLE ASIA様にお願いしたり、京都広域の伝統文化体験をできるサービスを毎日放送様にお願いしたり、日本のポップカルチャーを担うASOBISYSTEM様に、原宿での新たなヘアをプロデュースしてもらう…。また、ホスト向けとしては、ホームシェアの新しい形として、オープンハウス×オレンジ様による新たな住宅も年内に販売予定など、ワクワクするような新しい取り組みが続々始まる予定です。

Airbnbはあくまでプラットフォームであるべきと考えています。また、おもてなし文化のある日本にとって、Airbnbはとても相性が良い国と言われています。日本の企業様らと手を組み、それぞれにとっても大きなビジネスチャンスになるべく、最大限のサポートをしていこうと思っています。

日本におけるAirbnbの可能性がすごい!

最後に、パートナー企業を代表して、ライフスタイルを提案する企画会社のカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)の代表取締役である増田宗昭氏よりあった、日本におけるAirbnbの可能性についてまとめたいと思います。

私たちは、TSUTAYA事業から始まり、現在はTカードを始めとした、新しいライフスタイルを提案する事業を複数展開しています。旅のスタイルもそのひとつです。Airbnb様とは2年前から取り組みをさせていただいていますが、先日、日本在住のさまざまな層のT会員様3000人に調査をしたところ、日本でのAirbnb認知率はわずか28.8%であり、利用者はたった2.3%という結果が出ました。彼らにはまだ、ホスト、ゲストになる際のトラブルといったネガティブなイメージがあるようです。一方で、きちんとAirbnbを知ってもらう説明をした後では、45.8%の人が「使ってみたい」という結果に。つまり、日本人はまだままだ“Airbnb食わず嫌い状態”なんです。

先ほどあった通り、世界中のAirbnbで人気都市ランキング1位は東京、2位はパリ、3位は大阪です。日本は、食、文化ともに世界中からとても高い評価を得ていることに、私たち日本人はまだあまり気づいていないんです。これから、この日本国内の潜在層がAirbnbをホストやゲストとして利用し始めたら…日本での利用者は年間4000万人どころではなく、1億人も夢じゃないと思っています。そのくらい、可能性があると考えています。
私たちCCCも、6700万人の会員データベースとTポイントを活用し、Airbnbを通して“日本で生きていて楽しい”、と思えるお手伝いができたら幸いです。