あらゆるスペースを貸し借りできる空間のシェアサービス「スペースマーケット」が始まったのが、ちょうど4年前の2014年4月。日本では、今日に至るまで数多くのシェアリングエコノミーサービスが登場し、これらのプラットフォーム上で個人がモノやサービスを提供し、お金を稼ぐといった流れは世の中の当たり前になりつつあります。

シェアリングエコノミーサービス上で、お金を稼ぐホストの中にはシェアリングエコノミーだけで月収100万円を達成したという方もちらほら。こうした社会現象を背景に、2017年10月には個人がシェアリングエコノミーで得る収入への課税に関して政府が制度の検討に入ったというニュースもありました。

そんなシェアリングエコノミー熱が高まる中、今年も確定申告の季節がやってきました。個人で収入を稼ぐホストと確定申告はまさに切っても切り離せない関係にあります。
去年からAirbnbを始めて、サービスの収入を得ている方、会社員だけどTimeTicketのようなスキルシェアサービスでスキルの提供を個人で始めた方、そんな確定申告ビギナーを対象に、今月14日「〜シェアと税制度の未来を考える2018〜はじめて確定申告入門講座セミナー」が開催されました。(主催:シェアリングエコノミー協会 、後援:国税庁、企画協力 株式会社マネーフォワード)

今回は、特にイベントの後編「誰でもわかる!はじめての確定申告入門講座」のレポートを紹介していきます。手続きしなくちゃいけないけど、何から始めたら良いのか分からない…。そんな確定申告の四文字に不安を感じている方、必見です!

税理士 田村基匡氏(田村会計事務所)

対象は、ズバリ、シェアリングエコノミーで20万円以上稼いだ方

【確定申告】
確定申告とは「1月1日から12月31日まで(一年間)の収益・費用・その他の控除を計算し、その期間の税額を確定させて申告する」ことです。日本では原則、申告納税制度に則り、各個人が「一年間で稼いだ利益と、それに生じた経費」の内訳を細かく計算し、税金を算出し、納める決まりとなっています。

そもそも、確定申告が必要な人はいったい誰なのでしょうか?シェアリングエコノミーサービス上でホストとして収入を得ている方、全員に確定申告が必要というわけではありません。対象となるのは、「給与を2か所以上から受けており、その利益が20万円を超えている方」です。ここでポイントとなるのは売上ではなく、利益が指標となる点です。100万円以上稼いでいても、稼ぐために費やしたお金を差し引いた利益が20万円に達しなければ確定申告の必要はありません。

また、確定申告対象となるのは、あくまで副収入です。会社から収入を得ている場合は、給与が支払われる前に源泉徴収が天引きされるため、12月に年末調整をするだけで個人での申告は不要となります。

※ 給与が20万円未満の場合でも、医療費控除や雑損控除で還付申告をする場合には、受けている給与の確定申告も必要となります。

税理士 田村基匡氏(田村会計事務所)

白色?青色?

確定申告には種類があります。大きく分けると、「白色」、「青色」があり、手続きや記帳などの事務作業が煩雑となっている分、税制面で有利に腹貸せることができる方が青色申告です。

申告方式 帳簿 特別控除 帳簿の保存 損失の繰越
白色申告 単式簿記 なし 7年
青色申告 単式簿記 10万円 3年間の損失の繰越あり
複式簿記 65万円

白色申告では、単式簿記を使うことになります。単式簿記では、各勘定を集計していくのみの記帳方法となり、損益計算書のみを作るだけで、貸借対照表は不要となります。一方、青色申告を作成するにあたって、単式簿記で提出することもできますが、複式簿記で記帳することで大きな税額控除を受けることができます。各勘定科目を仕訳して記帳していく複式簿記を作っていくと、損益計算書に加えて、貸借対照表が出来上がることになります。
この申告方法を用いると、最大65万円の控除を受けることができます。

複式簿記と聞くと、難しいイメージを持たれている方も多いかと思いますが、MFクラウドのような会計ソフトを利用して記帳を進めることで、簡単に複式簿記を完成させることができます。こうしたサービスの普及により、手間という点に関して言えば、白色も青色も大した差はなくなってきています。

税理士 田村基匡氏(田村会計事務所)

確定申告をしないとどうなるの?

利益が20万円を超えてしまったという心当たりのある方には、確定申告が義務づけられています。また、申告して納税する期間は2月16日〜3月15日の一ヶ月と限られており、これを怠ってしまうとペナルティが課されてしまいます!

【無申告課税】
確定申告の締め切りである3月15日までに申告をしなかった場合に払わなければならない罰則的な税金です。本来納付しなければならない税額が50万円までであれば15%、50万円を超えている場合は20%にあたる税額を納めなければなりません。

【延滞税】
3月15日の締め切りは申告だけでなく、納税の期限でもあります。この期限までに税金を完済しない場合には定められた納付期限の翌日から納付するまでの日数に対して利息分の延滞税が課されていくことになります。

これら2つの税金は本来払う必要がないものです。確定申告をしなければならない方は期日までにきっちりと申告・納税まで完了するようにしましょう。

どこまでが経費になるのか?

重複しますが、確定申告で納めなければならない税金は売上ではなく、利益に対して課されます。中には確定申告をすることで納め過ぎていた税金が還付されることもあります。
申告する際、売上から利益を算出するために経費を計上するのですが、どんなものがどこまで経費として認められるのでしょうか。

【民泊での経費例】
租税公課、損害保険料、減価償却費、修繕費、借入金利息、管理費、交通費、通信費、地代家賃など

民泊一つを取っても、部屋を借りる家賃や、部屋を掃除する際にクリーニングサービスを使っていればそのサービス料など売上だけでなく、経費も少なからず負担しているでしょう。
こうした経費をきちんと計算し申告することで正確な税金を納めることに繋がります。

経費に関するQ&A

1. 家賃や飲み会代は経費にならないのか?
民泊で貸出をおこなっているホストの中には自分が暮らしている家の一部屋を貸し出している方や、またサービスの都合上飲み会への参加を余儀なくさせられる場面もあります。こうした場合、全てが経費になるわけではありませんが、事業に関連した消費である説明をすることで按分が経費になるパターンがあります。ここでは、かかっているお金のどこまでが事業として使っているのかを明確にする必要があります。

2. 領収書のないものは経費にならないのか?
領収書が存在しないからといって、経費にならないわけではありません。出金伝票を用意したり、きちんとお金が消費されたという記録を残すことで経費として計上することができます。

3. 何年もかけて利用するものでも経費になるのか?
一つ辺り10万円以上の買い物をする場合は、必ずしも該当する一年で消費されるとは限らないと判断される場合があります。そうすると、減価償却扱いとなり、消費される年数分で割った分だけが該当年の経費となります。

4. チャージでの領収書は経費になるのか?
SUICAやPASMOのような電子カードは現在、公共交通機関に限らず利用することがある背景もあり、チャージしただけでは経費として扱われることはありません。交通費としてチャージ分を経費計上するためには、きちんといつ何の目的でどこへ行ったのかを明確にする必要があります。

いかがでしたでしょうか。今回のイベントをざっくりまとまると以下になります。

・ホストとして20万円以上の利益を出している方は確定申告が必要がある

・3月15日までに申告だけでなく、納税も完了する必要がある

・事業に関わっているものは経費として計上することができる

去年からシェアリングエコノミーホストを始めた方は、まずは幾ら稼いでいて、申告の必要があるかを確認し、ペナルティに引っかからないよう、クリアなシェアリングエコノミーライフを送っていきましょう。

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