“世の中を暮らしやすくする”がモットーの㈱Brain Cat代表取締役の中村貴一さんが今回スタートさせる新サービス(6/1開始予定)がとにかくすごい!と聞いて、さっそくお話を伺ってきました。その名も「Gojo」。「こんな暮らしをみんなで実現したい」「こんな社会を作りたい」という思想をカジュアルに始められるプラットフォームとは一体どんなものなのでしょうか?

__今のお仕事について教えてください

元々は大手コンサル会社で働いていたのですが、働きすぎて体を壊してしまって。その後、2016年に㈱Brain Catを設立し独立しました。今はエンジニア、企画開発、会社経営まで多岐に渡って仕事をしています。家入一真さんが社外取締役になってくださったり、その他応援してくださる方々のサポートも大きな力になっています。
僕は過去に、たとえば趣味の音楽機材を購入した際にアンケートに「こんなのあったらいいな」という思いを書いて送ったら実際に製品化した、というようなことが何度かあったんですね。そういう小さな疑問を解決してよりより暮らしになるお手伝いをすることが好きで、それが今の仕事の根底にもあるんだと思います。

__Gojo誕生のきっかけを教えてください

前職の会社員時代に体を壊して1ヵ月半入院していた際、会社の労働保険にとても助けられました。そして、経営者は社員と同じ労働保険には入れない(=守られない)と言うことを知って…(後に経営者向けの保険もあると知りました)。そこから、経営者もフリーランスもあらゆるコミュニティの人たちが困った時に資金を共有できるような仕組みがあったら面白いなと考えついたのがこの「Gojo」でした。

__具体的に「Gojo」とはどんなサービスですか?

分かりやすく言うと、コミュニティサービスの中で、参加者同士がクラウドファウンディングのようにお金のやりとりができるものです。たとえば、「ねぶた祭り青年会」「アイドル同好会」のようなコミュニティが誰でも1分足らずで作れます。参加するための資金設定も自由ですが月500円~1000円など少額なものでいい。そこで数十人、数百人と人が集まると資金も貯まりますよね。そのお金を使えるのは、コミュニティに参加している人全員。使う目的も自由です。「グッズを作りたいから5000円使いたい」など企画を提案して過半数から可決されれば、資金の中から費用がもらえて実行できます。大事なのはその過程をコミニュにティ内で全公開すること。この透明性は他にはないポイントだと思っています。また、SNSなどでその行動を簡単にシェアできるので、多くの人に拡散できます。



__どういった方の利用を予想していますか?

本当に無限にあると思っています。空き家を利用してみんなでシェアハウスを作ったり、元芸人さんが作るアートの家だったり、フリーランスのための福利厚生だったり、UberEatsドライバーの待機所を作ったり…。Gojoを使って新しいフラットな共同体がどんどん生まれて、社会が少しでもよくなっていけばいいなと思っています。

__Gojo開発の上で心掛けたことは何ですか?

コンセプトは自分たちで自分たちの生活をよくしていくこと。イメージは“家族のお金”です。同じ思いを持った共同体の中でどうお金を使うかは自由。なにかを「形にしたい」という思いを大事にしたかったので、アクションはシンプルでカジュアルにすることを心がけました。1分足らずでコミュニティも作れますし、どう使うかも自分の企画次第。参加する際の支援も、これまでのふるさと納税などで多くあった郵便局振り込みは面倒なので、クレジットカードで簡単に決済できるようにしました。あとは支援していることを可視化できるシェア機能も付けました。これにより面白い取り組みなら自然と広まっていくんです。お金のシェアリングでもあり、支援のイノベーションでもあることがGojoの面白さだと思っています。

__お金と支援を共有することは平安時代から日本人に馴染みのある文化だった?

実は日本には平安時代から「無尽」とか「頼母子講(たのもしこう)」と呼ばれる制度があったんです。講の組織による民間の金融組合の一種で、講員が掛金を定期間に出し合い、入札または抽籤で毎回そのなかの1人が交代で所定の金額を受取るというもの。全員に渡し終えた時点で講は解散するそう。沖縄にはまだ一部でこうした制度が残っている所があるそうです。あとは相撲の谷町(大相撲で力士のひいき筋や後援者)なんかもそうだし、AKB選挙で押しメンを支援するためにCDを大量に買う行為もこれと近いですよね。
Gojoはまさにこうした日本古来からある、お金と支援を共有する仕組みを現代版に蘇らせてSNS文化とドッキングさせたようなものだと思っています。

あとイメージするのは、ゆるキャラの「ふなっしー」。あれは船橋公認でなく非公認だったことで役所の枠組みを超えて自由に活動できたんだと思うんです。結果、日本ははるか世界に通用する人気者になって、その活動を皆が支援することになった。
つまり、難しい規約や制度云々はひとまず置いておいて、もっとシンプルに「やってみよう」から一歩を踏み出すことにつなげたかったんです。

__ビジネスとしてはどのように売り上げを見込んでいますか?

現段階ではGojoはユーザーからお金を取らない方針で考えています。まずは赤字覚悟ですが、徐々に企業からの広告だったり、企業がPRやブランディングを目的にCSR活動費などを分散投資するような仕組みを提供したりすることによって売り上げを見込んでいます。企業課題や地域課題に対して、それを解決できそうなコミュニティをマッチングしてあげることや、生協のような共同購入の仕組みを提供したりすることもできると考えています。

__Gojoを使って実現したい世界とは?

韓国にはサンミサン・マウルという地域があります。そこでは、今から10年ほど前に保育園不足を解消するために住民が保育園を自発的に作っていったことをきっかけに飲食店や雑貨屋などが住民ベースで作られていきました。そしては今では、非公式ではありますが、地域から「サンミサン・マウル」として呼ばれる仮想的な街が出来上がっています。そして、その中では自分たちの生活よくするためのさまざまな事柄が日常的に話し合われ実行されているとのことです。
Gojoは、自分たちの生活を自分たちでよくしていくためのアプリケーションです。今後、このサンミサン・マウルのような共同体をGojoでたくさん作っていけると信じています。
誰しもが暮らしをよくするための発案をし、行動し、参加していく。そのような世界を自分たちは作っていきます。

__シェアリングエコノミーサービスホストの方にメッセージを!

「やりたい」を形にすることが好きなシェアエコサービスホストさんで、「でも資金が足りないなあ」と思っている方にまさに利用していただきたいサービスです。この取り組みが広まっていったら、究極は同じ思いを持った共同体の人たちだけが住む、ストレスフリーの村ができるんじゃないかなと思っています(笑)。Gojoをきっかけにさまざまな可能性が広がっていくことを期待しています。

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