「シェアリングエコノミーライフスタイルを、南青山の空き家で実験します!」。源さんからメッセンジャーでご連絡をいただいたのは、ちょうど3ヶ月前。話をよく聞くと、民泊や家事代行、貸し倉庫その他あらゆるシェアサービスを駆使して、どこまでリターンを得られるかという挑戦をするということでした。まさか、そんなことが実現しうるのか…と半信半疑になっていたのですが、「実際に、1ヶ月間シェアリングエコノミーで生活してみました!収支をお見せします!」との報告が、先日届きました。

文字通り、100%シェアリングエコノミーで成り立っているシェアハウス『Karigracy』(カリグラシー)。シェアを提案するメディアを謳っている「Share! Share! Share!」としては、取材しないわけにはいきません。今回は、男女5人がシェアリングエコノミーで暮らすKarigracyと、Karigracyの総ホストを担当している源 侑輝さんに、副業としてのシェアではなくライフスタイル全体をシェアする醍醐味について伺ってきました!

なんでもシェアで解決。『Karigracy』とは?

源さんは、年内には撤去が決まっている空き家を大家さんから借りて、撤去までの期間を、複数人が共同生活を行なうシェアハウス「Karigracy」として運営を開始しました。しかし、Karigracyはただのシェアハウスではありません。源さんは同時に、外苑前というKarigracyの立地の優位性を生かし、人が必要な時に必要なもの(例えば会議室や倉庫、自転車など)を個人から借りられる、シェアリングエコノミーの実践も試みています。

ーー まず、『Karigracy』について詳しく教えてください。

「賃貸は、いわばシェアリングエコノミーなのでは?」と考え、賃貸のメリットを中身の部分から考えた結果、色々な暮らし方ができる賃貸物件を企画開発しようと試みました。賃貸物件は全国で約1,500万室ほどあり、いずれも可もなく不可もなく、点数をつけるのであれば75点くらいのお部屋です。もっと、個人に95点ぐらいの満足できる暮らしを提供したいという想いから、試験的に暮らしを借りるKarigracyが始まりました。Karigracyはそんな「借り暮らし」と「デモクラシー」を掛けた言葉です。

みなさんの住まいに対する一般的な考え方は「都心に住むのは高いけど、郊外で住めば負担が減る。だから、多少通勤・通学に時間がかかっても、なるべく都心から離れて暮らす。」ですよね。けれども、私たちは、人口密度の高い都心に暮らすからこそ、シェアリングエコノミーの選択肢が増えて、リターンが大きく跳ね返ってくるのではないかという仮説を立てました。リターンが多ければ多いほど、負担が減る。私たちはKarigracyを使って、これを検証しているのです。

ーー 実際に検証をしてみて、収支はどうですか。

正直なところ、どっこいどっこいといった感じです。

◆ 支出の部
源さんが大家さんに支払う家賃:¥320,000
水道:¥5,000
光熱費(電気ガス):¥10,000
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合計:¥335,000

◆ 収入の部
シェアハウスの住人が源さんに支払う家賃:¥225,000
マンスリー貸出:¥77,000
駐車場貸出:¥25,000
倉庫貸出:¥15,000
荷物預かり代:¥4,000
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合計:¥346,000

※ 運営を開始した7月時点でのおよその収支結果

Karigracyの運営が始まったのは7月で、民泊よりも貸し会議室が流行していたころでした。場所貸しのシェアでは、住まいのマンスリー貸し(おおむね1ヵ月単位での賃貸借)と、会議室貸しに絞りました。
借り物で暮らす。所有するのではなくて、何かの目的のために使う。借りた方が楽ではないだろうか、便利ではないだろうかという発想で、様々なサービスを取り入れています。

ーー Karigracyでのシェアで面白いエピソードを教えてください。

フィリピンで仕事をしていた方が、急遽東京で働くことになり、住む場所がないということで一ヶ月滞在することになりました。その方が、新しく東京で部屋探しをする際に、それが私たちの仕事に繋がりました。(源さんは不動産会社を経営)

monooQという倉庫貸しのサービスを利用してくれたゲストの方が、Karigracyで新しくウッドデッキを作ろうという時に、廃材を無料で届けてくれたりするようなこともありました。また、一ヶ月だけ暮らした方とすごく仲良くなった方(意味がとりづらいです)が、帰り際に手紙を書いてくれたりもしました。まさに、シェアリングエコノミーの副産物を実感するような日々でした。

シェアリングエコノミーのホストは想いが強い人が向いている

ーー どんな人がシェアリングエコノミーのホストに向いていると想いますか。

一言で言うと、何かにかける想いが人一倍強い人です。KitchHikeという、一般家庭の食卓にお邪魔して得意料理を披露してもらうというサービスがあるのですが、私が参加した会は日本酒が大好きなホストが、日本酒のきき酒をしながら食事をするといった内容でした。日本酒関連のスペシャリストとも言えるホストのおかげで、大変楽しむことができました。ホストの、日本酒への強い想いを感じることができました。

日本酒に合う料理を作るだけでは、お店を開いたりビジネスを作っていくのは難しいかもしれません。しかし、シェアリングエコノミーであれば、お客さまが(お客さま、でよいですか)10人いれば成立します。つまり、経営のスキルや資本金がなくても、想いだけで人を呼び、ちょっとしたお小遣い稼ぎができるのです。

ニッチだけれど、それだけではビジネスにならないものでも、何か強い想いをかけられるものを持っている人はホストに向いているのではないでしょうか?

ーー 源さんが考える、ホストを始めるために必要なものは何だと想いますか。

私も、最初は怖かったです。シェアリングエコノミーをするには、一度も会ったことがない赤の他人を自分の懐に迎え入れなければなりません。それは、誰でも怖いと感じるかと想います。ホストであってもゲストであっても、それは同じです。

しかし、その先にあるシェアリングエコノミーの恩恵は、本当にかけがえのないものです。なので、まだホストを経験したことがない方には、「まず、やってみて!」という声をかけたいです。宿泊、会議室貸し、倉庫利貸しと、どんなサービスをとっても、これまでになかった交流が必ず待っているので!

誰でも最初は怖い

意外だったのは、15~16ものシェアリングエコノミーを日常に取り入れている源さんでも、最初にホストを始めたときは「怖かった」ということでした。これからシェアリングエコノミーを始めようと思っている方のなかにも、やってみたいけど不安で最初の一歩を踏み出せないという方が少ないはずです。

インタビューの後、源さんは初めてカウチサーフィン(無料で宿泊できる家を世界中で探すことができるWebサイト)でゲストを自分の家に招いたときは、相手が本当に困っていそうだったからと語ってくれました。まだ見ぬ相手を想いやり、その人を信じて、まずは一泊から、あなたもホストへの一歩を踏み出してみませんか?

この記事の登場人物
この記事の登場人物
  • 源 侑輝さん
    一般社団法人 日本民泊適正推進機構 常務理事・全国民泊同業組合連合会 理事・宅建士。不動産ソリューション会社「Livmo」の代表を務め、住まいの設計または使用の企画を得意としてきた。2012年から民泊市場に参入し、2015年より旅館業許可物件を企画開発し始める。あらゆるシェアリングエコノミーを取り入れて、都内でコストパフォーマンス重視で暮らす試験的なシェアハウス「Karigracy」を外苑前に設立・運営。
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