清澄白河にあるリトルトーキョーは、いろいろな生き方・働き方に出会うことのできる場所。そこで開かれるユニークなイベントが毎回話題となっています。今回は、そんなリトルトーキョーでイベント企画に携わる今井さんにお話を伺いました。

__「リトルトーキョー」とはどんな場所ですか?
さまざまな生き方、働き方を紹介する求人サイト「日本仕事百貨」が運営している5F建てのビルです。1Fでは「ごはんや 今日」が定食を提供し、夜は近所の人たちがカウンターで飲んだりするバーになっています。2F・3Fでは、毎晩のようにゲストを招いて一緒に会話をする「しごとバー」というイベントや、ワークショップにトークショー、マルシェなどを開催しています。4F・5Fは私たちのオフィスです。

__今井さんの現在のお仕事について教えてください。
私はリトルトーキョーの“場の編集者”として、「しごとバー」などイベントの企画運営をしています。

__今の仕事についた経緯を教えてください
大学時代は、美術を勉強していたのですが、学外で携わっていたフリーペーパーの編集部で人の話を聞くことや、伝える面白さを知りました。たまたま友人から「向いていそうな仕事があるよ」と教えてもらったのが入社のきっかけです。

__リトルトーキョーが始まった経緯を教えてください
2013年に虎ノ門でオープンし、2016年4月から清澄白河に移転してきました。
オンラインで仕事ができたり、働き方がさまざまになった今の時代だからこそ、誰かと対面して話ができる、アナログな場所やコミュニティが大切だと思います。「日本仕事百貨」では、大多数には届かないかもしれないけれど、誰かひとりに刺さるといいな、という思いで、さまざまな仕事をご紹介していますが、文字や写真だけでは伝え切れない部分があって。実際にその人に会うことで、仕事のイメージが変わったり、興味が沸くことってありますよね。イベントでは、参加した人の人生が少し変わるきっかけになったら嬉しいなと思っています。

__「しごとバー」では毎回ユニークなイベントが開催されていますが、イベントを企画する上でのこだわりはありますか?
さまざまな職業の方をお呼びして、お酒を飲みながら会話をするイベントなので、ゲストと参加者の立場がなるべくフラットになるように心がけています。参加者として来た方が、翌月にはゲストになる、なんてこともありました。転職したい人や将来を考える学生さんなど、参加者は年齢も職種もさまざまで、ゆるやかな雰囲気ではありますが、「学びたい」「人と話したい」という好奇心旺盛な人たちが自然と集まる場となっています。

みんなが知らない前提で話をしてもらったり、業界用語には説明を補足したりしながら、初めて来た人や、途中から来た人にも楽しめるようにしています。イベント名を考えるときも、内輪ノリにならないように固有名詞は避けています。あとは、例えばTVカメラマンとか葬儀屋さんなど、「職業としては知っているけど、きちんと話を聞いたことがない人」を積極的にご紹介する様にしていますね。

__過去のイベントで印象に残っているものを教えてください
これまで500回以上「しごとバー」を開催しているので、ひとつに絞るのは難しいのですが、たとえば縄文時代をテーマにしたフリーぺーパー『縄文ZINE』の「縄文ナイト」、200種類近くの雑草を栽培してきた雑草博士による「雑草ナイト」などマニアックな専門家によるイベントは毎回人気がありますね。三重県で伊賀忍者を研究している先生が来てくれた「忍者のまちに行かナイト」は今年も開催したいね、と話していて、個人的にもとても楽しみです。

__占い風人生相談「しごと占い」とは何ですか?
求人サイトの「中の人」である私たちが、その人に合いそうな仕事を占い師風の格好でおすすめする、というもので(笑)。1年ほど前「今井さんたちは仕事マニアでしょう?」と言われて、色んなマニアが集まる「マニアフェスタ」というイベントにお声かけいただいたんです。確かにそうかもしれないと思って、やってみたら意外と評判が良かったんですよね。今では不定期で他のイベントにもお邪魔しています。キーワードが書かれたカードを使って、お話を聞いていくのですが、例えば、「飲食店で働いているけれど疲れてしまって」と言う人に、地方で馬の世話をする仕事を紹介したり(笑)。ちょっと斜めな発想のアドバイスに聞こえるかもしれませんが、意外と第三者から言われると自分を見つめ直すきっかけになることもありますよね。

__今井さんがやりがいを感じるときはどんなときですか?
リトルトーキョーで出会った人同士で本屋さんを始めたりと、その人の人生を変える場になれたと知ったときは嬉しいですね。あとは、それまで知らなかった業界の方に会えるので、好奇心が満たされる感じがしてとても楽しいです。意外な共通点を見つけたりすると、世界の仕組みみたいなものが少し紐解けたような感覚になります。

__リトルトーキョーの今後の目標を教えてください!
面白い仕事をする人たちをもっともっとお呼びして、色んなイベントを開催していきたいです。あとは連続講座やゼミのように、単発ではなく数回にわたって関わり合い、深い話ができる機会も企画してみたいですね。