会議室から球場まで1時間単位で簡単に貸し借りできるサービス「スペースマーケット」とシェアリングエコノミー協会事務局という二つの仕事を行う積田さんは政府から“内閣官房シェアリングエコノミー伝道師”や“総務省地域力創造アドバイザー”に任命されている。また、今年は11月11日に開催される「シェアサミット2019」の責任者を務める。そんな積田さんに、日本におけるシェアリングエコノミーのこれから、についてお話を伺った。

__積田さんの普段のお仕事について教えてください。

シェアリングエコノミー協会事務局は、2016年の設立当初からお手伝いをしています。具体的には、政府の成長戦略にも掲げられている自治体の課題をシェアリングエコノミーで解決する「シェアリングシティ」の責任者をしています。

一方のスペースマーケットでは経営企画兼公共政策の担当で、自治体の持つ遊休スペースや地域の魅力ある古民家等の空き家を中長期的な視点に立って活用していく仕事をしています。たとえば、長崎の島原城をシェアしたり、埼玉県横瀬町では廃校をシェアしたり、千葉市内の文化遺産の邸宅をシェアするなど地域の遊休スペースの活用を考える仕事です。

この2つの仕事が主な仕事なのですが、今年は自ら手を挙げてシェアリングエコノミー協会が年1回開催する官民あげてのシェアリングエコノミーの国内最大のカンファレンスである「シェアサミット2019」の責任者もやらせていただいています。

__今年、自ら手を挙げてまでシェアサミット2019の責任者をシェアリングエコノミーは何か理由があるのでしょうか?

はい。昨年末から2019年にかけて、日本国内のシェアリングエコノミーを取り巻く環境が大きく変化してきたんです。

たとえば、私どものスペースマーケットとしては、昨年末の3回目の資金調達で、東京建物、東京メトロ(この2社はベンチャーへの出資が今回初!)、JTBといった大企業が出資してくださって。こうした大企業が、シェアリングエコノミーというビジネスモデルを自らの事業に取り入れていくという流れが今年きているんです。

さらに、トヨタ自動車も、社長自らが「トヨタのこれからは、今までのものづくりをする会社ではなくて、次世代のモビリティサービスを提供する会社になっていく」ということを宣言して、その次世代モビリティサービスの柱にはシェアの概念があって、すでにモビリティにおけるシェアサービスの会社や事業をいくつか立ち上げています。これらを踏まえて、いよいよ“日本型のシェアリングエコノミー”が本格始動する時期だと思います。シェアリングエコノミー業界にとってとても重要な1年になるので、この流れを加速化させたいと思い、手を挙げさせていただきました。

__“日本型のシェアリングエコノミー”とはどのようなものですか?

これは、シェアリングエコノミー協会理事である、ココナラ社長の南さんから示唆いただいたのですが、アメリカや中国、ヨーロッパなど、シェアリングエコノミー先進国でもそれぞれ国によってシェアの本質が異なるのです。例えば、アメリカ型というのは、Uberのようにシェアサービスの新たな会社が既存の産業を破壊して新しい産業を立ち上げていくようなビジネスモデルの最先端であり、グローバリズムの象徴のようなシェアリングエコノミー。一方のヨーロッパ型は、企業ではなく市民が主体と言ったローカルコミュニティによる持続可能性(サスティナビリティ)を前提としたシェアリングエコノミー。

やはり、国や地域によってこれまでの歴史や成り立ち、経済状況などが異なる中では、テクノロジーが社会実装されていく形は様々なんだと思うんです。例えば、中国の人口14億人の上位数パーセントはすごく豊かだけれど、それ以外はまだ車なども所有できていない。だから所有ではなくオンデマンドで利用するシェアリングエコノミーが一気に普及していて市場の大きさでは世界1位と言われているんです。一方の日本は、人口は1憶2千万人だけれど、高度経済成長を経る中で、ほとんどの人があらゆるものを所有できてしまった。所有が前提の価値観や社会の供給システムが強固ゆえにシェアが中国ほど普及していないという背景もあると思います。

そのような国や地域による違いがある中で日本のシェアリングエコノミー普及の形は、現在、直面する世界に類を見ない少子高齢化と言う課題を前提に、政府や自治体、そして、大企業とベンチャー企業が一緒になって市場を作り、課題を解決していくというマルチセクターが協働してシェアリングエコノミーの市場を作っていく形だろうと推測できます。これを私たちは、共創・共助による令和時代の新しい経済「Co-Economy」と呼び、今年のシェアサミットのテーマにしたわけです。

 また、シェアリングエコノミー協会の会員に、個人会員(SHARING NEIGHBORS)が入っているのも日本ならでは。個人が担い手になれるビジネスモデルとして、業界としてシェアリングエコノミーに関わる個人会員も一緒になって新しい社会を作っていこうという、他国にはない取り組みなんです。

__日本型のシェアリングエコノミーはどのような課題を解決できるとお考えですか?

今や人生100年時代。働き方も変わってきましたよね。会社が終身雇用制度を保障できなくなってきたからこそ、選択肢のひとつとして、雇用されながらもシェアサービスで稼ぐという複業の時代になってくると思います。資産のシェア、スキルのシェア……。定年後の老後でも、これらを年金プラスαで稼げたら暮らしが豊になってくるのではないかと考えています。

また、今年は台風被害が全国各地に大きな爪痕を残しましたが、災害大国日本では、災害時のインフラを整備するシステムが早急に必要です。災害対策及び復興には自助、共助、公助が必要だ言われていますが、共助のインフラとして、シェアサービスはとても重要になると思っています。たとえば、家が壊れてしまって住む場所がない人に余っている部屋を貸し出すとか。すでに、災害時のマッチングサービス(助けてほしい人と助けたい人をマッチングするサービス)も出始めていますが、サービスを提供できる個人と利用したい個人を直接つなぐシェアサービスは自律分散型のインフラとして必ず役立つと思っています。

政府、自治体、企業、シェア事業者、個人が手を取り合い、セクターの枠を超えて“共創と共助”による新しい経済・社会「Co-Economy」を実現し、日本が直面するあらゆる課題を突破できると確信しています。

__シェアサミット2019のポイントを教えてください。

11月11日に、虎ノ門ヒルズフォーラムにて、今年も「シェアサミット2019」が開催されます。今年のテーマは、「Co-Economy 〜共創と共助”による新しい経済・社会〜」です。NTT東日本、三菱UFJ銀行、NEC、GMO、電通デジタル、、KPMG、小田急、森ビル、ANA、三井住友海上、Pwc、日本ユニシス、損保ジャパンと日本を代表する大企業が多数協賛してくだっていて、シェアリングエコノミーが新しいステージに入ったことを実感しています。
スピーカーも、衆議院議員の福田達夫さん、東京都副知事の宮坂学さん、『WIRED』日本版編集長の松島倫明さん、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社代表取締役社長 兼CEOの増田宗昭さん、渋谷区長の長谷部健さん、Jリーグ理事の米田恵美さん、株式会社メルカリ取締役Presidentの小泉文明さん、ジャーナリストで評論家の佐々木俊尚さん、国際フェンシング連盟 副会長公益社団法人日本フェンシング協会 会長の太田雄貴さんをはじめ、各セクターにおいて日本を代表する方々ばかり。それぞれの旬なセッションテーマについて各セクターを代表する方々に議論いただき、共創・共助による新しい経済を皆で考えるとともに、日本におけるシェアリングエコノミーの最先端でリアルな未来をお見せできる場になることは間違いありません。

ぜひご来場ください!

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