今年で6回目の開催となるシェアサミット2021。昨年に引き続き、オンラインイベントとなりましたが、5,000名を超える参加者と興味関心の高さが伺えます。

コロナ禍からのしなやかな復興、経済の再生。それには、サスティナブルな課題解決が必要だと考えています。こちらのセッションでは、行政、大企業、学生、スタートアップ企業という立場の異なる4名で、大変革時代の持続可能な経済社会システムの設計とその実践法についてお話伺っていきます。モデレーターは、㈱スペースマーケットの重松大輔さんです。

 

シェアリングエコノミー協会 代表理事/㈱スペースマーケット 代表取締役社長の重松大輔です。遊休スペースの運営を手掛ける「スペースマーケット」は2019年12月に東証マザーズ上場し、現在の掲載登録スペースは16,000件以上になります。パーティ飲み会、撮影収録、趣味遊び、スポーツフィットネス、テレワークにと活用用途はさまざまです。遊休スペースのさらなる収益化はもちろん、今後はSDGsも視野にしれた、壊さない作りすぎない、再利用の世界を目指したいと思います。

 

__ゲストスピーカーの皆さんの簡単な自己紹介をお願い致します。

小泉進次郎さん 衆議院議員(前環境大臣)

私は安倍内閣と菅内閣で2年間、環境大臣と気候変動担当大臣を務めてまいりました。

これから経済を再設計するにあたって重要なのは持続可能な未来を作るにはどうすべきかということです。そのためにはCO2を出さないことが前提となる社会へと移行することが大事だと考えています。在任中は再生可能エネルギーを政策の一つに掲げ、菅総理の宣言によって2050年カーボンニュートラル(脱炭素)への動きが本格化しつつあります。

また来年からは、プラスチックごみの削減とリサイクルの促進を目的とする「プラスチック資源循環促進法」という新しい法律により、全てのプラスチックの利用が変わってくると思います。より環境負荷の低いものが選びやすいように、経済社会のルールが大きく変わっていくと実感しています。

 

小澤杏子さん ㈱ユーグレナ初代CFO/早稲田大学社会科学部

私は、中学3年のときにエネルギー問題に関心を持ち、日本原子力学会誌に論文やコラムを寄稿するようになりました。その後高校2年生で㈱ユーグレナの初代CFOに抜擢され、1年間組織改革に着手。高校時は生物研究に取り組みいくつかの賞もいただきました。現在は、オンラインメディアやテレビなどに出演したりしていますが、本業は現役大学生。今はいろんな環境に足を運んで自分の常識を崩せるように頑張っています。今回は次世代の代表というよりZ世代の一員としてお話できればと思います。

 

青井浩さん ㈱丸井グループ代表取締役社長 代表執行役員CEO

私は公害問題の真っただ中の東京で生まれ育ち、子ども心に「このままでは日本の未来はどうなってしまうんだろう」と思っていました。大人になり経営に携わるようになってからも、ビジネスと社会課題の解決は一体であるという考えは変わりません。丸井ではサステナブルな経営や店舗、クレジット、スタートアップへの投資など、持続可能でウェルビーイングな世界を目指して取り組んでいます。

 

__早速「コロナにおける社会経済の変化について」
行政、大企業、学生、スタートアップ企業という各セクターのリーダーである皆さんのお話を伺っていきたいと思います。

重松さん:スタートアップ企業的には、コロナによって「デジタルトランスフォーメーションを10年早めた」と言われています。働き方もリモートワークが主流になりつつありますし、テクノロジーも大きな成長しています。とはいえ、行政や民間でもまだまだ遅れている部分はあるので、そこはチャンスと捉えていきたいと思っています。

小澤さん:高3の受験期から大学入学までをコロナ禍で過ごしている私からは、コロナがもたらした良い点と悪い点を学生目線でお伝えしたいと思います。まず良い点は、利便性や柔軟性が上がったこと。どこにいても同じ授業をオンラインで学べる、とりたい授業が効率よくとれる、たくさんのイベントにも参加できるなど利便性は大きく上がりました。

その一方で、高校最後の体育祭や卒業式、大学の入学式など、二度と訪れないかけがえのないイベントが中止になりました。友人とも対面での交流はできていないので、これまでのような余韻や時を謳歌するという価値観は減っていると感じます。ただ、チャンスが届きやすくなったのは事実なので、良いと悪いは紙一重だなとも思っています。

 

__青井さんは緊急事態宣言でテナントでの休業要請も大変だったのでは?

青井さん:そうですね。社会経済活動がコロナウイルスというコントロールの及ばない力で強制的にストップさせられました。2ヵ月間お店を開けられなかったのは、戦争を除くと創業以来初、まさに前代未聞でした。ただ、これまで時間に追われて働いていた私たちに「立ち止まって考える機会」が訪れたのは事実です。満員電車に乗る意味など、もう以前と同じ意識ではなくなっています。

それは経済のマクロな視点でも起こっていて、資本主義が“止まれない暴走機関車”だとすると、それが強制的にストップされたことでじっくりとみんなが考えた、このことがすごく大きいと思うんです。それが今後、大転換、グレートリセット、グリーンリカバリーとなって全世界で起こってくると思うし、SDGsもコロナ禍をきっかけに大きく進むのではないかと期待しています。

小泉さん:私は自由についてより考えさせられましたね。青井さんの2ヵ月営業できなかったというお話はまさに、民間企業として自由経済の中でルールにのっとってやっている中、不可抗力で自由が制限されたということ。それは企業も個人も同じであって、今もまだ続いています。緊急事態宣言下では県境をまたいだ移動が制限され、私もこれほど県境を意識したことがありません。東京にいるのに地元の神奈川に戻れない、近くて遠いふるさとに対して地元愛が強くなりました。そして、リモートという選択肢の一方である「対面で会う」「出向く」ことの新たな価値づけが出てきたように感じます。

とはいえ気候変動でパンデミックのリスクはあがっているのも事実です。コロナ後も、より分散化した社会を作っていくためにはデジタル化の整備も不可欠ですが、「誰一人取り残さないために」が大きな課題となってくるでしょう。

 

__続いて、小泉さんもおっしゃっていた「誰一人取り残さない、持続可能なシステム」へ移行するためのファクターと課題については皆さんどのようにお考えですか?


小澤さん:「変わらない良さを好む人」たちもいると思うので、その人たちを上手く説得して「今までの生活に戻る」という価値観を抜け出す必要があるのではないでしょうか。

そして「変わらないといけないタイミングだ」という危機感は誰しもがあると思うので、個人も努力するけれど、大きな力でそれを引き出してほしいです。

課題としては「多様な生き方」は尊重すべきだけれど、「何をもってダイバーシティか」という定義や兼ね合いをどうすすめていくか。最近いろんな方とお話をすると、年齢や世代で視野や方向が違うなと感じるので、どうすれば誰しもが同じ方向を向けるか確認をすべきだと思っています。


青井さん:小澤さん本当に素晴らしいですね! 僕も全く同感で、あらゆるものがこれまでの延長ではなく変えていかないといけないと感じています。イノベーションの促進は人がするものなので人の意識も同様です。具体的には、起業家の育成、スタートアップの支援、
既存の組織や企業との協業の3つがあると思っていますが、大企業の組織の中でも起業家を育成したり働き方を変えるといった「内部での働き方や組織改革」も必要ではないかと感じています。


小泉さん:まさに小澤さんがおっしゃっていた「大きな力」である国を動かすことに私は力を入れてきました。

再生可能エネルギーの目標達成に関しては、青井さんはレアな方で国が動く前から率先して取り組んでくれていましたが、そういった企業はまだまだ少ないのが現状です。「青井さんだから、ユーグレナだからできる」と言われてしまう。そこから「みんながやって当たり前」にならないといけないし、それが政治の力だと思っています。日本は政治からメッセージが出たら一気にそこに向かえる強さがあります。世界で勝てるかどうかは今後次第だけれど、世界では間違いなく温室効果ガスを出さないという前提で競争は始まるし、日本は今まさにそのスタートに立ったところです。

「2035年以降ガソリン車は販売されない」、「2050年には海に流れるプラスチックをゼロにする」など、その礎はできたので、今後は実践の時期だと考えています。

 

__そうした課題を実現するために具体的に動き出している新たな制作や事業があれば教えていただけますでしょうか。

重松さん:シェアリングエコノミー協会では、シェアエコあんしん検定、シェアワーカーサポートプランといった共済や保険も構築して、シェアワーカーの方たちがより良く働けるような環境を整備したり、自治体とのイベントを行ったりして新しい働き方の普及活動に力を入れています。

青井さん:お店ではたくさんのエネルギーを使うのですが、新宿丸井はすでに一館まるごと再生可能エネルギー100%で営業しています。じゃあその次はどうしようと、お客様700万人にアンケートを行ったところ6割の方が「再生可能エネルギーに切り替えたい、使いたい」とおっしゃっていたんです。そこで、再生可能エネルギーの電気代を丸井のカードで引き落とせるよう「みんな電力」さんと一緒に進めているところです。

たとえばお客様50万人が切りかえたら90万トンのCO2が削減できるんです。ただ、温室効果ガス削減のうちエネルギーが占めるのはわずか25%。そこで残りの「食」を代替プロテインなどに変えられるとさらに25%減らすことができるので、熊本の「DAIZ株式会社」さんと取り組んでいるところです。そういった新しいライフスタイルの提案もしていきたいと考えています。

 

__小澤さんの最近の取り組みはいかがですか?

小澤さん:今は大学生でいろいろと準備段階なので「どういう社会をつくっていきたいか」の話を。私はよく同年代から「意識が高い」と言われることがあるんですが、「意識が高い人がなくなる社会」、つまり「私がマイノリティーにならない社会」を目指したいです。多くの人が意識せずとも環境に配慮できることが当たり前になれば、そういう会話も出ないと思うので。大学では社会学なども勉強していますが、大学にはいろんな人がいるなと実感します。意識しているのが「自分の常識を他人に押し付けないこと!」。近い将来何かしらのポジションについたときにふさわしい人になれるよう、今は目の前のことを丁寧に向き合って、いろんな人と対話できるようにしています。

 

__今後注力したいことはありますか?

小泉さん:今回のメンバーは、それぞれがプレーヤーとして違うところにいるのがいいですよね。素晴らしい。世の中のルールを変えるのが政治で、それにより世の中の仕組みも変わってきます。今後は環境に良い取り組みが「我慢」ではなくて「いいことがある」とより多くの人が理解してもらえるように注力したいですね。

具体的には、国の公用車は土日にほとんど動いていないので、それを「シェア用車」に変えられるよう、そのあと押しをしていて、来年から動き出す予定です。

それと、所有からシェアということでは、「エアコンのサブスク化」も進めています。

北九州の学校の調理室にエアコンがなかったんですが、予算上取り付けるのに新品だと13年間かかるところ、サブスクなら2年で実現できるとなったんです。コストの削減にもちろん、熱中症の予防策としても環境省が取り組むことに決めました。

 

__まだまだお話足りませんが、最後に青井さん、一言メッセージをお願いします!

青井さん:シェアエコは所有から共有へという面に加えて、地方での関係人口が結びつくなど。人と人をマッチングさせるのも素晴らしいです。それらが、サステナブルな課題解決はもちろん、ウェルビーイングにも繋がるのではないでしょうか。

 

 

グラレコ作成:シェアエコアンバサダー 山岸さん