近くを走る車をスマホで呼べる、カーシェアとは全く違った、新しいドライブシェアサービスを展開するCREW。今回は、広報の兼田里佳子さんと、ユーザーとしてCREWパートナー(ドライバー)をされている、平野幸司さんに詳しくお話を伺いました。

__CREWのドライブシェアは、他社のサービスとどのように違うのでしょうか?
「CREWのサービスは、小さい頃、近所の人に習い事の送り迎えをしてもらっていたという、弊社代表の幼少期の原体験が基になっています。都合が悪いときに送り迎えをしてもらって、親同士がお礼をする。そんな、日本に昔からあった「“おもてなし”と“ありがとう”の文化」がヒントなんです。ポイントは、使っていない車を人に貸し出すのではなく、愛車を自分で運転したい人と、車で移動したい人とをアプリでマッチングさせること。さらに、利用にかかる費用はガソリン代などの実費とシステム利用料のみで、加えて任意で謝礼を支払うことができるという仕組みです。謝礼はゼロ円から一万円まで、乗った方が自由に決めることができます。現在は東京での提供に加えて、「ローカル・モビリティ・プロジェクト」として、栃木県や鹿児島県など、日本各地で交通課題解決のための取組も行っています。(2019年11月14日現在のサービス利用可能エリアは東京のみ)今後は免許返納後の高齢者の移動手段や、オリンピックでの渋滞緩和策としての有効活用など、様々な交通課題を解決していけたらと考えています」(広報・兼田さん)

__CREWならではのこだわりを教えてください
「海外の配車サービスと似て見えるかもしれませんが、あくまでCREWは“移動を楽しむコミュニティサービス”なんです。CREWパートナーは誰でもできるわけではなく、審査に通過した方のみが登録可能なのですが、実費+任意の謝礼というCREWの仕組みを理解し、運転そのものや、人とコミュニケーションを取ることが好きだという方のみを採用しています。そして、CREWを乗る側として利用する「CREWライダー」は、「お客様」ではなく、CREWパートナーも「運転手」ではないのです。CREWでは、乗る人も、運転する人も、対等な関係です。たとえば、友達に車で駅まで送ってもらったときに“急いでるからもっと早くして!”とは言いませんよね。CREWでも同じように、乗る方も乗せる方も思いやりをもったマナーを心がけてほしいというのが、こだわりの一つです。最近はユーザー数の増加に対して、このようなCREWのこだわり・世界観を新たにユーザーとなってくれた方々に対して伝えきれていないことが課題です。そのために今、このように一部のCREWパートナーの車に、CREWを利用する上でのマナーを伝えるためのパネルを搭載しています。」(広報・兼田さん)


現在は一部のCREWパートナーの車にテスト的に搭載しているとのこと

__平野さんがCREWパートナーを始めたきっかけを教えてください
「僕の仕事は、コンサルテイング会社の経営です。プライベートでは海外の車が好きで、隙間時間に愛車でドライブに行くことが趣味です(今の愛車はシボレー)。アウトプットをすることが多い仕事なので、自分にとってインプットとなるような刺激がほしいなと思っていました。そんなときにこのCREWというサービスを知って、気軽な気持ちで登録をしたのがきっかけですね。実際にやってみると、普段は関わらないような業種の方々とお話をする機会も多く、良いインプットの機会となっています。仕事の空いている時間を使って無理なくやれるので、息抜きにもなっていますね。」(平野さん)

__やりがいを感じるのはどんなときですか?
「僕は、CREWというサービス自体に面白みを感じています。乗る側と乗せる側が対等な関係であり、ドライブを一緒に楽しむというこれまでにないようなサービス体験。そして、任意の謝礼というこちらもなかなか馴染みのない新しい仕組み。車内での会話が盛り上がって、その楽しさを謝礼というかたちで表してくれる方がいれば、足にケガをしてしまって困っていたご婦人から“本当に助かりましたありがとう”と言われ、感謝の気持ちとして任意の謝礼を頂いたり。同じ距離でも、人によってとらえ方が違ったり、いろんな感謝のかたちがあるんだなと勉強になります。あとは、仕事では出会えないような年代や職種の方とお話することができるのは、本業においてもとてもプラスの体験になっています」(平野さん)

__お客様を乗せる際に心掛けていることはありますか?
「そもそもCREWのユーザーは“お客様”ではないので“CREWライダー”と呼びます。運転する我々CREWパートナーと、車に乗るCREWライダーは対等な関係です。そのうえでですが、初めましてのCREWライダーを乗せるときはやはり緊張しますよ。これは僕の職業柄かもしれませんが、相手が何を求めているかによって対応を臨機応変に変えています。疲れていそうなら無理に話しかけませんし、車が好きそうな方だったら車の話を、長時間乗る方から仕事の深い悩み相談を受けたこともあります。誰かに話すことで気持ちが軽くなることもあると思うので、車を降りるときに晴れやかなすっきりとした顔をされていたときは嬉しかったですね」(平野さん)

__マイカーに他人を乗せることに抵抗はありませんでしたか?
乗せる側も、相手がどんな人かはある程度アプリの評価などから分かるので、そもそも行き先などで条件が合わない方はこちらがOKしなければドライブは成立しません。実際に僕は大きなトラブルにあったことはないです。個人的に、道を迷わず行けるかどうかが一番緊張するので、僕は車のナビとiPad、スマホと3台のナビで対応しています。おかげ様で都内の道はかなり詳しくなりました(笑)。

__最後に、これからCREWパートナーを始めてみようという方にアドバイスをお願いします
CREWは好きな時間にできるので、まずは気軽に登録して始めてみるといいと思います。長くやることでスムーズに対応できるようになることもあるので、2,3回やって楽しくないからと諦めないことがポイントかもしれませんね。大人になってから新しい体験にチャレンジできることってあまりないですから、日々の生活に新しい刺激を求める方、運転が好きな方、人が好きな方、にはおすすめですね。

平野さんの愛車、1967年式のシボレー。「この車でお迎えに行くと、大抵驚かれますね(笑)。パートナーの車種はさまざまですが、中には僕のように変わり種の車で登録している人もいるんですよ」と平野さん。

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