複数のシェアリングサービスの活用を推進するシェアリングシティ宣言。早くから導入をしている千葉市。同市は東京2020大会(7月、8月)に向けて、市民参加(自宅を宿泊施設)のホームシェア(イベント民泊)の機運を高めるシンポジウムを2月14日(金)に千葉市民会館(小ホール)で開催しました。その模様をレポートします。

私なりのおもてなし~出会いの感動を千葉で

東京オリンピック、パラリンピックの開催まで5カ月足らず。千葉市では1000人泊の宿泊ゲストを目標に、千葉市シェアリングエコノミーシンポジウムを開催しました。テーマを「東京2020大会における私なりのおもてなし~出会いの感動を千葉で・・・世界とつながるホームシェア~」と掲げています。

2月14日(金)午後2時から4時まで、千葉市民会館の小ホールで、対象を「千葉のお住まいの方」「ホームシェアを実践したい方、ホームシェア等のシェアリングエコノミーに興味のある方」「千葉市に拠点を構える企業、金融機関、ボランティア団体や教育機関等」「千葉市の経済活動に関わる方」に絞って、100名規模の事前申し込み(参加無料)行われました。

プログラムの冒頭が主催者挨拶として、千葉市総合政策局 国家戦略特区担当局長の稲葉勝義氏が挨拶。「千葉市内の施設で7月に3競技(フェンシング、テコンドーレス、リング)、8月に4競技(ゴールボール、シッティングバレーボール、車いすフェンシング、テコンドー)が行われます。自宅を宿泊施設(イベント民泊)として提供していただく方の情報提供も兼ねています」とオリンピックムードの機運を盛り上げていくことに触れて挨拶を述べていました。

次に、基調講演で「~東京2020大会におけるホームシェアの役割とレガシ―」と題し、Airbnb Japan株式会社 執行役員の長田英知氏が語った。ホームシェアの役割と過去のオリンピックに触れて、リクエスト予約、決済システム、相互レビー、24時間サポートなど6つの特徴について簡単な説明がありました。

自分に合ったおもてなしが民泊ホストの真骨頂

引き続いてホストトークとして、「~ラグビーワールドカップ2019日本大会や千葉市でのホームシェア体験談~」を語ってくれました。株式会社パソナJOB HUBの川崎陽子氏がモデレーターになり、ホームシェア経験者(千葉市在住)の神長尊士氏がリードしながら話を進めていきました。82歳の父親とSNSを駆使できる息子のコンビでホームシェアを経験しています。ウクライナ人を2人宿泊させるのですが、最初、「不安と期待」で戸惑ったこともありましたが、父親のジェスチャーと翻訳アプリ(息子が操作)で十分コミュニケ―ションが取れた、と喜んでいました。息子さんは「今回の東京2020大会にもイベント民泊を父親は楽しみにしています。言葉以上のつきあい、日本の普通の生活を知ってもらい、ウクライナ人に喜んでもらったことで、ホームシェアの楽しさに気が付いたことが良かったです」と語っていた。

プログラムのメインのパネルディスカッションには、基調講演で登壇した長田英知氏と、一般社団法人シェアリングエコノミー協会事務局長の石山アンジュ氏、ホームシェアホストの実践者である金井美代子氏の三人と、モデレータ―に株式会社パソナJOB HUB 小柳秀吉氏が担当して行われました。

金井美代子氏のプロフールを見ると、「独自のおもてなしで好評の民泊ホスト。貸し出す部屋は6畳1室のみで、英語は得意ではない。70代の美代子さんは世界中の訪日ゲストから慕われる理由は、自身に合ったおもてなしをしていること。まずは『自身が健康で楽しく過ごす』ことを大切に考え、ゲストと楽しい時間を共有することで、日本での滞在が『楽しみや喜び』に満ちるように、幸せの連鎖を心掛けたおもてなしはゲスト満足度にも表れており、ゲストからは帰国以降も連絡があり、リピータ―もいるほどの民泊ホスト」となっています。

親戚を泊める感覚で

石山アンジュ氏はシェアライフの広がりについて言及し、テクノロジーの普及でシェアリングエコノミーがかなり浸透していること語っています。衣食住の各分野にシェアリングエコノミーは拡大し、市場規模も1兆8000億円、10年後は11兆円と予想するところもあります。シェアが個人にもたらす影響はますます拡大していくと話をすすめていました。

長田英知氏は「民泊は欧米に比べ日本人になじみがなかったが、現在、多くの人が利用していて、東京2020大会で民泊は急上昇すると思います。日本の観光名所に限らず、ローカルに民泊するという体験をしたいというニーズは高まっています。3世代のファミリーで利用するケースも目立ち、ホテルよりもインパクトのある民泊利用をしています。『体験を提供してくれる人に会いたい』という、ニッチな体験を希望する人は増えています」という。

また、長田氏は「ホームシェア、イベント民泊などは、個人が安全安心のためにホスト間の情報交換が重要です。困ったことが起きたらどのように対処しているか、という情報です。おもてなしは、本当のローカルの日常生活の中で自然と出てくる気づかいに尽きるのではないでしょうか。顔の見える民泊こそおもてなしの極意かもしれません」という。

イベント民泊は掃除がきれいにされていれば、心配ない。親戚の人を泊める感覚でやればいい。日本の日常生活に触れたいという訪日外国人のおもてなし準備が始まっていいます。