人気お笑い芸人が数多く所属するあの「吉本興業」がシェアリングエコノミーの分野で新たなビジネスを始めるというニュースが注目を集めているのをご存じでしょうか。そこで、ユヌス・よしもとソーシャルアクション株式会社(yySA)の代表取締役社長である小林ゆかさんに詳しくお話を伺ってきました。吉本ならではのユニークな発想や取り組みは必見です!

__小林さんのこれまでの経歴を教えてください

学生時代から執筆業をしていて、卒業後はソニーや資生堂などのブランド戦略の仕事をしてきました。吉本興業㈱の現社長である大崎さんとは20年来のお付き合いがあり、社長に就任された10年程前に「一緒に新しい吉本を作っていこう!」お声掛けいただき、社長室で行政戦略に携わってきました。具体的には、経産省との取り組みで、「一発屋芸人は再生できる?」をキャッチに「一発屋芸人×再生エネルギー」をPRする仕事などもしました。(笑)

一般的に難しいとされる分野こそ、吉本ならではのエンタメ力を使って新しいPRができるのではないかと思うようになりました。

__「ユヌス・よしもとソーシャルアクション」を設立した経緯を教えてください

きっかけは本当に偶然なんです。兼ねてから、私自身はムハマド・ユヌス博士(2006年にノーベル平和賞を受賞した経済学博士。ソーシャル・ビジネスの提唱者)の本を読んだり、講演を聞いたりして、「何かおもしろいことができないか」と漠然と考えていました。そんな折、2017年の11月に偶然ご本人にお会いできる機会があり、吉本の社長と私とで伺いました。そこへ、私の中で思い描いていたユヌスさん×よしもとのイメージを3枚の資料にして持っていったんです。ユヌスさんがサンタクロースなら、私たちはトナカイなんだと。サンタさんのプレゼントのように日本の消費者へソーシャルな取り組みを使って、いろいろな社会の課題解決や新しい社会の仕組みを届けたいんだという…。
すると、1枚目の資料を見ただけで、ユヌスさんが「ぜひやりましょう!」とその場で即決してくださって。3ヵ月後には「ユヌス・よしもとソーシャルアクション」が設立し、気がつけば私が代表取締役になっていました(笑)。

__具体的にはどんな事業をしている会社なのですか?

ソーシャルビジネス分野の熱い想いを持った起業家の方たちは、みなさんすごく良いことをやろうと一生懸命なのに、その熱意が消費者やお茶の間に届いていなかったりしますよね。私たちは、吉本のエンタメ力を使って、ソーシャルビジネスの仕組みをダイレクトに消費者やお茶の間に届けていくことができるのではないかと考えています。最終的には、消費者側からソーシャルビジネスを応援していくような仕組みをつくりたいですね。
具体的な取り組みとしては、2011年から始めている「住みます芸人」もその一つ。47都道府県に、東京で活動していた芸人が出身の地元に戻って、お笑いだけではなく、地元のいろいろなお祭りや雪かきなどお手伝いをしていこうという活動をしています。

__「住みます芸人」とシェアリングシティの連携について詳しく伺えますか?

例えば、地方に多くあるシャッター商店街。これは地域にとっては負の遺産と思われがちですが、あるサバゲー(サバイバルゲーム)の会社さんにとってはお宝だったんです。光線銃を自由に打ちまくれる屋外の立地は中々探すのが難しいようで。今、沼津の商店街で実現化に向けて動いているのですが、地元のTV局がその様子をレギュラー番組にしてくれることになりそうなんです。
誰かにとっては負に思うものでも、別の人にはお宝になるんだと。私たち「ユヌス・よしもとソーシャルアクション」の取り組みを応援してくれるスタートアップ企業と「住みます芸人」の悩みをマッチングさせたら新しいビジネスが生まれるんだと改めて思った瞬間でしたね。

__小林さんが仕事を進める上で大事にしていることは何ですか?

個人的にはコンセプトやキャッチコピーといった“言葉がもつ存在感”がすごく好きで大事にしています。「住みます芸人」もそう。漠然とした思いも文字にすることで、存在感を持ってくる。特に私たちのように不特定多数の消費者の方に伝えるビジネスにおいては、その意味がとても重要なのではないかと思っています。

__今後の目指すべきところ、目標を教えてください

昨年から開催している京都国際映画祭では、“よしもとアーキグラム”と題して、京都の伝統工芸を使った新しいカルチャーシェアリングも展開しています。10/13(土)には「京暮らしとシェアエコ」というテーマで、伝統工芸士やクリエイター、シェアリングエコノミー協会の方を招いたトークショーを京都の町家で行います。入場無料なのでぜひいらしてほしいですね!
去年は京都の伝統工芸・京扇子×アニメをコラボした「告白扇子」を作りましたが、今年は家紋をテーマに、高級ジュエリーブランド・スワロフスキーとコラボした袱紗も作り、家紋を擬人化したアニメやゲームなども作成できたらなと思います。


伝統工芸って本当に奥が深いし、とてもカッコイイもの。メディアも「人手不足だ」などとマイナスな面だけを伝えるのではなく「こんなにクールでかっこいい!作っている人たちもイケてるんだ」ということを動画などを使ってポジティブにPRしていったら、「やりたい」「引き継ぎたい」という人が出てくると思うんです。アイドルのように“押し職人”を作って、その職人たちを気軽にクラウドファウンディングで応援できるようなサービスもあったら面白いですよね。同じことが医療の分野などでも言えるのではとも思っていたり…。
「消費者の考え方が変われば社会がきっと変わるはず!」。これが、今私たちが掲げる目標ですね。

この記事の登場人物
この記事の登場人物
  • 小林 ゆか さん
    ユヌス・よしもとソーシャルアクション株式会社 代表取締役社長 
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