「この体験が、旅になる」をコンセプトに暮らしを体験として提供するTABICAが主催するGRID HARVEST FESTIVALに参加してきました。今回紹介するTABICAのホストは、日本文化の特異性を身体を動かすことで感じる体験を提供する、近藤康成さんです。時代劇に俳優として接していくなかで気づいた、やらなければ分からない体験の凄みについて聞いてみました。

ーーまず、TABICAを始めたキッカケは何でしょうか。

知り合いの紹介です。TABICAで体験を提供するときは、永田町GRIDを利用することができます。GRIDは立地も良く、普段(別のホームページで募集しているとき)とは違うメンバーを集められます。日本文化を伝えるプロジェクトを始めてからは、宣伝に苦労しました。友人と、そのSNSの口コミで広まっていくことに限界を感じていたとろ、TABICAに出会い利用することになったのです。

ーー「伝ふプロジェクト」について詳しく教えてもらえませんか。
日本の伝統がある文化、例えば刀を使った所作や、侍風着付けを行なうイベントを開催しています。知識ではなく、体験してもらうことに比重を置いています。
武士道は、精神論ではなく身体論です。身体の動かし方を学ぶためには、言葉だけではとても足りませんが、体験すれば一発で分かってもらえます。例えば、ノコギリは日本だけが引いて切ります。他の国が押してきっているのであれば、日本もそれに合わせれば良いのですが、日本人がノコギリを引くのは理屈ではありません。ろくろは日本だけが逆回り、世界中が「That’s Right」と言って右が正しいとしているのに、日本だけが「左様でございますか」と左が正しいとしています。こうした全てのことは理屈で考えても筋が通りません。身体を動かして見ると、こういう感覚が好きだからそうしていると気づくのです。だから体験してみなければ何も分からないのです。

みなさん、有形なものを基準に考えてしまいがちですよね。着物の腰つけや生地が何であるかなど、しかし着心地や、着物を着ている時の風情であったり、無形なものこそに文化の真意があります。

無形なものを伝えるためには、体験しかありません。
それが、「伝ふプロジェクト」です。

ーー初めて、TABICAで体験を開催したときのことを教えてください。緊張はしませんでしたか。

緊張はそんなにしませんでした。しかし、一度も会ったことがない方が来ます。先ほども話した通り、私たちは無形なものを取り扱っているため、インターネット上では全てを正確にお伝えするのは難しいです。体験をどのように解釈されて、期待外れになってしまわないかなと不安になることはあります。

しかし、実際に来ていただいた方にはいつも満足してもらえています。きちんと私たちが無形なものを取り扱っていて、実際に体験すれば分かるというのを理解してくれているのですね。

ーーTABICAだからこそできたことは何かありますか。

永田町GRIDで開催できることはありがたいです。この辺りは、江戸城の近くで私が継承している日本文化が色濃く築かれた場所です。ゆかりの場所で、無形の文化を伝えることができるのはTABICAならではだと思っています。

ーーぶっちゃけ、TABICAでどれくらい稼がれているのでしょうか。

多くはありません。準備や用意を含めたコストを考えれば、お金のためにやっているものでは続きません。私がTABICAやこうしたプロジェクトを開催するのは、お金以上に大切なものをここで見つけられるからです。それは、新しい出会いです。

体験を開催していると、ワークショップだけでなく、個人的に飲みに行きたいですと誘ってくれる方もいました。まあ、男性なんですけど(笑)文化を伝えるというニッチですが、意義のあることをしています。企業でやるように営利的な目的で人を集めることはできませんが、想いに共感してくれる同士がいます。こうした同士が一人ずつ増えていくのは非常に嬉しいことです。

ーーホストをやりたいけど、なかなか一歩が踏み出せないという方に向けてメッセージやアドバイスをいただけますか。

うまくいかないこともあるかもしれません。しかし、こうした経験もかけがえのないものです。それでも失敗が怖いという方には、TABICAをおすすめします。自分で企画して、場所を借りて、宣伝をするというのは実際にやってみると分かりますが、思っている以上に大変でリスクもあります。TABICAはその点、サポートがしっかりしているので安心して始められる、シェアエコ初心者にうってつけのプラットフォームです。失敗したからといって罵られるわけでもないし、ノルマ達成しなくて誰かに責められることもありません。大きく失敗してもいいと思います。ダメならダメでも、続けていれば新しい人に出会い、少しずつうまくなっていくので。