確定申告の時期を迎える。この時期、税の処理方法や不慣れな計算で頭を悩ませる人も多いのではないだろうか。毎年、確定申告をしている人間ですらそうなのだから、Airbnbを始めたばかり、もしくはこれから始めようという人にとって、そこで得た収入・かかった費用をどう扱えばいいのか……そもそも何から始めればいいのかも、よくわからないかもしれない。

そんな方に向けた「Airbnb確定申告勉強会」が、Japan Airbnb Hosts Community (元Airbnb社公認のTokyo Hosts Community)主催により1月15日に都内で開催された。その概要をレポートしたい。

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大盛況の「Airbnb確定申告勉強会」

2016年は「シェアリングエコノミー元年」になるといわれている。

たとえば昨年末、東京都大田区議会は国家戦略特区の特例を受け、自宅の空き部屋などに観光客を有料宿泊させる「民泊」を認める条例の制定を承認。区全体の約3分の2が民泊可能地域に指定された。これによって、昨年注目を集めたAirbnbのさらなる活用が期待されている。

一方でそれは、一般の方がこれまでになかった副収入を得ることを意味する。折も折、確定申告の季節だ。今年の申告義務はなくとも、これから「民泊」を進める上で自宅を改修したい、ベッドや家具を買い替えたいといった「設備投資」を進める上でも、あらかじめ税の知識、確定申告の備えをしておいた方が得策だ。

そんな方に向けて開催されたのが「Airbnb確定申告勉強会」だ。

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この勉強会には、日本における「民泊」を推進する「一般社団法人民泊協会」の代表理事・高橋延明さんも参加していた。

高橋「民泊を日本に根づかせる上で、税の部分がひとつの障壁になっています。たとえば、住宅ローンを抱えている物件を人に貸した場合、税の扱いはどうなるのか? こうした問題の解釈は日々変わる部分もありますし、そもそもの部分で、自分たちが持っている知識は合っているのか。もっと新しい情報や意見が聞けるのではないか思って参加しています」

Airbnbの利用者である関口義広さんは、「昨年末に一件、Airbnbの取引を始めたばかり。これからAirbnbを本格的に活用していきたいと考えています。その上でトラブルなどを未然に防ぐためにも、しっかり税の知識を身につけておきたいと思いました」と参加動機を語ってくれた。

会場に用意された40席。開場間もなくその席は埋まり、さらに20名近い人が立ったまま受講するという白熱教室と化した。

Airbnbと税の「扱いの難しさ」

「Airbnbでは海外の所有物件で取引を行うケースもあると思います。ところが、こうした実例に対して、明確にルールが定められていないのが現状です」

開口一番、Airbnbと税の「扱いの難しさ」を解説したのは、この日の講師を務めた田邊国際税務事務所の田邊政行税理士だ。

「特に海外関係の物件に関して、日本の所得税法のルールに明確な記載がされていない、というケースが増えています。つまり、これほどグローバル社会になるということが想定されずに法律が作られているわけです」

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以降、宿泊料金をドル建てにする場合と円建てにする場合の為替の考え方、見落としがちな「消費税」と「宿泊税」の問題、必要経費の考え方などを解説していく。そしてその話を受け、受講者から次々と質問の手が挙がる様子が印象的だった。

「年をまたいだ宿泊はどう計算すればいいでしょう?」
「自宅の一部を貸す場合、消耗品などの経費の考え方はどうなりますか?」
「昨年の宿泊実績はないが、設備投資にかかった費用はどうすればいいの?」
「オーナーが別にいる物件をAirbnbで貸す場合の留意点は?」
「自宅のリフォーム費用はどこまで計上して大丈夫?」
「勤め人が副業でAirbnbをする際の申告方法や注意点は?」
etc.

とにかく質問が途切れない。その熱に応えるように、田邊税理士も懇切丁寧に回答していく。似たようなケースでも、質問者の居住地、収入、生活事情などによっても回答が変わってくるだけに、その「背景」も読み解きながらの解説が続いた。

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一見すると、ただただ難しく、煩わしい「税」と「確定申告」の問題。本来、もっと自由で便利に、自分らしくあるための「シェアリングエコノミー」の概念とは対局の部分でもあるだろう。だからといって、面倒くさがるのは得策ではない。どうせバレないだろう、といった発想を持つことの危険性についても田邊税理士は言及した。

「今後、税務署がAirbnbに注目していくのは間違いありません。そして調査官は、Airbnbの物件情報を容易にチェックすることができます。しっかり備えるためにも、そしてまだ明確にルールが定められていないからこそ、確定申告はプロの税理士に頼むのが得策ではないでしょうか」

Japan Airbnb Hosts Community主催のこうした勉強会は、今後も開催される予定だ。

生活を豊かにするシェアリングエコノミーだからこそ、しっかりした備えをして余計な憂いはなくしておきたい。