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11月24日(木)、日本初の試みとして長崎県島原市、佐賀県多久市、静岡県浜松市、千葉県千葉市、秋田県湯沢市の5都市による「シェアリングシティ宣言」が行なわれました。

「シェアリングシティ宣言」とは、一般財団法人シェアリングエコノミー協会に加盟するシェアサービスを利用・提携して運営を行なっている地方自治体を対象に「シェアリングシティ」を認定し、シェアサービスを活用した先進的な都市づくりの輪を広げていく試みのこと。この日は“日本で一番シェアを体験できるビル”として新たに誕生した『Nagatacho GRID』に、「シェアリングシティ宣言」をした5都市の市長・副市長が集い会見を行いました。

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▲内閣官房IT総合戦略室の松田昇剛企画官

少子高齢化が進む日本において、シェアリングエコノミーは大都市はもちろんのこと、地方の中・小都市においても問題解決の方法として期待されています。記者発表会ではクラウドワークスの石山安珠氏の司会のもと、シェアリングエコノミー協会の代表理事である上田祐司氏(株式会社ガイアックス代表執行役社長)、重松大輔氏(株式会社スペースマーケット代表取締役CEO)が「シェアリングエコノミー」の概要をプレゼンテーション。内閣官房IT総合戦略室の松田昇剛企画官による政府の取り組みの紹介に続いて、5都市の市長・副市長から各都市の具体的な取り組みや問題点、シェアリングエコノミーに寄せる期待が語られました。

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▲写真左から、長崎県島原市・古川隆三郎市長、佐賀県多久市・横尾俊彦市長、秋田県湯沢市 藤井延之副市長、静岡県浜松市・鈴木康友市長、千葉県千葉市・熊谷俊人市長

長野県島原市

「長崎県島原市は、島原城・武家屋敷などの旧城下町の街並み、さらには有明海の豊かな海産物、農産物、温泉などに恵まれた観光都市です。しかしながら、25年前の雲仙普賢岳の噴火災害以来、観光客の落ち込みが進んでいます。その中で、たとえば『島原城をシェアしてみたい』など、第3者の方にこれまでにない島原を活用して頂ければと思っています。シェアリングエコノミーとの連携を通し、市民も主体的に参加する新たな観光推進体制を構築したいと考えています。」(長崎県島原市 古川隆三郎市長)

佐賀県多久市

「多久市は佐賀県の中央にあり、本年度はシェアリングサービスの事業者さんから講師をお招きしてセミナーを開催中です。地方にあっても、技術・スキルを持っている人が収入を得たり、自己実現が出来る可能性を感じています。公民連携の共助型の新たな公共マネージメントを行なうため、『ワーキングサポートセンター』という専用のスペースも作りました。NPOの方にも参加いただいて、新しい経済の可能性を発信していきたいと考えています。」(佐賀県多久市 横尾俊彦市長)

静岡県浜松市

「平成17年に12市町村が合併し、政令指定都市に移行した浜松市は、全国で2番目に広い面積を持っています。公共施設だけで2000を越え、道路は日本一の8600km、橋も6000橋保有しています。そこでファシリティマネジメントに取り組んだのですが、公共施設等の統廃合だけではなく、有効活用もしていかなくてはいけないと考えています。中山間地域の活性化のため体験型旅行を発信している他、佐久間では公共交通の不毛な地で、いわゆる『NPOタクシー』事業も行なっています。また、今年の4月からは市の若手社員を株式会社スペースマーケットさんに派遣しています。」(静岡県浜松市 鈴木康友市長)

千葉県千葉市

「千葉市は以前からICTの活用でマッチングに取り組み、様々な公共インフラの不具合について、スマートフォンを使って市民のみなさんの目と力を市のマネージメントに生かしてきました。シェアリングエコノミーが技術的にも色々なものが出来上がってくる時代の中で、国や事業者のみなさんと出来ることからはじめていきたい。ICTを活用する、活用しないシェアリングも含めて、面白い体験やマッチングが出来る都市を目指していこうと思っています。」(千葉県千葉市 熊谷俊人市長)

秋田県湯沢市

「湯沢市は秋田の最南端で、豪雪の地域です。人口減少は地域によって様々な形がありますが、それに最初に向き合うのは過疎地です。これからは人口が少ないところから問題に直面していく。そこで湯沢市では、子育てシェアリング事業によって、誰もが子供を地域の財産として考えられるような地域にするために、子育て支援を必要としている方と支援をしたい方のマッチングを進めています。」(秋田県湯沢市 藤井延之副市長)

「シェアリングシティ宣言」を行なった都市は、規模も地域の特徴も、抱えている問題も様々。しかし、民間と行政とが手を取り合うことで問題を解決し、都市の可能性を広げようとする点では共通しています。大都市では人口集中によって生まれる問題解決の方法のひとつとして、また、日本創成会議・人口減少問題検討分科会によると14年の時点で896の自治体が「消滅可能性」を指摘されている地方自治体にとっては、過疎化の改善策として、シェアリングエコノミーは都市運営の大きな役割のひとつを担うことになるはずです。17年度には、シェアリングエコノミー協会と一般財団法人エリア・イノベーション・アライアンスとが提携して民・官にシェアリングシティ実現のノウハウを提供するシェアリングシティ・ラボも開校予定。「シェアリングシティ宣言」も、17年度中に30都市を目標に進められていきます。詳しくは、今回の発表と同時に公開された「シェアリングシティ」公式サイトをチェックしてみて下さい。

Photo by YosukeKAMIYAMA