先日、Nagatacho GRIDで今冬オープン予定である「つながりシェア保育園」のコミュニティイベントが行なわれました。イベントは、クラウドファンディングで1億7400万円もの運用資金を11日間で集めた異例のプロジェクト「つながりシェア保育園」がクラウドファンディング成功からどのような軌跡を辿っているのか?また、一方でイベントの参加者たちと新しい保育のカタチを模索したい!という目的のもとで開催に至りました。

シェア保育園は、シェアハウスが併設された保育園施設となっており、保育に携わる関係者だけでなく保育とは一見関係のない外部との交わりも含んだ新しい保育のカタチを目指して始まったプロジェクトです。プロジェクトは、発起人である正和学園の斎藤さん、株式会社mazelの佐別当さんによる強い想いからスタートし、昨年8月に不動産に特化したクラウドファンディングサービス「クラウドリアルティ」での資金調達を経て、現在は施設の建設に向けて設計・着工段階へ準備を進めている段階です。

今回のイベントレポートでは、”保育園+シェアハウス+民泊が集約された施設”という前代未聞のプロジェクトの裏に隠された、シェア保育園の何が一体すごいのか、これまでの保育園とは違うのかという視点から、イベントで明らかになった内容をいち早くお届けしたいきたいと思います。

待機児童を減らし、仕事と子育ての両立を促すための施策の一環として、内閣府主導で2016年4月より企業主導型保育園がスタートしました。企業主導型保育園とは、会社がサポートする保育園のことを指し、わずか数年の間に70,000人分の受け皿を作ることに成功した現在注目を集めている制度です。

シェア保育園は、現在提供企業を募集しており、会社が提携企業に参画することで、その会社に所属している社員の育児を優先的に入所案内することができる仕組みを設けています。こうした企業主導型保育園を採用することで、遅い時間まで預けられる延長保育や夜間穂いう、日・祝も預けられる休日保育といった預ける側のワークスタイルに柔軟に対応したサービスを受けることができます。

サービス関係性の反転

これまでの保育園はサービスを提供する側(保育園)と、サービスを受ける側(育児を預ける親)が向き合うような関係にありました。こうした相対する関係となることで、お互いの要求を合意することができず、その間にわだかまりが生じてしまうようなことも少なくありません。

今回のシェア保育園の場合、サービスを受ける側が自ら出資しているケースも多数存在しています。これは、育児を預ける親がその保育園の所有者、すなわち一部分である前提で、子どもを預けることを意味します。この関係は、互いの利害関係の上で向き合うような、従来の保育園の関係とは異なり、利害を共有し、共にサービスを作っていこうという、これまでにない新しい試みとなります。

所有のシェア

保育所施設には、生活に必要なものがすべて取り揃えられています。これらを”シェアする”というのが、シェア保育園で行なわれる挑戦の一つです。アーティストが教えるホームスクーリング、子育て支援機能(子育てカフェ等)、キッチンスペース、あらゆるコトやモノが地域や、シェア保育園に訪れる人たちへ開け放たれていきます。

シェア保育園の前進となる、マイホームとシェアハウスとゲストハウスを1つにした「Miraie」でも行なわれていた食育、アトリエ、イベントカフェ、これらを中心に、様々なアクティビティが実施予定です。

基本理念は「いきいき」

シェア保育園の基本理念は「いきいき」。保育に携わる関係者だけでなく、シェアハウスや民泊といった保育とは直接関係のない人たちが行き交うシェア保育園では子どもの成長、発達に寄与する全ての人たちが教育者であると定義しています。

「新しい保育のカタチとして、子どもが生きる力を身につける為にはどうしたらいいのかが原点にあります。子どもたちが何をつかみ取ろうとしているのかに耳を傾けることが大切です。この傾聴を繰り返すことで、徐々に子どもたちが自分自身で考え、自分自身で意欲を持って働けるようになる。この状態のことを『いきいき』と呼んでいます。」と斎藤さんは続けます。

「関わる人たち全員が教育者という意識を持ち、全員がいきいきしないと子どもたち自身もいきいきはしません。社会全体をいきいきさせるためには、子どもたち、自分たちから始めていこうという想いを基本理念に込めています。」

シェア保育園に入所する子どもたちの年齢は、0歳〜5歳。彼らが大人になる頃、どんな職業、業界が主流となっているのかは誰にも分かりません。今の時代に合わせたスキルや知識をただ教えただけでは、彼らが大人になる頃には時代遅れとなっているでしょう。
答えを知っている人材ではなく、どんな時代でも答えを導き出せるような人材が求められていくことを想定し、つながりシェア保育園は2030年以降に活躍する人を育てていかなくてはなりません。

シェアリングエコノミーに囲まれた環境で育つ子どもたちが何を考え、どんな世の中を作っていくのか、その答えがぎゅっと詰まった「つながりシェア保育園」。今後もシェア保育園の進捗に目が離せません。

この記事の登場人物
この記事の登場人物
  • 齋藤 祐善
    学校法人 正和学園理事長。他に社会福祉法人保育園運営。前職は、保育園園長、町田市議会議員(2期)幼児教育・保育を中心に、日々お仕事邁進しております。過去にはITベンチャーのお仕事も。
  • 佐別当 隆志
    株式会社mazel 代表取締役、一般社団法人シェアリングエコノミー協会 事務局長、株式会社ガイアックス ブランド推進室。 2016年1月一般社団法人シェアリングエコノミー協会を設立し、事務局長に就任。2017年3月内閣官房 シェアリングエコノミー伝道師に任命される。トライセクターの政治起業家として、日本におけるシェアリングエコノミーの普及・推進と共助社会の実現を目指し、法規制の緩和やユーザー理解の取り組みに従事。
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