愛犬を預けたいと考える飼い主と、預かってくれるドッグホストをマッチングするWEBサービス「DogHuggy(ドッグハギー)」に注目が集まっています。実際にドッグホストとして登録してワンちゃんを預かっている川瀬夫妻にインタビューし、登録の経緯や、実際に預かってみての感想などをお聞きしました。

――まずは、DogHuggyでドッグホストを始めたきっかけから教えてください。

奥様:元々は、私たちが飼っている犬をどこか信頼できるところに預けたいなと思ったところから始まりました。

川瀬さん:海外旅行に出かけるときには連れていくことが難しいので、どうしても預けざるを得ないんです。

奥様:これまでも色々なところを探していたんですが、なかなか良いところがなくて…。閉じ込めっぱなしのペットホテルだと可哀想だし、本人がストレスを感じないような環境に預けたいんです。言葉を喋れるわけではないですから、預けられている間どういう状況だったか? 本当にお散歩には連れて行ってもらったのか? なんて後から聞くことはできないですよね。

川瀬さん:これまで預けたホテルも一長一短あって、帰ってきてから体調を崩してしまったり…。やっぱり、ストレスを感じていたのかなと思ってしまいます。

奥様:私たちがちゃんと下見をしなかったのが悪いんですが、当日預けに行ってみたら、ものすごい匂いで環境が悪かったりとか…。

川瀬さん:入った瞬間じめっとした空気が漂っていて、とにかくたくさんの犬が詰め込まれているような場所もありました。でも、もう旅程は変更できないから、そこに預けざるを得ない…。

奥様:後悔したことが何回もありました。旅行に行っていても、心配で心配で楽しめない…なんてこともありましたね。

――どこか良い預け先はないものかと探していた時に、DogHuggyを見つけたのですね。

奥様:最初は、海外に似たようなサービスがあるということを知って、それの日本版みたいなものはないかな? と探したんですね。愛犬家に預けたほうが、可愛がってもらえるんじゃないかなと思ったんです。うちの子は、すっごく寂しがり屋なんで、一緒に遊んでくれる人に預けたほうが喜ぶんじゃないかって。

川瀬さん:僕は個人的に、今のペット業界の在り方にも疑問を持っていた。やっぱり、いかにも業者っぽいところは信用できない。個人の愛犬家のほうが安心して預けることができるのではないかと、感覚的に思いましたね。

――そしてDogHuggyを見つけて、早速預けてみようと思ったのですね。

奥様:見つけたときは、DogHuggyのサービス自体が立ち上がったばかりのタイミングで、まだ登録しているドッグホストの方が少なかったのかな。しばらくたって、旅行に出かけるタイミングで預けてみようと思った時には、けっこう登録者が増えていたように記憶しています。新しいサービスではありますが、私自身、元々“新しモノ好き”なので、すぐに試したくなる性格で。面白そうだから、やってみようと思いました。

――不安は、全然なかったのですか。

奥様:もちろん、不安がなかったわけではありません。だからこそ、登録情報をじっくり見て慎重にドッグホストの方を選びました。

川瀬さん:私たちが選んだのは、世田谷在住で緑の多い公園横のマンションに住んでいる方。それがPR欄に書いてありましたから、環境的には申し分ないなと思いましたね。

奥様:その方もフリーランスでお仕事をされていて、基本的には家にずっといらっしゃる。

川瀬さん:そうそう。犬と一緒にいたいからフリーになったと言っていました。

奥様:犬同士の相性を確認したかったので、DogHuggyのサービスに含まれている“事前面談”の制度を活用して、うちの子も連れて行って顔合わせをしたんです。

川瀬さん:先方のワンちゃんは黒ラブで、かなり大きかった。

奥様:落ち着いた紳士のような犬だったね。

川瀬さん:ウチの子はあんな感じで落ち着きがないですから、それを温かく見守ってくれるような感じでしたね。ドッグホストの方も信頼できる感じでしたし、環境も申し分ないし、犬同士の相性も問題なさそうだったので、その方にお預けすることにしました。

奥様:登録している方は全員、DogHuggyのスタッフさんの審査に通過した信頼できる方々なので、ドッグホストの方に対する不安は全くなかったんです。でも、やっぱりホテルに預けるのとは違った心配はありました。やはり、プライベートな空間にお預けするわけですから、ドッグホストの方が大切にしているものを壊してしまったり、電気のコードを噛んでしまったりとか。
あるいは、ベッドの上で粗相しないかとか。でも、そういう心配があることをドッグホストに話をしたら、「大丈夫ですよー」っておっしゃってくれて。そこは愛犬家同士ということで理解があって、安心しました。

――実際に預けてみて、いかがでしたか?

奥様:すごく良かったですよ。私たちはもちろん、恐らくウチの子も大満足だったと思います。ドッグホストの方が、ものすごくマメに何度も写真を送ってくださったんですね。散歩中であったり、一緒に遊んでいる様子であったり。だからものすごく安心できて、旅行も楽しむことができましたし、本当に預けてよかったなぁと思いました。

――預けてみて満足したから、ご自身もドッグホストをやってみようと思ったのですか。

奥様:それもありますが、預ける前から少し興味があったんですね。夫はこの子が初めてなんですが、私は生まれたときからずっと家に犬がいる生活を送ってきたんです。単純に犬が好きというのもそうですが、自分が飼っている犬と預かったワンちゃんが楽しそうに遊んでいる姿を見るのって、なんかすごくいいなって思って。それで、ドッグホストに登録してみたんです。

――人の犬を預かることへの、心配や抵抗はなかったのですか?

奥様:もちろん、預かることへの責任の重さは感じていました。なので、お散歩の時でも自分の犬よりも気を使っていました。飛び出しちゃったりしたら危ないんで、夫婦二人で行くようにして、一人は自分の犬、一人はお預かりした犬という風に分担していました。それでも、預かる喜びの方が大きかったですね。やっぱり“犬が好き”という気持ちが根底にありますから、とにかく可愛いですし面白いです。自分の犬にはない個性みたいなものがあるので、預かってみるとすごい発見がある。この間、和犬を預かったんですが、なぜか飼い主はオーストラリア人という面白い組み合わせで。飼い主に対する忠誠心が強くて、ちょっと頑固なところもあって、すっごく面白いなぁと思いました。

川瀬さん:正直言って、僕の場合は彼女と違って犬を飼う経験がすごく浅いので、お預かりしている間は、少しストレスに感じることもあったにはあったんですけれど。まあ、最初だから、そうなんだろうなと。

奥様:主人は責任感が強すぎる人なんで。初めてウチの犬を飼い始めた時も、少しノイローゼ気味になったくらいですから(笑)。

川瀬さん:いやいや、本当に。最初の頃は、この子をペットホテルにずっと預けようかと思ったぐらい(笑)。でも、飼い続けて仲良くなっていくと全然変わってきて。

奥様:犬を飼うことで、ちょっと大らかになったと言うか(笑)。私たちも成長したと思います。

川瀬さん:自分ちのワンコを1匹飼っている分には、めちゃめちゃ可愛くて家族そのものでした。でも、他のウチの子を預かって、確かに最初は責任感を感じて、めちゃめちゃ緊張しました。けれど、それを克服したら、犬との向き合い方が変わったような気がします。もっと犬が好きになったし、なんか必要以上に緊張しすぎたなと、一歩引いて冷静に見ることができるようになりました。

――預かる上で特別な準備をしたのですか。

奥様:この机を移動させて、部屋を広く使えるようにしたくらいですかね。元々犬を飼っているので、そんなに特別な準備をする必要はなかったです。まあ、もしも犬同士の相性が悪かったら、部屋を仕切って個室を用意したほうが良いかなぁといった心の準備くらいはしましたが、特に問題はありませんでした。最初に預かった子はとっても大人しい子で、そこまでてこずることもなかったんです。二人で散歩に行くようにしていたので、ものすごく朝早く起きるようになりました。

川瀬さん:妻は家で仕事をしていますが、僕は通勤があるので…。でも、それを機に朝早く起きるようになって健康的な生活になりました(笑)。

――ぶっちゃけ、収入はどれぐらい?

奥様:たぶん期間によって変わってくるんですが、今回、5日間お預かりして1万円ちょっとくらい?でも、私の場合犬が好きでお預かりしているので、まったく収入に対する意識がないんですよね。預かった時に必要になるペットシート代とか、実際にかかった分ぐらいだけもらえたら良いかなというぐらいの気持ちです。これからも、どんどん預かっていきたいと思いますね。

川瀬さん:妻の言う通り、お金ではなくて犬を預かることに喜びを感じる人は、多分たくさんいると思うんです。ただ、そういった愛犬家に出会う手段が少ないと、以前の僕たちのようにペットホテルに預けざるを得なくなってしまう。人に預かってもらうにしても、人の犬を預かるにしても、いずれにせよ最初は多少の不安があるかもしれません。でも、一歩踏み込めば心理的なハードルはだいぶ低くなりますよ。まずは、このサービスを使って預かったり預けたりすることで、ユーザーの輪が広がっていく。愛犬家がみんなで作り上げていくサービスではないかなと思います。もっともっと、当たり前のサービスになっていって欲しいと思いますね。

奥様:自分が預かってもらいたいなと思った時、犬を好きな人にすぐに預かってもらえるという選択肢が身近にあるということは、非常に安心です。登録しているドッグホストの方たちはみんな犬が好きだし、私たちと同じ様な気持ちで預かっている人が多いと思うんですね。夫が言うように、この安心の輪が広がっていくことを望んでいます。


Photo by Niko Lanzuisi