年に一度開催される、シェアリングエコノミーの祭典「シェアサミット2020」。今年はオンラインでの開催となりましたが、かつてないほどの豪華な面々による濃いトークセッションが目白押しとなりました。

ここでは、経済再生担当大臣の西村康稔氏、サントリーホールディングス代表取締役社長の新浪剛史氏をお招きしたキーセッション「Co-Society~分断を乗り越えて、共生による持続可能な社会を創る~」の模様をお届けします。モデレーターは、クラウドワークス代表取締役社長兼CEOの吉田浩一郎さんです!

(登壇者のプロフィール)

西村康稔氏
衆議院議員。経済再生担当大臣、新型コロナウイルス感染症対策担当大臣としても尽力している。

新浪剛史氏
サントリーホールディングス代表取締役社長。内閣府の経済政策諮問会議のメンバーも務めている。
https://www.suntory.co.jp/company/topmessage/

吉田浩一郎氏
オンライン上で在宅ワーカーと仕事発注者をマッチングするスキルシェアサービス「クラウドワークス」の代表取締役社長兼CEO。シェアリングエコノミー協会の理事も務める。https://crowdworks.jp/

 

【目次】

1.分断の時代へと突入した2020年

2.新型コロナで“世界中の弱点”が浮き彫りに

3.日本の経済成長力UPのキーワードは「地方」と「デジタル化」

4.世代間の意識の差は、ハイブリットリアリティで乗り越える!

5.東京オリンピック、新商品、2021年を大胆予測!

6.これからの時代を担う若者へメッセージ

 

分断の時代へと突入した2020年

吉田さん__昨年のシェアサミットでは、全世界共通で取り組むべき課題としてSDGsを議論していましたが、それが新型コロナの影響で中々難しくなりました。まさに予測不能な時代です。

各国は自国の対応で精いっぱい。中国対米国、中国対香港といった対立や世界の気候変動、さらに新型コロナ患者への差別や医療従事者への偏見、日本国内においては阪都構想、DX対はんこと国内でも分断が広がっているのではないでしょうか。

一方で子どもたちはゲームがコミュニケーションツールとなり、ゲームの中で友達を作るなど、最適化し始めていますが、働き方に関しては、リアル派とリモート派の分断も起きています。

西村大臣__そんな中、経済や社会をどのように立て直して再生していくかが大きな課題です。最近では新型コロナがまた猛威をふるっていますが、急増する感染者数に対して、亡くなる方の数は現状低く保てています。それは医療現場の皆さんのおかげです。薬が効いてきていることや、患者をうつぶせ寝にして肺の負担を軽減するなど、この半年の経験は着実に活かせているという現状も知っていただきたいです。

とはいえ、新型コロナはどれだけ感染予防対策をしても、どこでかかるかわかりません。偏見差別はあってはならないものです。ぜひ、消毒手洗いマスクを徹底して感染リスクを減らしましょう。

新型コロナで“世界中の弱点”が浮き彫りに!

吉田さん__私は、新型コロナで世界のあらゆる弱点が浮き彫りにされたと思っています。世界で起きている人種差別問題もそうですし、日本国内で言えば雇用面での弱い立場の方へのしわ寄せや、デジタル化の遅れもそうでしょう。

リモートワークを含めた新しい働き方の定着、兼業副業、ワーケーションなどが加速した2020年は、いずれ取り組むべき課題がコロナにより早めに訪れたとも言えます。

ポストコロナとして今すべきことは、遅れてきたデジタル化、多様な考え方での国際競争力で賃金上昇をさせ、国内成長力を高める未来への投資なのではないでしょうか。

日本の経済成長力UPのキーワードは「地方」と「デジタル化」

新浪さん__そうですね。これまでの日本はGDPを中心にモノを考えてきましたし、世界もGDPとの競争でしたが、コロナ禍で私が考えさせられたのは、“QOL(Quality of Life・人生の豊かさ)”とのバランスです。都市部に集中した今の日本もデジタルを活用すれば自然の中で働けたり、教育ができるようになります。

日本の企業は現預金が多くお金持ちですが、アメリカと比べても圧倒的にデジタルへの投資額は低いです。日本はコストカットで効率化して成長してきたのに対し、アメリカはデジタル化で攻めの投資をしてきました。日本の企業もその意識を変えるときに来ていると感じています。

これからの地方は面白いと思いますし、企業はチャンスです。デジタル化でインフラを確立すれば、地方へ暮らすの人も増えますから。西村大臣にはぜひ、国が移転する者への支援をお願いしたいですね。

世代間の意識の差は、ハイブリットリアリティで乗り越える!

西村大臣__デジタルにしても働き方にしても、世代間の意識の違いはすごく感じています。私の20代の子どもたちと話をしていても、たとえば何かを買うときはリサイクルなどへの意識も高いですし、就職先を選ぶときはその企業の女性役員登用数やSDGsなども調べていたりして驚きました。

テレワークを経験して「地方でもいいじゃないか」と郊外へ移住する若い人も増えてきましたよね。この動きを生かして、東京一極集中を脱すいい機会なのではと考えています。そのためには、5Gなどの環境整備や地方の医療設備などインフラの拡充も大事になってくるかと思います。

吉田さん__サントリーさんとしては、世代間の意識の差を埋めためにどのような取り組みをしていますか?

新浪さん__社内で改革本部を作り、デジタル世代の若者とシニア世代をマッチングさせるさまざまな取り組みを考えています。都市も地方も、リアルもデジタルもどちらもいいところがありますから、まさに“ハイブリットリアリティ”の思考で考えているところです。

東京オリンピック、新商品2021年を大胆予測!

吉田さん__お二人にズバリお聞きしますね。まずは西村大臣へ。2021年の東京オリンピックはどうなりますか?

西村大臣__まさに今、来日中のバッハ会長とも、新型コロナ対策と両立しつつかならず実現できるように話をしているところです。感染を押さえて治療薬を進め、ワクチン接種もしながら、新型コロナに打ち勝った証としてぜひ開催したいです! 

吉田さん__では新浪さんへ。言える範囲で来年のサントリー社の戦略を教えてください!

新浪さん__新型コロナで、若者も健康志向が高まっています。弊社の緑色にこだわったお茶「伊右衛門」もそうでしたが、コロナ禍でもいい商品を出したら売れるんです。ですから、新しいイノベーティブで、お客様の口コミで売れる新商品を考えているところです。

 

これからの時代を担う若者へメッセージ

吉田さん__では最後に、これからの時代を担う若者へメッセージをお願いします。

西村大臣__私は小さい頃は外で遊んでばかりの子どもでした。20代は海外へ留学し、30代は石川県庁への出向の経験もあります。最初の選挙は落選と、失敗もたくさんしました。でも今になってそれらの経験が生きていると感じます。

これからの時代を創るのは皆さんたちが中心です。ぜひ、大いにチャレンジしていろんな人に関わって考え方を学んでください。ノーベル賞を受賞した吉野彰さんが、何かを成功するには「執着心と柔軟性が大事」だとおっしゃっていました。失敗が生きる、大きな成長へ期待しています!

新浪さん__若いうちの失敗はまだリスクは低いです。企業もそう。ですから、失敗をおそれずやってほしいですね。仕事を選ぶ際も、“意味のある修羅場”をくれる会社に移動することはいいことだと思っています。経営者としては、残ってもらえる会社にしないといけないですけどね。今はベンチャーの方が優秀な人が多いとも言われていますが、大手企業は「不服なら外に移ったり出戻りしてもいい」そういう時代なのかもしれません。

若い人たちには、自らがきついこと、社会に意味があることを早いうちにチャレンジしてもらいたいですね。

 

グラレコ作成:石本麻由香