このゴールデンウィーク期間、再び緊急事態宣言が4都府県に発令されました。
大型商業施設や飲食店舗でも休業要請が出され、“新しい収入源を増やさなければならない”、“仕事がなくなり時間を持て余して困っている”という方も多いのではないでしょうか?
そのような背景を踏まえ、2021年5月2日、シェアリングエコノミー協会が提唱する「私たちがシェアできること」企画の一環として、緊急セミナーを開催しました。
テーマは、コロナ禍で急成長し、誰でも気軽に始められる仕事としても注目される『フードデリバリーのお仕事』について。
今回は、実際に配達員として働く、シェアリングエコノミー協会アンバサダーの二人に、初心者が知っておくべきポイントや、収入を効果的に得るコツなどを伺いました。
登壇者プロフィール
井手庸介(ハンドルネーム:ウサ)
東京都在住。フードデリバリー配達員をしながら、デリバリー業界の様々な情報をブログサイトやTwitterを通して発信。その他、デリバリー配達員と飲食店双方にメリットのある仕組みや、日本らしいデリバリー文化を作ることを目標に活動。
■運営サイト:https://menu-drivers.com/
■Twitter:https://mobile.twitter.com/asakusadelivery
カイト(ハンドルネーム)
東京都在住。会社員として働きながら、副業でフードデリバリー配達員を始める。デリバリー業界の情報を発信しながら、好きな時に自由に働けるギグワークの広がりと、サービス各社の経営や経済面にも興味を持つ。
(本業との兼ね合いでアイコンでの参加です)
■運営サイト:https://kaitoblog.tokyo/
■Twitter:https://mobile.twitter.com/Kight_blog
進行は協会個人会員制度担当の糸原が行いました。
最後に、配達員がより安心・安全に働くためのサポートプランの紹介もしますのでお楽しみに!
配達員を始めたきっかけは?
__まずは、お二人がフードデリバリー配達員を始めたきっかけを教えてください。
井手:2年前に副業として始めたのがきっかけでした。当時は会社員だったので、気分転換として、仕事終わりや休みの日に働いていました。その後、自由な時間に稼げて、運動にもなるこのサービスの魅力をたくさんの人に知ってもらいたいと思い、去年末からブログや、日本のデリバリー文化を盛り上げるための「鯔背屋」というブランドも立ち上げました。
カイト:僕も始めたきっかけは井手さんと同じですが、今も会社員をしています。副業を推奨する企業は増えているものの、まだまだアルバイトという形態での働き方は認めていない企業が多く、業務委託として仕事をするには、それ相当のスキルがないと難しい。だけど配達員の仕事は「自転車」と「スマホ」と「健康な体」さえあれば誰でもできる、特別な仕事でもありますね。
__どのようなところに魅力を感じますか?
井手:主に3つで、まずは、誰でもいつでも始められる仕事ということ。次に、毎月固定給をもらう会社員と違い、自分の力で働いた分だけで稼げること。最後は、単純に良い運動になることですね。ジムと同じ感覚で、サイクリングしながら稼げる。他にも、新たな街の発見や魅力に気付けたりもします。
カイト:あとは、ゲーム感覚で楽しめるところも魅力ですね。僕が始めた当初はUber Eatsの一択でしたが、今ではサービス数も増えて、「今日はどのサービスで配達しようかな?」と選べるのも面白いです。
実際にフードデリバリーサービスでどれくらい稼げる?
__時給は大体どれくらいですか?
カイト:サービスや地域にもよりますが、1回の配達でざっくり400-500円を基準に考えてもらえると良いと思います。時給換算ではなく、完全成果報酬ですので人それぞれですが、初心者は1時間に2回くらいのペースで配達する人が多いですね。時給換算すると約1000円。
そこから道を覚えたり、サービス操作に慣れてくると配達できる回数も増えるので、自然と時給も上がります。
参考記事:配達初心者がまず知っておくべきことは?
井手:おそらく、東京都内であれば、数回配達すれば、誰でも1時間に2件は配達できるようになると思います。自分は、特に注文が多いピークの時間帯、昼は11時〜14時、夜は17時〜20時をメインに稼働するようにしていて、大体時給2000円ぐらいですね。
あとは、雨の日は稼働したくない人が多い一方で注文は増えるので、時給3000〜5000円稼ぐ人も。それにプラス、各社からボーナスも付与されますよ。
__注文が中々入らない時はどうすすれば良いですか?
井手:特に新しいサービスで知名度が低いと、1時間待っていても注文が全く入らないことも多々あります。待機時間はサービスの認知度や、地域や時間帯によっても違います。
カイト:おすすめは自宅待機ですね。注文が多い地域に電車で移動して、現地で自転車をレンタルして配達することも出来ますが、指定するサービスエリアの中に自宅があると、注文が入らなくてもゆっくり待つことが出来ます。
__稼働するのにおすすめの時間帯はありますか?
カイト:まずは何を目的に配達員をするのか決めるのが良いですね。
僕のような会社員の人は、仕事終わりに1-2時間働く人が多いです。もちろん、時間があれば朝から晩まで1日中稼働することもできますし、お昼と夜それぞれ働くだけで1日1万円稼げることも可能ではありますが、個人的には3時間以内の短時間で働く程度が一番楽しめます。
井手:自分も稼働の時間帯はカイトさんと近いのですが、意外と朝が良かったりするかもしれません。注文数はそこまで多くないのですが、その分配達員もほとんどいないので。朝のランニング感覚で配達して、帰りに美味しい朝ごはんを食べるだけで良い1日がスタートできる気がしますね。
初心者はまずUberEatsからチャレンジ!
__初心者はまず何のサービスから始めれば良いですか?
カイト:まずはUberEatsから始めるのがおすすめです。
国内外から様々な会社が参入し、「フードデリバリー戦国時代」「第一次デリバリー世界大戦」とも呼ばれていますが、実は稼げるサービスであればあるほど、難易度は上がりがち。
注文数はほぼ知名度に比例します。UberEatsは都内に限らず知名度が高いため、注文が入りやすく、稼ぎやすい。さらに何か分からないことがあれば、ネットで検索すれば情報がたくさんアップされているので、すぐに解決することも出来ます。
井手:ほとんどのフードデリバリーサービスは、このコロナ禍でスタートしたもの。一方で、UberEatsは4年前に東京に進出して、まだデリバリー文化が浸透していない時から作り上げているサービスです。
現時点で「menu」が47都道府県進出を果たしたのに対し、UberEatsは35都道府県と業界トップではないのですが、それでも知名度も加盟店の多さもダントツ。
最近では、動画配信サービスのHuluから、ウーバーイーツ配達員を題材にしたドラマが出るほどです。おそらくサービス側も、UberEatsを基準に運用方法を決めているので、配達員側も働きやすさや報酬など、まずはUberEatsから始めて、何に重きに置くか決めるのがおすすめです。
効率的に稼働する上でのポイント
カイト:最終的にはいろんなサービスを試してみて欲しいです。それがこのフードデリバリーのおもしろさの一つでもありますし、複数のサービスに登録した方がメリットもあります。
この業界の特徴として、常に状況が変わります。キャンペーンを打ち出せば注文数が増えるし、報酬形態もコロコロ変わる。1回試して合わない場合はすぐに辞められますし、2つのサービスをオンライン状態にして、先にリクエストが来た方の配達をすることもできます。そうすると待機時間も減りますよ。
井手:ただ「Wolt」のような時給保証があるサービスは掛け持ちは難しいので、まずはサービスの特徴を知り、どこに価値観を置くか決めるのも大事ですね。
参考:【2021|5月】12社比較ランキング!フードデリバリーサービスを配達員目線で比較!
__配達する際にあると便利なおすすめアイテムを教えてください。
井手:モバイルバッテリーは絶対必要です。アプリを起動したまま、地図で調べながら移動するので、かなり早く充電が減ります。
最近では、チャージスポットというモバイルバッテリーを借りることができるサービスも増えてますので、自分のモバイルバッテリーを持っていない方は、利用するのも1つの手ですね。
配達途中で充電が切れたら大変なことになるので気をつけましょう。
カイト:他にも、緩衝材もあった方が良いですね。最近は梱包もしっかりしているお店が多いですが、あると安心です。100円ショップなどでも売ってますし、アルミホイルを丸めて入れても、タオルで代用でも大丈夫です。タオルは雨が降った時に拭けたりもするので便利ですが、バックに入れたままにしないで、衛生面的にも都度洗濯したものを使いましょう。
参考:Uber Eats(ウーバーイーツ)配達員に必要なモノと便利グッズ8選
井手:ちなみに配達するもので特に配慮が必要なのはお寿司。容器が大きすぎて偏ってしまうことがあるんです。あとは汁物。スープ容器にフタだけだとこぼれてしまうので、ラップをしなきゃいけないのですが、慣れていないお店だとしっかり封が出来てなくてバックの中で溢れてしまうことも。その場合は、お客様には出せないので、サポートセンターに問い合わせて対処します。
もしもの時のトラブル対処法
__サポートセンターは随時対応してくれますか?
井手:はい。ですが、繋がりにくい時や、タイムラグがあることもありますので、慣れてきたら自分で解決することを目指した方が良いと思います。
カイト:サービスによってもサポート体制の質に違いがありますので、初心者が選ぶ際の基準の一つで、サポート体制の良し悪しは大事になります。
__今まで体験したトラブルを教えてください。
井手:住所不備は多いですね。初期設定の際に、現在地からそのまま反映して、若干ズレがあったり、部屋番号まで記載がないことも。ですがそのような時は、注文者と直接チャットでやりとりして聞けば解決できますので、安心してください。
カイト:今はだいぶ改善されてますが、10分タイマーがあって、注文者から連絡がなければ持って帰って食べても良いルールもあります。
あとは、配達員を始めて間もない時に、ダブル注文といって、1度にそれぞれ別の注文者に配達する際に、間違えて届けてしまったことがあって…。稼ぎやすい方法ではありますが、その後はダブル注文は控えるするようにしました。
コロナ禍の今、安心してサービスを始めるために
__コロナ禍前後でどのような変化がありましたか?
カイト:よく聞かれる質問ではあるのですが、注文数は急激に増えましたが、配達員もその分増えたので、実際の報酬部分はそこまで変わらないかもしれません。
「置き配」といって、あらかじめ指定いただいた場所に非対面でお届けする方法がスタンダードになったことの方が印象的ですね。
井手:中にはコロナ前の方が報酬が高かった人もいるようです。ですが、配達員にとっては配達できずに待機していることが一番の苦痛なので、平均的にまんべんなく注文数が増えたのは良かったことだと思います。
そういえば、最近売り上げコンテストイベントというものがあって、久しぶりに7時間連続稼働したのですが、ハンガーノックという症状になってしまい、最後倒れてしまって…。
この仕事って注文がどんどん来るので、休憩するのを忘れて、気付いたら30kmから40km走っているということも。1日稼働すると、自転車でも100km走っていることもありますので、くれぐれも無理しないようにしましょう。
カイト:働き方でいうと、会社員やアルバイトと違い、業務委託契約なので、何かあった際は基本自己責任です。休業手当もありません。万が一事故があった時のために保険に入ったり、いくつかの副業を掛け持ちしてリスクヘッジすることも大事ですね。
__今日は貴重なお話をありがとうございました!
最後にシェアワーカーサポートプランのご案内です。
万が一配達中に事故や怪我をさせてしまったりした際に役立つ、リスクに特化した補償や、“たすけあい共済” を中心に、35,000以上の福利厚生を含む、様々な支援を受けることが出来ます。
特に交通事故は、配達中じゃなくても最大5万円まで支給されますし、新型コロナ入院見舞金や、休業見舞金も用意しています。
また、健康診断の際の割引や、今回のような情報発信の場もありますので、雇用関係を結ばない配達員の方も、自分自身で身を守るための一つの選択肢としてぜひご検討ください。
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