三軒茶屋のシェア店舗「FORT MARKET三軒茶屋FOODHALL」の一角で営業をしているおむすび専門店「まい芯-MyShin-。オーナーは元レーサーという異色の経歴をもつ、窪田善文さん(NaNika株式会社代表)だ。なんと窪田さん、現在は家を持たない多拠点生活もされているそう。そんな窪田さんのシェアライフについてお話を伺いました。

__元はレーサーだったそうですが、今のお仕事に至るまでを教えてください

小さい頃から仕事で大きなトラックを運転していた父の影響で、車が大好きな子どもでした。その後、父の影響でレーシングカートを9歳からはじめ、負けず嫌いの気持ちに火がついて、17歳でトヨタ系のレーシングチームと契約をするレーサーに(プロとアマチュアの間のような感じです)。契約期間はアルバイトもできないので、自動車の上手な乗り方を一般の方に指導したり、車関連のイベントにも仕事として多く関わってきました。

また、レーサーになりたいという気持ち以上に、「社長になる」という夢も子どもの頃から抱いていたので、いつか起業したいとは考えていましたね。レーサーの契約終了後は、起業をする上ではどこかの会社で営業の基礎を学びたいと、不動産営業という道に進んで営業やビジネスのノウハウを学び、2015年にNaNika株式会社を設立しました。


現役時代の走行写真

__設立当時はお米屋さんではなかったんですね?

はい。事業内容は後から考えようと思って(笑)。でもコンセプトはきちんとあって、“自分のNaNika=今大切にしたいことをやっている人がたくさんいる世界を創る”こと。そんな思いを込めてNaNika株式会社という社名にしました。あとは「みんなで一緒にチームとして働ける仕事を作っていきたい」と考えていました。小さい頃から、家族や所属チームで僕のレースの結果に一喜一憂しながら、一丸となって突き進む感じが楽しかったし、大好きなんです。加えて人と関わることが好きなので、たくさんの人を巻き込んで、誰かに喜んでもらえたり、誰かと楽しい瞬間を共有できるような仕事はないかと。そんなときに偶然、お米屋さんの友人に出会って、これかもしないな?と思ったんです。「食は人を惹きつけるし、日本人でお米を嫌いな人は少ない。これなら、チームとしてみんなで取り組む仕事を作っていけるかもしれない」と。それでまずはお米の販売事業からはじめました。そこから、いろんなキッカケが重なって、おむすび屋の「まい芯」も始めることになったんです。

__具体的にはどんなお仕事をされていますか?

とはいえ、お米事業は会社の3本柱の1つ。あと2つの事業は、イベント事業と、車関連の事業ですね。車と全く関係のないイベントの企画や制作、イベント当日のディレクションをすることもありますし、自動車レースなどのイベントでおむすびのケータリングを出すこともあります。お米事業はおむすび専門店「まい芯」に加えて、個人の方にオンラインショップでこだわりのお米を届けています。ちなみに僕自身、お米ソムリエの資格も取得して、福島と千葉の契約農家で採れたこだわりのお米を扱っています。厳選した海苔と塩を使って結んだおむすびは本当に美味しいので、一度は僕のおむすびを日本人全員に食べて欲しいです!笑

__シェア店舗について詳しく教えてください

偶然こちらのシェア店舗「FORTMARKET三軒茶屋FOODHALL」のオーナーと知り合う機会があって、それがご縁で一角を借りて営業しています(8月までは11時~23時、9月からは19時〜23時)。他にもとんかつ屋さんとかコーヒー屋さんとか、バーとか、いろんなお店が昼と夜と営業するので、様々な交流も生まれて楽しいですよ。ただ、これは僕個人の意見かもしれませんが、ビジネスとしては、自分でゼロから店舗を構えるよりも持ち出しが少なく済む分、辞めるのも簡単というか。覚悟がなくても勢いで出店できちゃうので、準備不足ではじめちゃうと大変です。とはいえ、まずはどんな感じかテスト営業してみたいという場合や、期間限定でポップアップストアを出したい場合など、プレマーケティングとしては手軽に始められるので、シェア店舗は使い方次第ではとてもいいと思います。

__家を持たない多拠点生活をされているそうですか、きっかけを教えてください

僕は静岡の三島出身なのですが、三島市の商工会議所さんから依頼された「あなたにとってベストな暮らしとは?」を考えるイベント企画のお仕事の際に、そんなイベントの主催者が家を持たないホームレスだったら面白いだろうなと思って(笑)、ほんの軽い気持ちで昨年11月から自宅を手放して、多拠点暮らしを始めて、現在8か月ほどになるところです。

__多拠点生活のメリット・デメリットはありますか?

最大のメリットとしては家賃がかからないこと。特に僕はイベントで全国を飛び回る仕事なので、月に10日も家にいないことも。荷物を保管する倉庫があるので、最低限のものはそこに置いておけるのも始めやすかった理由かもしれませんね。次の日のスケジュールに合わせて、今夜の寝室を便利な場所に変えていく、そんなイメージです。地方にいったときはホテル、都内ではゲストハウスやドミトリー、ホステルなどに泊まっています。お気に入りの定宿は馬喰町の「GRIDS」、御徒町の「SADOUHOSTEL」、浅草の「マスタードホテル」、蔵前の「FOCUS KURAMAEなど。最近は外国人の方も多く泊まっていらっしゃいますね。どれも素敵なところなのでおすすめですよ。
デメリットとしては、荷物が増えたときに出し入れ面倒なこと。やはり独身の若いうち限定かもしれませんね。十分いい経験はできたので、年内には家は持つ暮らしに戻す予定ですが…。

 

__これから挑戦したいことは何ですか?

2020年の10月頃(秋を予定)に「おむすびギネス」に挑戦するイベントを企画しています。「同時に1つの場所で、何人でおむすびを結べるか」というのが“おむすびギネス”なんですが、2020年に2020人で、いや3000人を目指しておむすびを結ぶことを企んでいます。ギネス申込参加はこちらまで。サポートメンバーも大募集中です。皆さんのご参加お待ちしています!

 

__窪田さんが働く上での一番のモチベーションとは?

僕は、本当の意味でのコミュニティを作りたくて。たとえば、「おむすびギネス」も成功できることが一番ですが、もし失敗したとしても、その過程で得た経験や人との繋がり、仲間と共有できる時間ってとても大きな価値があると思っていて。何かの目的で人が集まること=イベント、だとすれば、同じ目標や志を持った人たちが自然発生的に勝手に、そして継続的に人が集まる空間が真のコミュニティじゃないかと。その仕掛け人としてコミュニティのお父さん役になれたら、というのが今の目指すところでしょうか。みんなで作ったコミュニティでの繋がりが、結果的に、そこに関わった人たちのその後の人生をさらに豊かにしていくことに貢献できる、今の僕の追い求めるカタチです。