社員全員に専業禁止、つまり副業(複業)をすすめる会社、株式会社エンファクトリーで営業兼広報を務める、松岡永里子さんに、複業と本業の両立のコツや副業の見つけ方をお聞きしました。

__エンファクトリー入社のきっかけを教えてください

広告代理店、不動産会社を経て、2016年にエンファクトリーに入社しました。現在は、「Teamlancer」や「副業特区」を開発・運営している部署で営業と会社全体の広報をしています。エンファクトリーに入った理由は、自社でさまざまな事業をスピード感をもって進めているところに魅力を感じたためです。入社するまで“専業禁止”はそこまで意識しておらず、複業はしていませんでした。

 

__入社してみて副業が当たり前の環境はどうでしたか?

皆が当たり前に自分の複業の話をしていることに最初は戸惑いましたね。有名な社員の複業例では、役員の清水がハリネズミカフェ「ちくちくCAFE」(https://hedgehoghome.cafe/)を経営していることでしょうか。メディアでも取り上げられて、複業のほうが収入が多いこともあるそうです。他にはスキル系(エンジニア、デザインなど)、コンサル系などさまざまなタイプの複業をしている社員がいます。身近に複業している人を見るとやはり刺激になりますし、「ちょっとやってみたいな」という気持ちになりますね。全社員が複業をやらなくてはいけないということではありませんが、社員の中で一度でも複業をしたことがある人が7割、現在も複業を続けている人が5割程度です(2020年4月現在)。

 

__松岡さん自身はどんな副業をしていますか?

ウェブメディアの編集長&執筆の仕事を今年の2月までしていました。あとは、知人とバルーンギフトを販売するECサイト「バルーンキッチン」(https://balloonkitchen.easy-myshop.jp/)を運営しています。

最初は無理をしすぎてしまったこともありましたが、徐々に自分のキャパシティや働くペースが分かってきて、今では平日は本業のみに集中し、土日で複業をするようにしています。

1日は24時間しかないので、時間の効率的な使い方は複業をする際のポイントになりますね。その結果、本業も受け身ではなく自発的に動けるようになってきました。

 

__社員にとって副業する目的とは何でしょうか?

半年に一度、社内で複業をオープンにするプレゼンの場があるのですが、そこで皆共通しているのが、「複業をする第一の目的がお金ではない」ということ。人のためであったり好きを極めるためだったり、何かしら興味関心があることを複業にしているので、楽しんでいる印象ですね。

私が複業で得たものは、人のつながりです。編集の仕事は求人から応募して始めたことだったのですが、当時の私は管理職になりたてで、仕事へのやりがいを見失っていたところでした。でも、編集や執筆の複業のおかげで、自ら手を動かし多くの素敵な人たちを取材し、たくさんの刺激をもらうことで、自分の中で本業とのバランスが取れるようになってきたんです。

 

__副業に向き不向きはあると思いますか?

あると思います。弊社でも全員が複業をしているわけではありません。ただ、社内でも複数のプロジェクトを掛け持ちしていることが多く、その時点で複数の仕事をしている状態なんですね。だから、そもそも複業をすることに抵抗は小さい会社ではあると思います。あとは、「プロジェクトの推進も、結果の出し方も、自分で考える」というのが社内のスタンスなので、複業でも結果を出しやすいのかもしれません。もちろん、やってみて上手くいかなくて方向転換したり辞めることもできますし、それも自分の判断で決められるのが複業の魅力だと感じています。

 

__松岡さんがこれから挑戦したいことは何でしょう。

本業としては、チームランサーの新サービス「副業特区」の営業をしています。先日も、副業特区を導入してくださった企業様へ「越境活動ワークショップ」として、複業やボランティア、プロボノ、リカレント教育などの越境活動への理解と、自分事化を促すワークショップを実施しました。

参加された方からは、「立ち止まって自分のことを考えるいい機会になった」「自分の足りないところや学ぶべきことが明確になった」と嬉しい声をいただきました。

とはいえ、まだまだ日本では会社員の副業が浸透していないので、副業特区のサービスを使っていただき、副業をはじめとする越境活動を推進し、導入する企業への積極的なサポートをしていきたいですね。

体験した私も実感することですが、複業は社員の大きな学びの場になりますし、企業の成長にもつながります。副業という選択肢をもてることが当たり前の世の中になるといいなと思っています。

 

__これから副業をしてみたいと考える方にアドバイスをお願いします。

「何かやりたいけど自分に何ができるか分からない」と言う人は多いと思います。私も最初はそうでした。そんなときは、一度自分のキャリアを棚卸してみるのがおすすめです。自分のアピールシートを作って、自分にキャッチコピーを付けてみたり。そうすることで、私は「マネージャーとしてまとめることより、本当はもっと現場にいたい」という思いに気づけました。その気持ちがまとまったら周りにそれを言葉にして、積極的に動いていきます。そうすることで、周りも「本当はこんなことがしたいんだ」と気づき、何かしらチャンスが舞い込んでくるはずです。