2月18日、「Nagatacho GRiD」にて、定額制で全国どこでも住み放題の多拠点co-livingサービス『ADDress』の戦略発表会が開催されました。オープニングを飾るのは、津軽三味線のワールドチャンピオンによる生演奏。実は、ADDress社の役員も演奏に参加していました。すごい!

そして、今回の主役でプレゼンターでもある、ADDress社・代表取締役社長、佐別当隆志氏が登壇し、イベントがスタート。まずは自己紹介と事業が生まれた背景を説明します
「シェアリングエコノミー協会の事務局長、あるいは政府公認のシェアリングエコノミー伝道師として、地方自治体で勉強会を開催するたびに、人口減少や空家問題を目の当たりにしてきました」(佐別当さん)

一方、都市部に住む若い人たちの間で“地方で活躍したい”という思いが高まっているが、そういった志のある単身者をサポートする制度が存在しないというアンマッチを指摘。「移住を促進するのではなく、人口のシェアという手段を用いて、これらの社会課題を一気に解決するために、このサービスを発案しました」と解説しました。

4月からWEB上で、会員向けのプラットフォームをオープンする予定ですが、第1弾の会員30人を募集したところ、約1100人からの応募があったと報告。「20~30代の応募が70%を占め、若い世代の中で予想以上の反響がありました」と説明します。

続いて、社名に込めたメッセージについて、「“住所”を意味するADDressの頭三文字を大文字にすることで、“ADD=追加”という意味を表現。人口減少と空家増加という時代背景の中で、ひとり一拠点の時代は終わりを告げ、1人2~3拠点を保有する時代の到来を予感させるネーミングとしました」と説明。ロゴマークのベースとなっているのは、日本の家紋だといいます。
「三つの家、すなわち多拠点が一つに重なって、真ん中に『人』という文字が浮かび上がります。多拠点がつながると人と人とがつながるという、そんな思いを込めています」(佐別当さん)


そして、サービス概要について詳細を説明。「ADDressは、定額制で全国どこでも住み放題になる、サブスクリプション型の多拠点居住のシェアリングサービス。住まいと働く場所が一緒になっている“co-living”という空間は、海外ではポピュラーになりつつありますが、多拠点型は世界的にも珍しく、しかも月額4万円という安価で利用ができる同等サービスは見あたりません」と語ります。

その価格設定について、「単なるco-livingとしてのみならず、社会課題解決モデルだからこそ、誰もが利用できる価格設定にこだわった」と説明。住居のみならず、光熱費、Wi-Fi、共有の家具やアメニティの利用までも定額料金の中に含まれているのは破格といえます。

提供物件に関しては、空き家や有休別荘を活用しますが、トイレや水回り、お風呂などを中心にリノベーションを実施。快適に過ごせる空間を用意する予定しています。
「プライバシーが守られた個室を予約して活用しつつ、シェアリングの発想により、キッチンやリビングなどのスペースは共有とし、利用者同士、あるいは地域住民との交流の機会を提供。『家守(やもり)』と呼ぶ管理者を配置して、各地域のコミュニティとつないでいきます」(佐別当さん)

本プランは賃貸契約となるため、年間契約でドミトリータイプの固定ベッドを契約すれば、住民票登録が可能に。そこをメインの住まいとして、各地を転々とアドレスホッピングすることも可能だといいます。
「もちろん、拠点となるドミトリーのベッドは一ヶ月単位で引っ越しが可能。また、免許証の提示やレビュー機能の導入などにより、利用者のチェック機能を強化し、他の利用者の安心・安全を確保します。限定された、質の高い会員だけが利用できるサービスにしていきます」

第1弾として、4月に提供開始となるのは以下の11拠点。
・千葉県南房総市
・神奈川県鎌倉市
・千葉県一宮町
・静岡県賀茂郡南伊豆町
・群馬県吾妻郡
・福井県三方郡美浜町
・徳島県美馬市
・徳島県三好市
・鳥取県鳥取市
・東京都渋谷区
・東京都品川区

さらに、北海道札幌市、栃木県日光市、宮崎県日南市、オフグリッドのトレーラーハウスも今後オープンする予定しています。

価格は年会員が48万円で、月会員は月額5万円。ひとつのアカウントを企業内で共有利用できる法人会員は、月額8万円に設定しています。ひとつの個室を連続して予約できるのは1週間まで、一度に可能な予約の上限日数は14日間となっています。

法人会員もすでに決まっています。現時点では、株式会社ガイアックス、株式会社CAMPFIRE、認定NPO法人フローレンス、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社(トライアル利用)、株式会社リクルート住まいカンパニーの5社が登録。福利厚生やサテライトオフィスとして利用することになっています。

また、拠点を提供する代わりに地方の情報を発信したり、イベント体験をつくるアンバサダー制度を紹介。“カレー男子”や“イートデザイナー”など、個性的な登録アンバサダーの紹介がありました。


低反発ベッドを提供する「コアラマットレス」

続いて、アメニティを提供する「LEAF&BOTANICS」、低反発ベッドを提供する「コアラマットレス」、家具類を提供する「VUILD」などパートナーを紹介。そのほか、に『泊まり放題パートナー』として、一般社団法人ハンモサーフィン協会、Little Japanとも提携。それぞれの拠点とADDress拠点をあわせて、4万5000円から5万5000円で泊まり放題が実現可能と発表しました。

物件調達に関しては、カチタスの扱う中古物件をADDress物件として提供すると発表。さらにNPO法人離島経済新聞、R不動産と物件調達パートナーとして提携しながら、オーナーを募っていくだけでなく、連携をはかりながら物件を開拓していく予定だといいます。


大津市の越直美市長との調印式

ADDressのプロジェクトには、滋賀県大津市も賛同。ADDress社会圏パートナーとして提携を結びました。大津市の越直美市長は、「定住人口、交流人口にくわえて、今後は地域に関わる人を増やす関係人口を増やしていく」という方針を示しました。また東海道最後の宿場として発展した市街で、200軒もの町家が空家になっている現状を伝え、その再生利用にも期待を示しました。

モビリティーパートナーとしてANAホールディングス株式会社も参画。同社は、「地域の人口減により国内線需要が先細るとの危機感から、シェアリングエコノミーによる地域創生に注目している」と説明します。登壇したチーフディレクターの津田佳明氏は「移住によって地域の人口を増やすのはハードルが高いが、多拠点生活であれば関係人口を増やすことが可能だ」と期待を示しました。さらに、ADDress内でモニターを募集し、実証実験を行うことを発表しました。

このほか、スペースマーケット、akippa、AsMama、TABICA、REALBBQ、みまもりあいプロジェクト、MIDORI.soなど各種シェアリングサービスと連携。地域コミュニティーの形成や発展を進めていくことを発表しました。

さらに現地での2次交通手段として、カーシェアリングやシェアサイクルなどと連携。佐別当氏は「さらに需要に応じて自社でサービスを用意していきたい」とも語りました。

最後に、この4月のスタートに向けた、初期メンバーの募集を中心としたクラウドファンディングの実施を発表。Makuake限定で月額のお試し会員やワンデー会員も先行募集すると述べて、第一部を締めくくりました。

現時点における、シェアリングエコノミーの集大成ともいえるADDressのサービス。この注目サービスから目が離せません。