2月18日に開催された、定額制で全国どこでも住み放題の多拠点co-livingサービス『ADDress』の戦略発表会の後半戦は、豪華ゲストによるトークイベントが2本。どちらも濃密な内容だったので、できる限りリアルに再現してみます。

まず、一本目のテーマは「日本の住まいに革命を起こす」! 登壇者は、ADDressの佐別当隆志代表、リクルート住まいカンパニー「SUUMO」編集長の池本洋一さん、東京R不動産の吉里裕也さん、インサイトフォースの山口義宏さん、ローカルジャーナリストの田中輝美さん、そしてモデレーターはgreenz.jpの植原正太郎さんという豪華なメンバー。

冒頭、池本さんが多拠点生活を送る“デュアラー”について解説。「デュアラーは特に地方の不動産価格、家賃の低下によって年々増えている。趣味や癒しだけでなく、地域貢献や自己実現求めるなど、様々なタイプの人がいて、様々なメリットがある。二拠点生活を送ることで人生に広がりができる。地域の魅力もわかるし、地域貢献を通して自分の魅力も引き出してもらえる」と述べます。


「SUUMO」編集長の池本洋一さん

モデレーターである植原さんの「どうしてADDressが生まれたのか?」という問いかけに対し、ADDressの佐別当代表は「人口が少ないエリアでは、クラウドファンディング、クラウドソーシングが成功している。同じような発想で、外から人を持ってきて、地域課題の解決を図ろうと考えた」と述べました。

吉里さんが、ADDressと提携した理由について、「元々、空き家体験宿泊というイベントをやってきたが、空き家探しに苦労した。最初は、なかなかオーナーが貸してくれなかったが、少しずつ利用範囲を広げていくと、徐々に相手の気持ちが変わってくる。そんな経験から、当社のビジネスとADDressとの相性が良いと考えた」と説明します。


ローカルジャーナリストの田中輝美さん

続いて、田中さんが地方を代表して「地域だけで人口減少を止めるのは難しい。今は外部の人に一緒にやってほしいというマインドになっている。関係人口を増やす意味でADDressに期待している」と発言。山口さんはコンサルタントの立場から、ビジネスとしてのADDressを評価し、「実は地方でも優良なビジネスが興っているのに、東京に拠点がないから知られていない。それはマッチングの方法がないだけ。今回のADDressは供給側、事業側の両方にニーズがある」と期待を述べました。

「目標は?」というモデレーターの問いかけに対し、佐別当代表は「100万人会員、20万物件をあつめ、2030年には多拠点があたりまえになる社会をつくりたい」と抱負を述べ、池本さんがデュアラーを増やす方法として「地域マナー、地域の方々への理解が必要。コミュニケーションマネージャーである『家守(やもり)』に期待したい」と述べました。田中さんは「信頼がキーワード」と補足し、佐別当代表が、レビューや会員の質向上の仕組みについて考えていると述べた。

トークイベント2本目は、ジャーナリストの佐々木俊尚さん、シェアリングエコノミー協会の石山アンジュさん、スダックスの須田仁之さん、NEWPEACEの高木新平さん、オイシックスの高橋大就さん、そしてモデレーターを勤める日比谷尚武さんといった、元々、シェアライフやパラレルワークなどを実践しながら各界で活躍するトップランナーが集結。

まずは冒頭、複数拠点を持つ意味について、石山さんが自己の体験を織り交ぜながら「いろいろな場所に、ただいまといえる場所ができる。つながりが資産になる」と説明します。高木さんは、黎明期にシェアハウスを立ち上げた経験をふまえ、「今回のADDressは大人の住居として成立するもの」と説明。佐々木さんは、「各地で起こっているIターン、Uターン者と地域の方々との間で起こっている軋轢」について言及。「移住ではなく、転々としながらマルチタスク的に地域と関わり合っていくのがベター」と提起しました。

高橋さんは、東北における自らの活動を鑑み、「復興が早かった地域ほど明らかに外部との連携が盛んに行われていた」と指摘。「人の結びつきが地域経済に良い影響を及ぼす」と語ります。モデレーターを勤める日比谷さんは、San-San在籍時代、徳島県でサテライトオフィスを立ち上げた時の経験から、「受け入れ側のとの間をつなぐ存在の重要性」を指摘。佐々木さんも「都会の人と地元の人、そして行政をつなぐHUBのような人の重要性」を述べました。


スダックス 須田仁之さん(中央)

続いて、多拠点生活にあこがれる人代表の立ち位置から須田さんが「住むのではなく平日に少しだけ利用したい」と発言。それを受けて高木さんが「週末と年休に寄ってパッケージ化された日本の旅行の概念は古い」と指摘し、「ADDressを普及すれば、もっと旅と日常が溶けていく」と述べました。

石山さんが、「週5勤務という働き方が問題では?」と提起すると、高木さんは、「12時間程度の旅行なら、サラリーマンでも楽しめる」と返答。「パッケージよりもハードルが低いのでは?」と私見を述べました。それに対して、石山さんが「ADDressを長期利用したい。1W~2W程度の田舎暮らしを体験したい」と述べると、高木さんが「それもあり。短く休むのも、長い間、どこかで仕事をするのもありで、どちらもADDressなら可能」だと述べました。


モデレーターを勤める 日比谷尚武さん

その話を受けた日比谷さんは、「ADDressによってこれまでの住まうことと泊まることの概念が溶けていくのでは?」と言及したうえで、今回、ADDressとのアライアンスを組んだANAの例をあげ、「モビリティをくっつけることで自由度があがる」と述べます。佐々木さんは「飛行機も大事だがラストワンマイルの足が不足している」と提起。ライドシェア、自動運転の活用、丸ごとバスを手配するなどのアイデアが各人から寄せられました。

佐々木さんは戦略発表の中の“住まいのクラウド化”というキーワードについて言及。「電子データだけではなく、物理空間にまでクラウド化の波が及んでいる」と話します。石山さんは「住まいをシェアすることで結婚生活、子育てのあり方も変わるのでは?」と発言。須田さんは「家族があると移住は難しいのでは」と率直な意見を述べました。
高木さんは「最初から重たく考えず、海山にいける、おいしい物が食べれるというところから入って行けばよい」と述べ、佐々木さんが「遍在する家族で良い。必ずしも一緒でなくてもよく、生計や情愛が維持されれば良い」と私見を述べました。それを受けて高木さんは「日本は家主義だったが、それが徐々に崩壊しているからこそ、家族のあり方を考え直すべき」と述べました。
高橋さんは自らの経験から「多数のコミュニティに属することで確実に幸福度が高まっている」と述べると、高木さんが「災害が多発する今こそ、いろいろな拠点を持つことは人生最高のリスクヘッジだと思う」と語ります。

最後に、それぞれがADDressに期待することを述べました。

「東北は人口減少が顕著に進んでいる。それは避けられないが、一人二役になれば実質人口は二倍になる。そこはADDressに期待したいところ」(高橋さん)

「社畜を長くやって都会に疲れた者としてADDressに期待したい」(須田さん)

「利用者もシェアする側の視点を持つべき。自宅をシェアして20万の収入を得ればADDressの費用もカバーできるし、自分の家もシェアして誰かの居場所になる」(石山さん)

「airbnbは、いつの間にか“交流”という、シェアの本質を失った。ADDressも同じような岐路に立たされる可能性ある。判断を間違えないでほしい」(佐々木さん)

「人がどんどんつながっていく、ひとつのコミュニティになるという思いをロゴに込めた。ADDressが人と人とをつなぐ装置になって行けばよいと思う」(高木さん)。

最後に日比谷さんが、「まずはADDressを使ってみてほしい」と締めくくった。

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