かつてはIT企業の経営者として、システム開発をしながら多忙な日々を送っていた磯部さん。震災や自身の病気がきっかけで人生観が変わり、「人や社会への恩返しをしたい」という思いから、現在は、闘病を続けながら、日本橋のコワーキングスペースの運営や、パラレルキャリアイベントの経営相談、死生観を語る講演会など多方面で精力的に活動している。そんな株式会社Fukumitoya代表取締役である磯部さんに話を伺いました。

__現在のお仕事に至るまでの経緯を教えてください

ずっとIT関連の大企業の経営者として、システム開発の仕事をしていました。バリバリ働いて、いい車に乗って、お酒も飲んで、たくさんお金を稼いで、悠々自適なだったんですが、震災をきっかけに仕事が激減してしまって。自分の中でも「何のために働いているんだろう」と閉塞感を感じるようにその後、病気が発覚し人生観が180度変化。お金は大事だし好きですけど、根っこの部分が変わったんです。心が潤ったとでも言うんでしょうか。エゴかもしれませんが、「世の中へ、人へ恩返しをしたい」と思うようになりました。それで、現在は、「仲間探し」「仕事探し」「目標探し」「夢探し」をキーワードにした株式会社Fukumitoyaで、コワーキングスペースの運営、起業相談、イベント企画などさまざまな事業を展開しています。

__日本橋のコワーキングスペース「いいオフィス」の運営を始めたきっかけとは?

それまでは仕事の打ち合わせなどで外のカフェを使用していたんですが、「一日カフェラテを何杯飲むんだ!」という生活で(笑)。あとは例えば、外で僕1人が100人と会っても、100個の出会いにしかならないと気づいて。もっと人と人の結びつきを感じられる場所を提供したいなと思い、日本橋のコワーキングスペース「いいオフィス 日本橋 byFukumitoya」を2019年の4月に作りました。

上のフロアはイベントスペースになっていて、月に数回さまざまな方を講師に招いた一般向けの経営の勉強会やセミナーを行っています。都会の勉強会って「一人で参加して無言で話を聞いて、終わったらさっさと帰る」ようなドライなイメージなんですけど、僕のイベントは、参加者同士が密に感じられる熱いイベントが多いと思います。

木とグリーンを使ったオシャレで居心地のいいコワーキングスペース「いいオフィス」。こちらは個室フロア。

__「いいオフィス」は実際にどんな利用者が多いですか?

個人で仕事をされている方が多いですね。職種は本当にさまざまです。2万円で使い放題なので、好きなときに来て利用されています。月額利用の個室も4つあるのですが有り難いことに常に満室ですね。利用者に特別な制約はないのですが、僕が皆さんと積極的に関わるタイプなので、自然と利用者同士でも交流が生まれ、お仕事をお願いし合ったり、イベントを開催したりしていますね。他のコワーキングスペースよりも人と人との距離感が近いかもしれません。

ある日の勉強会「病気と経営から学んだことを伝えたい」。最近話題のプレゼンの手法「グラフィックレコーディング」を取り入れている。

__なぜ日本橋を盛り上げようとされているのですか?

僕自身、生まれも育ちも日本橋の人形町なんです。母が芸者で幼少期は置屋で育ちました。江戸時代は城下町の中心地であった日本橋のエネルギーが好きなんです。開発が進み、今はかつての姿はなくなりつつありますが、江戸商人の聖地である日本橋をもっともっと盛り上げ後世に残したいと思っているんです。

__実際にどんな活動をされていますか?

日本橋に古くからあるお店や会社さんの経営支援をしています。あとは、人形町の町内会青年部の部長になりまして、町内会を2~3年かけて改革しました。ボランティアでITやwebマーケティングを活かした「町内会のオンラインサロン」も立ち上げました。都会における町内会・自治体が衰退していく今だからこそ、防災・防犯面でも、町のあり方が改めて見直されていると感じますし、アップデートできる可能性は十分に秘めているんです。今では運営メンバーとしても活動する「中央区100人会議」に登壇したり、町おこしをテーマにラジオで話をしたりと、活動が広がってきています。

__磯部さんがやりがいを感じるのはどんなときですか?

起業したいと相談に乗った人たちが、立派に育っていく姿を見たときですかね。そんな姿から僕自身もパワーをもらいますし、それを楽しめるマインドでいたいと思っています。

誰かに必要とされたり、喜んでもらえるのってやっぱり嬉しいし、仕事をする上で大事なモチベーションになりますね。

__これからどんな活動をしたいですか?

ビジネスの面では、箱とイベントが出来上がりつつあるので、コンテンツを充実させて、人の導線を可視化できるようなデータサービス化を目指したいと思っています。

さらに、今趣味のようになりつつある無料の経営相談、実はこの需要が一番多くて時間がかかるんです(笑)。なので、きちんと対応させていただくためにも、2020年の1月から、「起業塾」を作る予定です。起業塾とは別にパラレルキャリアマネジメント協会の立ち上げも予定しています。あとは、僕自身病気と闘う中で、働き方や人生観が大きく変わったので、それを伝えるようなこともしていきたいですね。

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