渋谷区とシェアリングエコノミー協会の連携協定により、最先端のシェア文化のムーブメントが期待される渋谷。その渋谷を舞台に、年に一度のシェアの祭典『SHARING DAY SHIBUYA 2018』が開催されました。当日は厳しい残暑の1日となりましたが、多くの来場者が訪れ、シェアサービスに対する関心の高さが感じられました。今回はイベントの様子をレポートいたします。

年に一度のイベントを盛り上げるべく、人気&話題のシェア企業や団体が、会場となった渋谷キャストに集結。「SHARE×〇〇」という6つのテーマに分かれ、さまざまなシェアが体験できるようになっていました。

まず、「FASHION×SHARE」として開催されていたのが、「スワックトーキョー」によるファッションイベント「SWAQ PARTY」。スワックトーキョーが目指すのは、“物々交換”というスタイルでお洒落にエコを愉しみながら、服と服、人と人の交流の場を提供すること。イベントに参加するには、誰かに譲ってもいいと思う服や小物を持っていくことが条件になります。自分が持ってきた服にメッセージタグをつけて会場に置くと、会場内にあるアイテムを自由に持ち帰ることができるというシステム。この日も多くの方が服を持ち寄り、会場内に並ぶアイテム中から気に入るアイテムを探して持ち帰っていました。「服の譲り合いは完全なるシェア。こういう物の有効活用が世界規模でやれたらいいなと思っています」と語る、スワックトーキョー代表の千々岩佐知子さんに関する記事は、後日改めてShare!Share!Share!で紹介いたします。

会場の中央には、「SHARE×WORKSHOP」として10ブースが登場。人気のシェアサービスをリアルに体験できるブースもありにぎわっていました。多くの女性が足を止めていたのは、スタイリストが選んだ洋服をレンタルできるサービス「airCloset」のブース。普段は顔出ししていないスタイリストが、実際に対面しながらコーディネートの提案やファッションをアドバイスしてくれるというワークショップを行っていました。2015年からサービスを開始した「airCloset」は、プロのスタイリストが、300ブランド、10万点以上のアイテムの中から、お客様にぴったりなコーディネートを提案してくれることが話題となり、会員数はすでに16万人を突破。利用者のうち9割が働く女性で、さらにその中の4割がママ。復職に向けて服を準備したい方や、出産して変わってしまった体型をカバーしたい方など、それぞれの要望に合わせてプロが洋服を選んでくれるというのは、まさにパーソナルスタイリング。さらに、これまで労働環境が厳しく、出産後の仕事復帰がしにくいと言われていたスタイリストも、自宅や海外からのリモートワークが可能な「airCloset」が新たな活躍の場に。今後は、洋服だけでなく、アクセサリーのレンタルなども展開していくそうです。

クラウドファンディングにより1億7400万円もの運用資金を集め、2019年1月にオープン予定の「つながりシェア保育園 よよぎうえはら」は、この日から入園申込の受付がスタート。“シェア保育園”という耳慣れないキーワードに興味を持った方などが、ブースでパンフレットや設計模型を見ていました。内閣府所管の企業主導型保育施設「つながりシェア保育園 よよぎうえはら」は、1階部分が0才から5才までの30人の保育を行う保育園、2階&3階部分はシェアハウスとなっており、シェアハウスの住人や滞在者が気軽に園児と交流を持つことができます。園児たちは30人兄弟のように、大家族のように過ごし、遊びや人との関わりの中で多くのことが学んでいけるのだとか。シェアハウスの滞在者は外国の方も多いと予想されるため、保育園の職員も英語が話せたり中国人とのハーフだったりと多言語に対応。また、保育園を企業でシェアするという企業主導型保育園は、あくまでも福利厚生施設のひとつであるということも特徴です。提携企業のご家族はもちろん、個人事業主、フリーのクリエイターのご家族も利用でき、しかも保育料が経費計上できるというメリットも。待機児童が問題となっている現代社会に一石を投じる、新たな保育園の開園はもうすぐです。

スキルシェアの「coconala」では、出品者の中でも人気の高い「占い」と「似顔絵」を提供し、どちらも行列が絶えない盛況ぶり。電話占い人気ランキング上位者であるJESSICA Rayさんによる占いは、仕事の相談や子育ての悩みなど、男性も女性もいろんなことを聞いているようでした。その隣には、似顔絵を描くこうさんの姿も。5分程度でサラサラッと描き上げる可愛らしい仕上がりに小さなお子さんも笑顔を見せていました。
健康増進型保険の発売を記念し、体を動かしてペイントするオリジナルTシャツ作りイベントを行っていたのは「住友生命vitality」。保険に入って終わり、というのではなく、加入後も健康増進に取り組めるようサポートしていく特典付きの保険は、体が資本となるシェアワーカーの方にもおすすめだそう。
他にも、「TABICA」による竹ぼっくり&竹キャンドル制作など、子どもたちが楽しめるワークショップもあり、たくさんの親子がいらっしゃいました。

そして、「SHARE×MUSIC」として会場内には心地良い音楽も溢れていました。オーダーメイドの出張演奏が楽しめる「LiveDeli」は、クラシックやジャズのステージパフォーマンスを行うだけでなく、子どもたちが気軽に楽器に触れられるコーナーも設置。とくに子どもたちが興味を持っていたのが、バイオリン。なかなか目にする機会がない子どもサイズのバイオリンを実際に触ることができ喜んでいる様子でした。ミニライブでは小さい子どもたちもタンバリンなどを持って音楽に参加していました。150組のプロの音楽家が在籍する日本最大級の出張演奏サービス「LiveDeli」代表の大山さんのインタビューも、後日改めてShare!Share!Share!でお届けする予定です。

DJブースでは、スワックトーキョーの千々岩さんが会場を盛り上げる姿も

他にも、「SHARE×TALK」では「シティ」「はじめかた」「アート」「学び」「旅」をテーマにスペシャルゲストによるトークが行われ、来場者でフードを分け合う「SHARE×FOOD」や、ホストとゲストが交流できる「SHARE×CAFÉ」などもありました。

シェアリングサービスはすでに多岐にわたり、新たな文化として人々の生活の中に溶け込みつつあります。今回の『SHARING DEY SHIBUYA 2018』で1つ印象的だったのは、保険や保育園など、シェアワーカーをサポートするシェアも登場してきているということでした。来年の『SHARING DAY』に向け、どのようなシェアリングサービスが誕生するのか楽しみです。