コロナ禍でシェアサービスをホストとして活用した方が急増した2020年。大きく働き方や生き方が多様化したことで、収入先も変化した方も多いのではないでしょうか。

昨年まではNagatacho GRiDで開催していたシェアリングエコノミー協会主催の「はじめての確定申告入門講座」を、今年は初となるオンライン開催になりました。

今回は、約860名の方に参加申し込み頂いた大盛況のイベントの模様をお届けします。ぜひこれからの確定申告の参考にしてみてください!

 

確定申告をする前に確認しておきたいこと!

__まずは、シェアリングエコノミー協会 税制委員の矢冨さんより、シェアワーカーの皆さんに向けて確定申告をする上で知っておきたいことについて解説いただきました。

その1 適正な確定申告をしよう

シェアワーカーが増加したものの、普段あまり馴染みがない確定申告にまで気が回らないという人が多いのが現状です。私たちはシェアワーカーの確定申告の普及啓発活動に力を入れていますが、会社員の副業と個人事業主のシェアワーカーでは申告の仕方も異なってきます。


その2 最新情報や税制改正アップデートしよう

2020年度から新たに税制が改正されたものがいくつかありますので、情報をアップデートしておく必要があります。

まず、基礎控除が38万円から48万円に増額し、青色申告特別控除額が65万円から55万円に減額しました(e-TAXや電子申告ならそのままでOK)。また、雑所得欄に「業務」による収入の記載が加わり、副業を意識した書式に変更されています。さらに、コロナによる持続化給付金は、売上と同じ扱いになるので課税対象になるというのも注意すべきポイントです。※一律10万円の定額給付金は課税対象外です。

 

続いて、「初めて確定申告をする人」や「やり方が分からない」という確定申告ビギナーの人に向けて、封筒に入れるだけの簡単確定申告サービス「CalQ」を提供する株式会社エフアンドエムの松木さまより知って得する確定申告に関する情報を教えていただきました。

 

ふるさと納税のススメ

「ふるさと納税」という言葉を聞いたことはあるけれど、アンケートを取ると使っている人は全体で見るとまだ2割くらいしかいないのが現状です。これは本当にもったいない!やらない理由はないと思っています。
たとえば、年収400万円で独身の場合、好きな自治体に最大4万3,000円を寄附できるとします。「さとふる」などのふるさと納税サイトからお肉やお米、スイーツなど好みの返礼品を探して寄附すると、寄附金額の約3割分の返礼品と寄附金の受領証が送られてくるというもの。年度末に確定申告等をすると、4万3,000円から2,000円を差し引いた4万1,000円が手元に残る仕組みです。
まずは、自分はいくらまで寄附できるのかを、ふるさと納税のサイトでシュミレーションしてみましょう。ちなみに、確定申告で使えるのは前年の大晦日までの寄附分となります。税金や確定申告は「知らなかった」が多いほど損をすることが多いので、ぜひ活用してみてください。

確定申告で損をしないための6つの基礎知識

その① 収入と所得の違いを知っていますか?

たとえばフリーランスの美容師の場合、100万円を稼いだ収入(売上)から必要経費を差し引いた利益、儲けが所得です。所得70万円の場合、医療費や生命保険、災害などの所得控除を引いたのが課税される所得金額となります。その課税される所得金額に応じて所得税率が変わってくるのです。

 

その② 年末調整で済む人とは?

会社員パートアルバイトなどの給与所得者は概算の経費が法律で定められていて(給与所得控除)、収入金額に応じて自動的に給与所得金額が決まるので、ほとんどのケースで年末調整のみで税金の清算が完成します。ちなみに、給与所得の他にシェアワーカーとしての一定の所得がある場合は、確定申告が必要です。

 

その③ 確定申告には2種類ある

確定申告には、白色、青色の2種類あります。青色申告はは節税効果が非常に高いのが特徴です。ちなみに、シェアワーカーの所得は事業所得か雑所得の2種類に分類されますが、事業所得の目安は生計を立てられる規模であることなどです。なお、雑所得では青色申告ができないため、一般的には副業や主婦、学生などの場合に区分されることが多いです

※例外があるので詳しくは税務署や専門家に相談を。

その④ 確定申告が必要なケースとは?

確定申告が必要なケースはいくつかありますが、ここでは代表的な2例をご紹介します。

ケース1:収入から必要経費、所得控除を引いた所得金額に残額がある場合

ケース2:会社員などの給与所得のほかに、給与・退職所得以外の所得が20万円を超える場合

会社員の副業で給与所得とシェアワーカーの両方の収入がある場合は、全部まとめて確定申告をやり直す必要があります。

また、コロナに関する給付金は内容によってそれぞれ事業所得、一時所得、非課税などの区分が変わるので注意が必要です。

その⑤ 必要経費とはどこまでOKか

適正に必要経費や所得控除を計算して課税される所得金額を小さくすることで納める税金を少なくすることができます。ですが、何をどこまで必要経費にしていいのか悩まれる方が多いのも事実です。ここで重要なのが「必要経費の考え方」です。

たとえば、交通費で考えると、クライアントに訪問する場合の交通費は経費としてOKでも、休日プライベートのレジャーでの交通費はNG。ホテル代やパソコンスマホ代、飲食費なども同様です。つまり、支出の内容ではなく、その支出に事業業務上の目的が必要なのです。プライベートの支出は経費計上NGです。たとえ確定申告でとおったとしても、あとから指摘を受け追徴課税される場合がありますので注意しましょう。

その⑥ とにかく簡単に確定申告する方法

確定申告は1年に1度、今はスマホでも簡単にできる時代です。

 

とはいえ、そのためには日常的に会計業務をする必要があります。直前にやろうとすると非常に苦労するものです。そこで我々は、封筒に入れるだけの会計サービス「CalQ(カルク)」やアプリ上で管理できる「CalQshare」というサービスもあります。ぜひ活用してみてください。

続いて、国税庁の今井さまより、スマホで簡単にできる確定申告のやり方を解説いただきました。

 

スマホで簡単に確定申告を提出する方法

今年はコロナの影響もあり、確定申告の提出期限を1ヵ月延長して4月15日までとしました。事前に必要な数字をまとめておけば、スマホで入力していくだけで簡単に提出することができます。詳しくはこちらのHP(https://www.keisan.nta.go.jp/kyoutu/ky/smsp/top#bsctrl)でご確認ください。

【マイナンバーカードを活用してe-taxで申告書を提出する場合の主な流れ】

・マイナンバーカード、マイナンバーカード読取対応のスマートフォンを用意する。
・マイナポータルAPをダウンロードする。
・申告書を作成し、送信する。

 

シェアワーカーに向けた新たなサポート制度がスタート!

__最後に、シェアリングエコノミー協会事務局長の石山アンジュさんより、新たなサービスについてお話いただきました。

石山アンジュさん:安心安全な働く環境をサポートするのがシェアリングエコノミー協会の仕事、つまり確定申告もその一つと考えています。さらに今年は、協会の新たな取り組みとして、コロナ禍でのシェアワーカーを支援する業界初のサポート制度、「ワーカー会員サポートプラン」が2021年4月からスタートします。

月額1,500円(予定)で、共済、保険、健康支援などが受けられるというものです。最大のポイントは、シェアワーカーのリスク対策に特化した業界初となるさまざまな保険プラン(休業見舞金、通勤時事故見舞金、出産祝い金)を作成したことです。

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