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シェア(SHARE)とは、希望である。
この社会を覆う絶望、私たちが心のどこかで感じる生きづらさを晴らしてくれる力がある。

シェアという、ポップで軽やかな響きからは想像できないかもしれない。だが、「シェアリングエコノミー」という言い方があるように、シェアは一つの行為に留まらず、新たな経済のうねりとなって、私たちの生活を少しずつ確実に変えている。

たとえば、個人の空き部屋をインターネットで仲介するAirbnb(エアビーアンドビー)の物件登録数は190カ国150万件以上。宿泊客数は2500万人(2015年10月現在)。2008年に始まったばかりだと言うのに、世界のどのホテルチェーンよりも圧倒的に多い。

家だけではない。クルマや服、食べ物、さらにはスキル、たとえば子育てまで、生活のすべてが対象だ。必要なテーマがあれば、知らない誰かとつながり、大切なモノを「共有」する。一度始まったシェアは、消えることなく連鎖のように続いていく。

節約や小遣い稼ぎが入り口であっても、シェアは持ちモノの分配に留まらない。新しい人間関係が始まり、今までとは異なる文脈で、私たちの生活と世界がリンクする。そしてその関係性は共感をベースにしているからこそ、互いを許し、リスペクトしあえる。そこが、重要だ。

いま、私たちが生きているのは、あまりに窮屈でどこにも誰にも寄りかかれない社会。みんなが一律に成長し、増える消費の中に目に見える幸せを感じているうちは良かったが、今は、減っていくパイを必死に奪い合っている。自分よりも幸せそうな人を妬み、自分よりも不幸そうな人を笑う、生きづらい風潮。それを格差というのかもしれない。

しかしシェアは、そんな現状さえも、楽しく解決してくれる可能性に満ちている。消費や所有の強迫観念をぶち壊し、私たちのライフスタイルを再発明できる自由がある。格差そのものは無くせなくても、違いこそが価値であり、寄りかかることを許容し合える文化をつくることができる。新しい方法論をもった私たちはもう、これまでの”普通の幸せ”なんてものには縛られなくていいのだ。

このムーブメントは(特に日本では)まだ夜明け。前述したAirbnbでさえも、日本ではこの間ようやく、法律で認められていなかった「民泊」を一部の行政が規制緩和したばかり。マーケットとして前向きに受け入れ、育んでいかなければ、日本経済も私たちの生活も、新たなモデルへと進化するチャンスを失ってしまう。

だからこの、Share! Share! Share! では、メディアとして現場を掘り起こすことで、日本の「シェアリングエコノミー」をもっと盛り上げていく。プラットフォームとしてのシェアサービスではなく、一人一人のシェアという行為に焦点をあて、その可能性を具体的に描いていきたい。いかに私たちのライフスタイルを変えているか、価値観を変えているか、社会に新しいルールをつくっているか、を様々な角度からポップにわかりやすく。

そして一人でも多くの人が、シェアする当事者になる機会をつくりだし、この社会に新たなパラダイムを創り出す、1つの起点になりたい。