ミールシェアのスタートアップである株式会社キッチハイクとサッポロビール株式会社が業務提携。「CtoCコミュニティを起点としたビールづくりの新サービスを開始する」という話をうかがい、早速、その発表会に行ってきました。

キッチハイクは“食でつながる暮らしをつくるを企業理念にサービスインしたスタートアップ。今年で創業6年目を迎える会社です。創業当初は、なかなか世の中の認知が進まなかったといいますが、この1~2年で急激に利用者が増加したのだとか。同社共同代表である山本雅也さんは、事業を通じて実現したい世界観について、このように語っています。

「ひとつのテーブルをみんなで囲んでごはんを食べる。しかも性別、年齢も関係なく、『はじめまして』の人も含めて、みんなで楽しみたい。食でつながる世界をもっと当たり前にしたいと思いました」

この“思い”を込めて、サービスのタグラインには“みんなで食べる”、略して『みん食』という言葉を用いています。

「この『みん食』という言葉には、一般の方の家に泊まる“民泊”に近い“民食”という意味も含んでいます。
『ミールシェア』とも呼ばれる“民食”は“一般の人の家庭料理を食べる食事のこと”を指す言葉として定着してきていますが、
我々の言う『みん食』は『食でつながるシーン』全てを含みます。
みんなで料理したり、外食したり、飲みに行くなど、様々なラインナップで企画を展開しています。」

食事を作る人と食べる人がシームレスに、立場を入れ替えながらつながっていく、この新しいコミュニティのカタチが徐々に受け入れられ、広まっているのだといいます。現在、キッチハイクの会員数は3万人、イベントは月に400回、参加者も月間2000人を超えて、右肩上がりで増えています。

さて、今回の発表会リポートに戻ります。冒頭、新サービスのお披露目に先立ってサッポロビールの取締役執行役員・林直樹さんが登壇。今回、新たな取り組みが生まれた背景について、このように述べました。

「今から20年前には、メーカー主導のキャンペーンで売り上げが獲得できましたが、今は、それだけでは話題にさえ上りません。お客様同士が共有する“共感”であったり、お気に入りのコミュニティを通じて広がっていって、たくさんの“いいね”がもらえなければ情報が伝播しない時代となりました」

一方、マーケットインの発想で、ユーザー調査からビールをつくっても、声を聞けば聞くほど、似たような商品になってしまうのだとか。あるいはシーズから商品を開発しても、それはメーカーの“独りよがり”となりがちで、いざ上市しても思惑とは違った捉え方をされてしまうのだといいます。

「であるなら、これまでとはまったく違った考え方の商品開発があっていいのではないか。ある一人の人の経験や、属しているコミュニティから生まれた“こんなビールがあったらいい”“こういう商品があったらいい”という発想を、そのまま実際に作ってみて、飲んでもらって、その評判を聞きながら商品開発を進めてみようというのが、今回の企画の発端です」

そこで、食に対する感度が高いコミュニティを運営するキッチハイクとのコラボを決定。その世界観を実現したいと考えたのだといいます。

「大ロット対応の生産ラインが並ぶビール工場で、そういった小さな単位の商品ができるのか?という疑問もあるかと思います。実はサッポロビールは今年の6月、静岡・焼津に小ロットで製造可能な設備を構築。それが対応可能な体制になっています」

では、今回、発表になった新サービスの仕組みについて説明しましょう。その日、その名称も初お披露目となった「HOPPIN’ GARAGE」は、本格的なユーザーイノベーションによる価値創造を目指した次世代サービスだといいます。登場人物は、「つくり手」と「売り手」と「飲み手」の三者。それぞれ「つくり手」に対しては、自分が飲みたいビールを造ってみんなでシェアできる“喜び”を、「売り手」、いわゆる飲食店様には、新しいビールをみんなで味わう“ポップアップ”と呼ばれるイベントを通じて認知を広げ、集客できる“喜び”を、そして「飲み手」には、特別なビールが飲めるという“喜び”を提供していきます。

そして、ついに。今回の発表に併せて、特別に醸造されたビールが会場に振る舞われます。「つくり手」としてビールづくりのアイデアを提供したのはキッチハイクの山本社長。ゲストスピーカーとして迎えられた株式会社スマイルズの遠山正道さんと共に登壇し、そのビールのコンセプトについて以下のように語りました。

「ビールが大好きな私にとって、今回のように、自分が考えたビールをカタチにしてもらえるというのは、本当に夢のような企画です。今回、私が発案し、サッポロビールさんに具現化してもらったのは『探検するハニーエール』という名前のビール。私はキッチハイクを起業する前に世界中を旅して、各家庭のごはんを食べ歩きました。その途中、ラトビアの首都リガで飲んだハニーエールがものすごく印象に残りまして、もう4年も前の話になりますが、忘れられないその味を再現したいと思いました」

味の決め手となるはちみつにこだわったという山本さん。世界中から集めた15種の中から、アルゼンチンのレモンの花から採取されたハチミツをセレクト。イメージ通りの味に仕上がったといいます。

また、今回、『探検するハニーエール』の醸造を担当したサッポロビールの成瀬史子さんは、「ベースのビールに合うハチミツ選びに相当な時間を費やしました。そして麦芽やホップ、酵母の特徴をやや控えめにし、ハチミツの味を際だたせるイメージで味を組みたてました」と語ります。

山本さんも「おいしいです。ここまでハニーの強いビールは日本にはまずありません。自分はこれが好きだ!という興味というか、ある種の情熱がカタチになりました」と喜びを隠せません。

ゲストスピーカーの遠山さんは、ご自身が出したアイデアを元に醸造が進んでいる次回作について、「清涼感もあるしカクテルのような飲みごたえもある。一次会と二次会があわさったようなビールです」と、その内容を少しだけあかしました。

山本さんは、最後に“これからのビール”について、このように語って、会を締めくくりました。
「レシピが公開されて、シェアされることでビールも料理っぽくなるし、“はじめまして”の人も、乾杯することで仲間になるという意味で、コミュニティになると思っています」

今後も、この「HOPPIN’ GARAGE」からどんどん新しくておもしろいビールが誕生。ビールを起点に、ビール好きや料理好きの人たちのコミュニティが生まれていく、そんな期待に満ち溢れたサービスです。皆さんもぜひ、ご自身のアイデアをひねり出してビールづくりに参加。コミュニティの中でお披露目してみてはいかがでしょうか。

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