教えたい人と学びたい人をつなぐスキルシェアマーケット「ストアカ」を運営するストリートアカデミー株式会社が、2018年10月25日、人生100年時代におけるスキルシェアの今後の価値について語る、スキルシェア・カンファレンスを開催。当日の模様をリポートいたします。

まず冒頭、司会者が開会宣言とともにストリートアカデミーの事業についての説明を実施。続いて同社代表である藤本崇氏が登壇し、以下のように挨拶を述べました。

「業界初の試みとなる当カンファレンスの注目度も高く、チケットもあっという間に完売となりました。今期で7期目を迎えた当社も今年、ビジョンを刷新。“人と人とをインスパイアするプラットフォーム”と改めました。スキルとインスパイアという言葉は密接な関係があります。スキルシェアというと、どうしても経済合理性に注目が集まりがちですが、実は<スキルをシェアする>ことで、人と人とがつながるきっかけが生まれます。私たちは、それをインスパイアと呼んでいるのです。2018年は、『人生100年時代』『副業解禁』などのキーワードの影響により、さらにスキルシェアに対する注目度が高まっています。この機会に登壇者、参加者の皆さんと一緒にスキルシェアの可能性を探りたいと思っています」

続いて登壇したのは、ヤフー株式会社コーポレートエバンジェリストで、Yahoo!アカデミアの学長でもある伊藤羊一氏。『人生100年時代を生き抜く最強の自分の作り方』というテーマで講演を実施しました。現在は、プレゼンテーションとリーダシップ開発を本業にしていますが、ご自身のキャリアを振り返りながら、その変遷にこのように説明します。

「最初からプレゼンテーションの指導者になろうとは思ってもいませんでした。事業会社に在籍していた時代、営業部門に稽古をつけていたら、それが評判になり、各方面から指導者として要請が集まるようになりました。流れるままにやってきて、それが専門家としての今につながっています。それはリーダー開発も同様。私のキャリアというのは、最初から人前で何かを提供しようとは微塵も思ってはいませんでしたが、まるで“わらしべ長者”のように広がっていきました」

とはいえ、単に巡り合わせが良かったというだけではなく、大切なのは提供するコンテンツのクオリティだと述べます。
「もちろん、最初からクオリティの高いコンテンツを用意するのは難しいことです。これも経験を積み重ねていって、何度も繰り返し提供していくうちにクオリティがアップしていきます。その次に大切なのが、相手がびっくりするような特異点をつくること、そして最も重要なのが、来た話は全部うけることで、実はこれが一番大事だったりします」

結局、もっとも重要なのはやるか、やらないかの判断。「最初は全員失敗する。そこを恐れることはありません。自分がどんな人生を歩きたいか?と考え、それに一歩でも近づける可能性があるのであれば、一方踏み出してみれば良いと思います。自分がやりたいことができる人生は楽しい。一歩踏み出せば人生は間違いなく変わります。そんな可能性を広げてくれるスキルシェアはこれからも発展していくでしょう」と述べたうえで、「将来は予測するものではなくつくるもの。人生もこうなっていくのではなく、自分で作っていくもので、そのためにはどうするか?一歩踏み出してほしい」と締めくくりました。

続いて、ソフトバンク株式会社で人材開発を担当する杉原倫子氏と、株式会社NTTドコモにエンジニアとして就業しながら、ストアカの人気日本酒講師としての顔も持つ原田祐一氏が登壇。複業研究家として活躍する西村創一朗氏をモデレーターとして迎え『副業解禁元年、副業と個人はスキルシェアとどう向き合うべきか?』をテーマにパネルトークを開始しました。

まずは“会社員にとってのスキルシェアとは?”という議題からトークがスタート。原田氏は「去年から本業以外のことにチャレンジしたいと思っていました。元々、日本酒に興味があって、ふとしたきっかけで顔を出してみた日本酒セミナーが非常に面白く、学んだことをたくさんの人に教えたいと考えるようになった」と、自らがストアカに登録した経緯を語ります。

杉原氏は副業を解禁した企業の人事担当者の目線でこのように語ります。
「一年前に当社では、もちろん申請は必要ですが、副業を解禁しました。多様な経験が自己成長につながり、獲得したスキルも人脈も本業に活かされるものと期待しています」

では、実際にスキルシェアによるメリットは享受できたのでしょうか。モデレーターの西村氏が登壇者二人に問いかけます。それに対して原田氏は“もうメリットしかない、やりがいしかない”と力強く答えます。
「サラリーマンとしての仕事は決して心からやりたい仕事ではありませんが、日本酒講師は完全に好きでやっている仕事です。自己達成感を覚えますし、楽しいことがひとつ生活の中に入ってきたという感覚です」

杉原氏は「本業では得られないスキルが、執筆や講師活動によってオープンになり、“そういう能力があるのだ”と社内でも把握できるようになりました。それが本業での新しい仕事のチャレンジにもつながります。いわゆる“スキルの見える化”になりました」とメリットを語ります。

デメリットとして考えられるのは時間的な制約。しかし、原田氏はまったくそれを苦に思っていないといいます。
「好きなことをやっているので、大変だと思ったことはまったくありません。ただ、社内申請に時間がかかったり、周囲の理解を得るための困難は付きまとうかもしれません。私の上司は理解ある人で良かったのですが、申請してから許可が下りるまでに時間がかかりました」
杉原氏も「本業との両立が条件でしたが、果たして本業に悪影響はでないのか?という懸念はありました。性善説をベースに副業を解禁しましたが、自由にするがゆえの手を挙げる責任があるのか、まったく問題になるケースは生じていません。実は私も副業を始めました」と述べます。

原田氏は「副業を始めるうえでの一番のハードルは“自信のなさ”だったと思います。鉄は熱いうちに打て、ではないですが、あれこれ考える間もなく、自分が熱いうちに目の前にストアカがあったため、勢いで始めることができました。皆さんも、思いが熱いうちにトライしてほしい」と締めくくりました。
そして杉原氏も「力試しという感覚で一歩踏み出してみてもいいのではないでしょうか」と述べつつ、最後に、社内の人間が講師になってナレッジシェアを行う“知恵マルシェ”という取り組みについて紹介。一昨年前からストアカとソフトバンクのコラボによって、その取り組みを公開した『ソフトバンクサタデー』について告知を行い、参加者を呼び掛けていました。

モデレーターの西村氏も「まずは近しい人に教えてみるのは大事」と参加者にアドバイス。社内の勉強会から始めて、教えるのが上手いなといわれたらそこから繋がっていくのでは?と意見を述べていました。

パネルトークⅡは、スキルシェアサービスを提供するサービス各社ストアカ、ココナラ、ビザスクの登録者が登壇。『スキルシェアではじめる自分らしい仕事のつくり方』と題したトークセッションで、それぞれの経験を披露することになりました。
モデレーターはフリーランス協会の代表理事である平田麻莉さん。まずは“スキルシェアをはじめたきっかけ”について三名の登壇者に問います。
IT企業にて勤務しながら、ココナラでイラスト販売をしているSayaさんは「産休のタイミングで、元々趣味で書いていた絵を販売しようと始めました。以前、通っていた絵画教室で、たまたまココナラのデザイナーと知り合っていて、機会があったら登録しようと考えていました」と語ります。
フランチャイズでコンビニエンスストアを4店舗経営、さらに貿易業にも従事。その経験をビザスクで伝えている坂本一郎さんは、「事業拡大を進める中、求人目的でWEB検索をしているときにビザスクを知り、自分が得てきた経験を多くの人に伝えたい」と考えたのだといいます。
また、公認会計士として会社に勤務しながら、ストアカで『一生楽しめるゴルフの基礎』というレッスン講座を開講している綿貫吉直さんは「社会人になってゴルフを始め独学で追及しているうちにその本質に気づき、同僚に教えたら好評を得ました。知人を通じてストアカを知り、登録することにしました」と述べます。

平田さんが二つ目の質問として用意したのは“実際にスキルシェアを始めて実感した変化や苦労、やりがいは?”というもの。Sayaさんは「独身時代には無駄に時間を過ごしていました。育児と仕事の両方を頑張って、あまったわずかな時間がもったいないと思うようになり、このかけがえのない時間で自分が本当にやりたいことは何?と自己分析ができました」と言います。
坂本さんは“やりがいしかない”と述べます。「相手に話していくうちに自分の知識の棚卸になるし、貢献できていると実感できると大きなやりがいを感じます。生活にメリハリがつくようになりました」。
綿貫さんは「レッスンを実施している土日が忙しくなって、まったく無駄なお金を使わなくなって貯金が増えていきました。人に教えていると自分のスキルもどんどんアップしきますし、生徒さんから感謝される機会も多いので、非常にやりがいを感じています」と語ります。

最後に投げかけられたのは“何からはじめれば良い?”という、参加者へのアドバイスにつながる質問。Sayaさんは、自らの経験から、「小さな時から褒められたり、感謝されてきたようなこと、自分が得意だと思っていたようなことがあったら、それを思い出して、始めてみると良いのではないでしょうか」と述べます。
坂本さんは「まずは、自分がこれまでに経験してきたことや自覚するスキルを棚卸すること。自分に何ができるか?を明確にして言語化すると良いですよ」と言います。
綿貫さんは「プロでもない、自信もない自分が、周りの人に教えたことがきっかけとなりました。人から“すごいね”と言ってもらえたら、それは人に教えることができるスキルがあるということ。一歩踏み出してみてください」と締めくくりました。

基調講演に2本のパネルディスカッションと盛りだくさんの内容のカンファレンスが終了。その後、2018年にもっとも活躍した先生を表彰する『ストアカアワード2018』が行われ、大盛況のまま2時間半にわたる全プログラムが終了しました。

今回は、副業を解禁した企業側の話と、実際にスキルシェアを体験し、自分らしい働き方、生き方を実践している個人の経験談も聞くことができ、非常に有益な機会となりました。その双方にメリットをもたらす可能性のあるスキルシェア。このまま着実に広がっていけば、仕事を取り巻く環境は大きく変わっていくかもしれません。

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