株式会社エンファクトリー加藤健太さん

今回は、副業をテーマに「社内で”専業禁止“を9年間掲げ、売上が一度もマイナスになったことはない」という、株式会社エンファクトリー 代表取締役社長の加藤健太さんにお話しを伺いました。社内で副業を取り入れる際に注意すべき点や、これからの時代を生き抜くための会社と社員の関係性など、気になるワードが満載です!

 

__株式会社エンファクトリー創業のきっかけを教えてください。

私はリクルート社で事業統括や財務、経営企画などに携わり、2000年にAll Aboutの設立メンバーとなりました。2011年に2つの事業を分社化したのがエンファクトリーです。

現在は、累計で3,000社のつくり手によるライフスタイル雑貨を販売するECサイト「スタイルストア」(https://stylestore.jp/)専門家のブランディングを支援する「専門家プロファイル」(https://profile.ne.jp/)、専門家によるコンテンツ制作プラットフォーム「専門家@メディア(https://pro-atmedia.jp/for_clients)」に加え、フリーランス・パラレルワーカーのプラットフォーム「Teamlancer」や法人向けサービス「副業特区」が主な事業です。

 

__9年間、社内で「専業禁止!!」というポリシーを打ち出しているのは、なぜでしょうか。

エンファクトリーが分社化した2011年は、リーマンショックの影響も続き、さらに東日本大震災が起きた年でもありました。平成になってから大企業も普通につぶれる時代になりましたが、それに輪をかけて不透明で先の読めない年だったのです。そして私が感じていたのは「特に大企業が内包している組織や個人の劣化」です。テクノロジーやインターネット上のサービスによりますます個人の出来ることが拡がってきているなかで、生きる力を身に付け、自立した個人が会社と対等な関係で共生する―これからはそんな会社が強くなるのではと考えるようになりました。こういう背景から“専業禁止”を掲げ、複業を推進して、一人一人の生きる力を身に付ける学びの場と捉えるようにしたんです。もちろん、必ず複業をやらなくてはいけないわけではありませんが、結果的に社員の質の向上と会社の成長にもつながっていると感じています。

 

__御社が掲げる複業のルールは「オープンにすること」。その意図は?

私たちが考える複業とは、内容はどんなことでもいいのですが、本業以外の場でやりがいや新しいキャリアに繋がるような複数の仕事(パラレルワーク)をもつというイメージです。唯一のルールである“オープンにすること”が浸透するよう、半年に一度、複業をオープンに話す場「en Terminal(エンターミナル)」を設けています。それぞれの活動内容や方向感をシェアし合い、そこから気付きや新たな発想、協業の目を発見し合う場です。収入も公表したりしています。複業をオープンにすることで、社員がどんな風に力をつけているか見えますし、聞いている社員が非常にポジティブな影響を受けたりします。9年間この”専業禁止“を掲げていますが、業績がマイナスになったことは一度もありません。むしろ本業にフルコミットできる社員が増え、いいことしか今のところはないんです。

 

複業をオープンに話す場「en Terminal(エンターミナル)」

 

__退職して独立、起業する社員とは「フェロー」という関係性で緩く繋がりをKeep。その考えとは?

会社と社員が主従関係で、優秀な人材を「囲い込み」「流出させない」というのはもう古いと思うんです。ですから、私はその考えを捨てて、お互いを選び合う横並びのイーブンな関係(フェロー)を取るようにしました。社員じゃなくなる=裏切り者なのではなく、会社を辞めてからもお互い良いとこどりが出来る、相利共生の関係を築けるように考えていますし、実際に戻ってきた社員もいます。

 

__フリーランス・パラレルワーカー向けのプラットフォーム「Teamlancer」が生まれた経緯を教えてください。

2017年11月に立ち上げた「Teamlancer」は、会社員やフリーランサー、パラレルワーカーなど異なるバックグラウンドを持つメンバーたちが一つのチームをつくり、課題やミッションに対し協働して取り組めるサービスです。“企業でも個人でもない新しい組織体”というイメージですね。

チームが一歩を踏み出だすところから、チームの活動におけるさまざまな機会を提供し新しい働き方をサポートすることで、ますますこれからの時代にメジャーになっていくであろう「チームランサー」という組織体が増え会社や人や社会の未来が大きく変わっていくと考えています。

現在の利用者はフリーランスとパラレルワーカーが半々くらいの割合で、主体的にチームを作って動いている方は着実に成果を出しています。ユーザーの特徴としては、お金稼ぎをしたい」というよりも「世の中をよくしたい」「人の役に立ちたい」など思いやミッションが強い人が多い印象です。

 

__2019年にリリースされた「副業特区」とはどういったサービスでしょうか?

「Teamlancer」の企業版・「Teamlancerエンタープライズ」を含む、サービスの総称です。副業を解禁している企業様には、社員の副業について労働時間や内容を見える化ができタレントマネジメントに活かせます。さらに、副業を解禁していない企業様にも活用可能です。特に大きな会社の中では、社内での越境活動、例えば部署や組織を横断した新規プロジェクトや学びの場、クラブ活動、社内副業などを推進や支援するのが難しいという声が多かったので、そういった動きに使っていただけたらと思っています。もちろん、社内だけではなく社外のチームや人材へのアプローチも可能です。

 

__世界をとりまく新型コロナ、今後の働き方についてどうお考えでしょうか。

リモートワークの必要性など、あらゆる会社が変わらざるを得なくなりましたよね。とはいえすべての仕事がリモートでできるわけではありませんし、改めてリアルの大切さも感じてくるかもしれません。個々の働き方のバリエーションが増えることで、今後は、会社と社員がよりパートナーシップ型に変化していくのではないでしょうか。そういう意味においては、会社も個人もUPDATEすることが必須で、その時間軸がこの騒動によって短くなるのではないかと考えてます。

コロナがいつ収束するのか、どんなことになるのかは誰も予測がつきませんし、どの企業も個人も、この新年度は大変になるでしょう。個人的には「どこでも食っていける」といったような個々の気持ちの持ち方やチャレンジ精神といったメンタリティが非常に大事なのではと思っています。

 

__副業を取り入れたいと考える経営者の方にアドバイスをお願いします。

「なぜ副業を取り入れたいのか」の動機をよく考えるといいと思います。遡れば会社の在り方、そして社員との関係性、人材理念といったようなところがあって、その一アイテムとして副業解禁があるということでしょう。こうありたい、こうしたいといった想いが前提でなければ、副業を解禁しても会社、個人どちらにもその効果を産み出すことはないでしょう。一方でその意図の伝え方や運用の仕方次第で、副業は個を鍛える最強のツールになりえ、最高の学びにもなり、それがひいては会社そのものを強くするという非常に有効な施策になるのです!

 

副業特区を2019年11月18日から運営開始した株式会社エンファクトリー加藤健太さん