出版社で編集者として働く傍ら、「パラレルキャリア研究所」にて複数の仕事をする副業解禁時代の働き方“パラレルキャリア”を推進する企画を手掛ける高村さん。そんなパラレルキャリアの魅力や可能性についてお話を伺いました。

__現在のお仕事について教えてください

本業は出版社の正社員です。現在は編集部門に所属しており、フルタイムで働いています。会社でも副業が解禁されていて、社外で「パラレルキャリア研究所」を立ち上げ、さまざまなイベントを企画し、運営しています。

__パラレルキャリア研究所を始めた経緯を教えてください?

ずっと編集者の仕事に憧れていたのですが、就職した今の会社の最初の配属先が編集部門ではなく庶務の部署で。「これでは編集のスキルがつめない……」と凹んだ時期もあったのですが、NPO法人「奔流中国」というシルクロードを馬や寝台で列車で旅するツアーの主催団体と関わりができたのが転機になりました。奔流中国の旅の軌跡をまとめた旅行記を企画して、Kindleで『馬上の旅人』という本として出版したんです。編集作業は独学でしたが、Amazonのカテゴリー1位になったりと、すごくやりがいを感じて。「あれ、会社員でも社外で自分でキャリアって作れるかも!」と感じたんですね。そこから、「私以外にもパラレルキャリアに興味を持つ方がきっといるはず」と、イベントを開催したら思いのほか反響があったんです。これは続ける価値があると思い、2018年7月に「パラレルキャリア研究所」を立ち上げました。

__「パラレルキャリア研究所」ではどんなことをしているのですか?

主に3つあります。ひとつはお酒片手にパラレルキャリアのヒントを見つけるトークイベント「パラキャリ酒場」、2つ目はフリーランスや経営に興味がある方向けのスキルアップ講座「ゼロイチ予備校」、3つ目は都心のビジネスマンと地方をつなぐ実践の場「秘境PR部」という活動です。イベントや講座は月3~5回程度、秘境PR部は自治体や団体からお話をいただいたときに不定期開催しています。

「パラキャリ酒場」では、毎回ゲストの方を招いてお酒片手にトークをします。たとえば、「副業推進企業って実際どうなの?」、「地域を盛り上げる仕掛人」、「会社員×副業だけがパラレルキャリアなの?」といったテーマを設定して熱く盛り上がります。お酒を入れることで、登壇者も参加者も本音でしゃべれる場を目指しています。

「ゼロイチ予備校」では、プレスリリースやグラフィックレコーディングといった役立つスキルを身につけるイベントも人気ですね。

「秘境PR部」では、たとえば最初に声をかけていただいた岐阜県飛騨市と、鮎釣りやイベント民泊を体験しながらその土地のPRについて考えるイベントを企画するなどしました。

__イベントにはどのような方が参加されていますか?

会社員であったりフリーランスだったり立場はさまざまなのですが、「現状が嫌というわけではないけれど、自分らしい何かをしたい」と考える方が多いですね。会社内ではなかなか相談できないという声も聞きます。実際にイベントに参加して横のつながりができ、パラキャリ酒場の出会いをきっかけに、1歩を踏み出せたと言う方もいて、そういったお話を聞くとすごくうれしくなります。複業フリーランスやプロボノをはじめたという報告はよくいただきますし、起業をした方、副業規定を会社に通した方までいますね。

__高村さんが考えるパラレルキャリアの魅力とは何でしょう?

一気に本業を辞めなくても、少ないリスクで挑戦できるところです。何でもいいので、まずは身近な人の課題を解決する試みをするなど、小さなことから始めるのが成功するポイントな気がします。よく、「本業が忙しくてやりたいことはあるけれどそんな時間がない」という話も聞くのですが、初期投資が必要な大きな事業よりも短時間でできるプロトタイプを試して徐々に軌道に乗せるのがいいですね。複数の仕事をもつことで、知見が広がったり視座が高くなったりと、本業へもいい影響がきっとあるはずだと実感しています。

__他に、パラレルキャリアを成功させるために必要な力はありますか?

・巻き込まれる力
・チャンスの近くにい続けること
・偶然を必然に変える(ブランド・ハップンスタンス)
・自分をラベリングして発信すること
だと思っています。

やりたいことが見つかったら、まず動いてみる。面白そう、楽しそうだと感じる場所に出向いてみる。さらに、自分のやりたいことをSNSで発信し続ける。信頼できる人に声をかけられたら食わず嫌いせずにやってみる。そうしていると、チャンスが必ずやってくるんです。その偶然のチャンスを逃さず、必然であるかのように引き込んでいく。その繰り返しが大事だと思います。

さらに、これは私自身のやり方なのかもしれませんが、営業して頭を下げて仕事を得る「外注先」にならずに、人の出会いから発生した「パートナー」になることが、楽しみながらパラレルキャリアを実現できるコツなのかもしれません。あとは無理せず、自分のペースでやることも長く続けるポイントです。私も本業が繁忙期の際はイベントもかなり少なくなりますが、それでいいと思っています。

やってみてもし、上手くいかないと感じたら、同じようなことをしている人の研究をするといいです。タイムチケットなどで、実際に人気の講座を受講して、どんなやり方をしているのか、上手くいっている人の話を直接聞くのもいいと思います。トライ&エラーで少しずつでも動き続けていけば、きっといい流れが起きると思っています。ひとりでできることに限界を感じるなら、Teamlancerのようなフリーランスをチーム化できるサービスで仲間を探すのもありですね。

__高村さんがこれからやりたいことは何ですか?

実際にパラレルキャリアを考えている人はこんなに多くいるのに、パラレルキャリアができない会社が多いというのが現状です。現場社員と会社側の温度差がまだまだあると感じています。パラレルキャリアに興味を持つ会社員も日に日に増えているので、企業にとっては副業を禁止し続けることで従業員のエンゲージメントが下がるというデメリットが生じる時代になっていくのではと思っています。ですから、そんな企業の経営者や人事の方々に、パラレルキャリア形成可能な会社にしていくメリットをきちんと伝えられるようなことがしたいですね。特段の事情がなく副業を禁止にしていることで、優秀な方が去ってしまうのは会社にとっても損失だと思います。今年の2月には一般社団法人パラレルキャリア・マネジメント協会という社団法人を立ち上げたので、私は副理事として企業向けの活動をしていきたいなと計画しているところです。

__読者にメッセージをお願いします 

パラレルキャリアに興味があるけれど、実際どう動けばいいか分からないと悩んでいる方、ぜひお気軽にイベントに参加してみてください。きっと、視野もスキルも広がるはずです。